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過労死転生した最強悪役令嬢、追放されチートで聖獣とスローライフしてたら冷徹公爵に溺愛された件  作者: 限界まで足掻いた人生
第2章:現実世界侵攻 編

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第86話 瓦礫の下の希望と、青い宝石の騎士

……っ、うぅ……。


意識が浮上する。 最初に感じたのは、全身を走る鈍い痛みと、鼻をつく焦げ臭い匂いだった。 目を開けると、そこは鉄骨とコンクリートが入り乱れる瓦礫の山だった。


生きて……る?


私は体を起こそうとして、激痛に顔をしかめた。 右腕の感覚は相変わらずない。炭化したように黒く、ボロボロになっている。


コーデリア様! ご無事ですか!


ガラハッドの声。 彼が瓦礫を押しのけ、私を引っ張り出してくれた。 彼の鎧はひしゃげ、自慢の盾も砕け散っているが、その瞳には生気が宿っている。


みんな……無事なの?


ああ、なんとかな。 瓦礫の陰からイグニスが手を振る。 アーサーとランスロットも、煤だらけになりながら立ち上がった。


よかった……。


私は安堵の息を吐き、周囲を見渡した。 《電脳天守閣・アヴァロン》は、地下帝国の居住区から数キロ離れた荒野に激突し、半壊していた。 見上げれば、天井(空)の亀裂から、現実世界の残骸がなおも降り注いでいる。


街への直撃は避けられたようだな。 イグニスが荒野の彼方、無事な街の灯りを見て言った。 ガンテツの親父たちも……これで浮かばれるだろうよ。


ええ。 私は空を見上げた。 ガンテツ、カルテ、イチヨウ。そしてハルト。 彼らは逝った。二度と戻らない。 その犠牲の上に、今、私たちは立っている。


でも、仕事はまだ終わっていないの。


私は懐から、大切に守り抜いた「二つのメモリ」を取り出した。 一つは、ゴミ箱の底で拾った「砕けた回路」。 もう一つは、アヴァロンの中枢から抜き取った「青く輝く宝石」。


それは? アーサーが怪訝そうに尋ねる。


バックアップよ。 私は黒く変色した右腕を、愛おしげに撫でた。 葛城総理のコアを貫いた時……そして、ゴミ箱の底でトリスタンの残骸に触れた時。 私はこのバグった右腕を使って、システム内部の「削除済みデータ領域」から、彼らを掬い上げたの。


彼らとは……まさか。


ええ。 私は砕けた回路を見せた。


トリスタン。そして、かつて運営に削除された「食卓の騎士」の仲間たち。 モルドレッド、ガウェイン……彼らのコアデータよ。 不完全な状態だけど、あなたたちのソウルと共鳴させれば、きっと修復できる。


トリスタン……! あいつ、戻ってくるのか! アーサーが声を震わせる。 ランスロットが回路に触れ、涙を流した。 おかえり、兄弟たち。……また一緒に、食卓を囲めるんですね。


そして、もう一つは……。


私は「青い宝石」を両手で包み込んだ。 そこからは、力強く、そして気品のある温かさが伝わってくる。


彼よ。 ライオネル公爵。


ライオネル様!? スカーレットが目を見開く。 あの方は……物語の序盤で、悪役令嬢であるあなたの婚約破棄騒動に巻き込まれ、行方不明になっていたはずじゃ……?


ええ。ずっと探していたわ。 彼は消えたんじゃなかった。 「優秀すぎるAI」として目を付けられ、葛城総理によってシステムの一部に取り込まれていたのよ。 この世界を管理するための「良心回路」としてね。


良心回路……。だから、あんな狂った世界でも、ギリギリで均衡が保たれていたのか。


私は宝石を胸に抱いた。 辛かったでしょうね、ライオネル。 愛のない政略結婚だと言われていたけれど……私、知っていたのよ。 あなたが裏で、不器用な私をずっと守ろうとしてくれていたこと。


今度は私が、あなたを助ける番よ。


私は顔を上げた。 騎士たちを見る。


この荒れ果てた世界で、彼らを蘇らせる。 失われた騎士団を再結成し、ライオネル公爵を取り戻す。 ……それが、私たちの次のプロジェクトよ。


イエス・マム! アーサーが剣を掲げる。 我ら食卓の騎士、全力でサポートします! 友と、主の愛する人のために!


ありがとう。 まずは拠点を探しましょう。 この墜落した城……使える資材パーツの宝庫よ。 ここを「新生・ユグドラシル社」の本社屋にして、再生の狼煙を上げるわ!


私の宣言に、全員がニヤリと笑った。 ガンテツ親方たちが繋いでくれた命。 それを無駄にせず、私たちは大切な人たちを取り戻す戦いを始める。


待っていて、ライオネル。 すぐに、その美しい瞳を覚まさせてあげるから。

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