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過労死転生した最強悪役令嬢、追放されチートで聖獣とスローライフしてたら冷徹公爵に溺愛された件  作者: 限界まで足掻いた人生
第2章:現実世界侵攻 編

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第94話 裏切りの転職・黒い求人票

なぜ裏国家の設備保全・フィールドワーク部こと魔王軍四天王(5人)は裏国家を裏切ったのか。その真相は....


遡ること数日。


アヴァロン墜落直後の地下帝国。路地裏で焚き火を囲み、今月の給料が出るのか不安に震えていた五人の前に、漆黒のマスターキーを弄ぶ男、ガラハッドが現れました。リーダー格のイグニスが、威嚇するように立ち上がります。


「ガラハッド! お前、どの面下げて来やがった! この国が組織として産声を上げたばかりの初期、全情報を運営に売り払って逃げ出した、あの最古にして最低の裏切り者がよぉ!」


イグニスの脳裏には、数週間前の居酒屋での会話が鮮明に蘇っていました。


居酒屋・大樹にて


「そういえばアーサー。あんたのところにいた眼鏡の奴、ガラハッドだっけか。あいつ、どこへ行ったんだ?」


イグニスが尋ねると、アーサーとランスロットは一瞬で顔を曇らせました。


「イグニス。あいつの名を出すな。あいつは……俺たちがこの裏国家という組織に入社し始めた時、その少し前に俺たちを裏切った」


「なんだって!? あんな真面目そうな面して、俺たちが入社するずっと前、裏切ってやがったのか! とんだネズミ野郎じゃねえか!」


「その通りっす! 裏切り者の軍門に降るくらいなら、俺は有給なしで千夜働くっす!!」


イグニスたちはそう吠え、騎士団とアンチ・ガラハッドの固い握手を交わしたのでした。


回想終了。


目の前のガラハッドは、冷徹にマスターキーを掲げ、五人に赤いノイズを浴びせました。強制的な洗脳プロトコルによる意識の書き換えを試みたのです。しかし、五人は頭を抱えながらも、その呪縛を力ずくで跳ね除けました。


「ふん、無駄だぜ。俺たちは魔王軍の幹部を張ってたんだ。小手先の洗脳術なんか効かねぇよ!」


ガラハッドは無機質に眼鏡を押し上げ、小さく呟きました。


「……なるほど。腐っても魔王軍四天王、といったところですか。精神の基幹プログラムは強固なようですね。いいでしょう、ならば論理的な交渉に切り替えます」


ガラハッドは空間に、黄金に輝く神の求人票を投影しました。


「感情はさておき、福利厚生の話をしましょう。中央監査室への移籍。給与は現在の十倍。ボーナス年四回。アヴァロンのスイートルーム完備。食事は天界直送のA5ランクステーキが三食食べ放題です。さらに、神ランクの厚生年金。老後の保障は全次元レベルで確定しています」


「十倍……? A5ランク肉が、食べ放題?」


五人の瞳孔が開き、口角からよだれが垂れ始めました。ガラハッドは、闇バイトの勧誘のような怪しい笑みを浮かべます。


「シャドウ君。君が求めていた完全週休二日制と、定時退勤。これらを神の法理で保障します。あのお嬢様のところでは、退職金すら危ういのではないですか?」


「……あ、あががが。……厚生年金、神ランク。……老後の安心、最高っす。……あのお嬢様、怖かったし……」


「イグニス! 目を覚ませ! あいつは裏切り者だぞ!」


テラが叫びますが、ガラハッドが提示した、神の署名入りの白紙小切手を見た瞬間、テラも膝をつきました。


「裏切り者? いいえ、彼は神キャリアへの導き手だ。……俺は、俺は転職するぞ!! 裏切り上等、背に腹は代えられねぇんだよチクショー!!」


こうして彼らは、騎士団から教わった「裏切り行為」さえも都合よく脳内からデリートし、今までお世話になりました、給料十倍なのであっちに行きますという、あの殴り書きの退職願を残して喜び勇んで転職していったのです。


ユグドラシル・エクスプレス船内。


「お前は裏切り者の軍門に降るのか! ってあんなに熱く語ってた癖に、一瞬でカネに釣られてるじゃない!!」


退職願を読み上げた私は、怒りで髪を逆立て、周囲に黒いオーラを振り撒いていました。


「知っていて行ったのね! あいつが食卓の騎士の裏切り者だと分かっていて、条件に釣られて闇バイト感覚で移籍したのね! あのバカ五人を力ずくで引きずり戻して、不当引き抜きの違約金として一生タダ働きさせてやるわ!!」


「イエス・ボス!!」


社畜騎士たちも、社長の変謀に震え上がりながら、全速力で氷の塔へと舵を切りました。

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