表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労死転生した最強悪役令嬢、追放されチートで聖獣とスローライフしてたら冷徹公爵に溺愛された件  作者: 限界まで足掻いた人生
第2章:現実世界侵攻 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/190

第101話 虚無のゲスト権限(ヌル・ポインタ)

「来るな、バグ野郎が! コーデリア殿には指一本触れさせん!」


ライオネルが吼え、現実世界の「質感」を持った重厚な盾を構えて突進した。食卓の騎士たちもそれに続き、魔導の光と鋼の剣閃が、歩み寄るシャドウへと集中する。


だが、その光景は彼らの常識を嘲笑うかのように歪んだ。


ライオネルの盾がシャドウの体に触れた瞬間、金属音が鳴るどころか、何の抵抗もなくすり抜けたのだ。いや、すり抜けたのではない。盾がシャドウの体に触れた部分から、砂のようにデジタルノイズとなって崩れ去っていく。


「なっ……!? 俺の、俺の聖盾が!?」 「魔法が……奴の周囲でだけ『発動しなかったこと』になっている!?」


シャドウは、攻撃を避ける素振りすら見せない。ただ、虚ろな目で前を見据え、よろよろと歩を進めるだけだ。だが、彼が通過する空間そのものが、「存在の定義」を失っていく。床の配線が消え、空調の音が途絶え、騎士たちの鎧が彼に触れるだけでエラーを起こして消失する。


「ははは! 無駄だ、無駄だ! 理解できないか、この世界の住人たちよ!」


コンソールに寄りかかり、ガラハッドが高笑いする。


「この世界のセキュリティは、強力な魔力や高度な権限を持つ『脅威』を排除するように作られている。だが、こいつは違う。こいつは『何もない』のだ!」


ガラハッドがシャドウを指差す。


「名前は『SHADOW』。だが中身は空っぽのゲストアカウント。ステータスはオール・ゼロ。過去のログも、未来の予定も、所有権限も一切持たない、完全なる『虚無ヌル』! この世界のシステムは、こいつを『認識すらできない』。だからこそ、あらゆる壁を素通りし、触れるもの全ての定義を『空白』で上書きしてしまう最強の消しゴムなのだ!」


シャドウ=最強のセキュリティホール。 それが、ガラハッドが用意した勝利の方程式だった。


「くっ……下がりなさい、みんな! 物理攻撃も魔法も、彼には意味をなさないわ!」


コーデリアが前に進み出る。騎士たちは武器を失い、恐怖に顔を引きつらせながら後退した。リュカだけが、コーデリアの足元で唸り声を上げ、その「もふもふ」の毛を逆立てて威嚇している。


「あら、可愛い番犬ね。でも、その毛皮もすぐにデータ屑になるわよ」


ガラハッドがキーボードを叩くと、部屋の壁面ディスプレイに巨大な進行バーが表示された。


現実世界再構築ワールド・リライト:進行度 15%』


「さあ、始めようか。まずはこの退屈な開発室を、我が魔王城の玉座へと変えてやる。シャドウ、その女の『管理者権限』を剥奪しろ」


命令を受けたシャドウが、ついにコーデリアの目の前まで迫る。その手が、彼女のトレードマークである赤いバインダーへと伸びた。


「……不承認よ」


コーデリアは逃げなかった。逆に、シャドウの虚無の目を見つめ返し、バインダーを突きつけた。


「あなたの存在は、システムの重大なバグとして認定する。……強制ログアウト(排除)!」


コーデリアが叫び、これまで数々の不届き者を葬ってきた「管理者の絶対命令」を発動した。 しかし――。


『エラー:対象のアカウントが存在しません。コマンドを実行できません』


無情なエラー音が、白い部屋に響き渡った。


「……なっ?」


初めて、コーデリアの表情に動揺が走る。彼女の権限は「存在する者」に対してしか発動しない。存在しないことになっているシャドウには、干渉すらできないのだ。


「チェックメイトだ、元チーフ」


ガラハッドが勝利を確信した笑みを浮かべる。シャドウの手が、コーデリアの肩に触れようとしたその瞬間――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ