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《第1章 第6話 風の環(サークル)》

ひよりは風の流れに導かれ、丘の頂上へと足を運んだ。

足元に舞う桜の花びらは、まるで彼女自身の呼吸と呼応するように揺れ、

風が語る微かな旋律を、体全体で感じ取っていた。


「……桜環、あなた……」

掌の中で淡く輝く輪。桜魂の核が、ひよりの手の中で静かに震える。

それはもはや単なる装具ではない。魂の意志を集約し、過去から未来へと

全継承者を繋ぐ、**循環の環**(Circle)となっていた。


丘の先、霞の向こうに久遠朝臣の残響が見え隠れする。

彼は微笑み、風に溶けて、光の粒となってひよりの意識に触れる。

その瞬間、桜環が一瞬、強く光った。


ひよりは目を閉じ、深く息を吸い込む。

桜魂の全記憶、全感情、すべてが風の中で共鳴し、

ひとつの大きな渦となって体内に降り注ぐのを感じた。


——これが、桜風の真の姿。

過去と未来が交わり、魂が風として世界を駆け巡る瞬間。


---


光が消え、風が静まった。

ひよりは手の中の桜環を見つめる。輪の中心には、

今まで感じたことのない深い静寂が広がっていた。


「……私は、ここに立っている」

声に力が宿る。過去の継承者たちの意志が、ひよりと共にあることを

彼女は確信していた。


桜環がほのかに回転し、輪の光は柔らかく波打つ。

その光の中で、ひよりは未来の継承者の影を視る。

そして、自分が新たな桜魂の循環の中心に立ったことを理解する。


風が再び舞う。

花びらが舞い、光と影が交錯する。

桜魂の残響が、世界中の全ての層に届く——


——それは、桜風 Resonance の始まりの合図だった。


ひよりは深く息を吐き、桜環を握り締める。

そして、風が運ぶ記憶の中へ、静かに歩み出した。

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