表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/32

20.花梨と莉羽澄


 白い膜に包まれていた。何故だかとても安心する。長い時間忘れていた感覚。遠い昔、いつも嗅いでいた匂い。

 微かに揺らめく純白の波が再び眠りに誘う。そうか、私は眠っていたのか。寝返りをうつ。シーツがふわりと身体を包み込む。どこまでも沈み、同時に浮遊する。

 指先に何かが触れる。私の体ではない温もり。滑らかなその皮膚に指を這わす。いつまでも触れていたい、心地良い感触。指はやがて湿り気のあるもの触れ、うっとりする。


「————目が覚めた?」

 明るい声が耳元をくすぐった。瞼を開けると大きな瞳が目の前にあった。その下にある艶やかな唇。その橙色の膨らみに私の指は触れていた。

「……莉羽澄……さん」

「花梨、もう何も心配しなくて良いのよ。あなたはずっとここで休んでいれば良いの」

「ここは……?」

「ここなら誰もあなたの心に踏み入ることは無い。だから、その時を安心して待っていて」

 莉羽澄の手が優しく頬に触れる。そうか、ここならずっと一人でいる事が出来るのか。莉羽澄もずっと一緒にいてくれるのだろう。それは素敵な事だと思った。けれど莉羽澄はするりとシーツから抜け出ると部屋の扉へと歩いていく。一糸纏わぬ後ろ姿を眺める。形の良い臀部だなと思った。扉が閉じると部屋を少し観察し直ぐに仰向けになった。天蓋ベットを覆う純白のカーテンを見つめる。白い波の正体はこれだったのか。再び眠りが訪れる。意識が途切れる直前に気がついた。この部屋には窓が無かった————






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ