ツンデレ生徒会長がオタクな俺の部屋に転がり込んできた件
「――ちょ、ちょっと!開けなさいよ、綾小路くん!」
梅雨の気配が近づく放課後、俺の部屋のドアを叩く声は、紛れもなく氷室つかさ、我が校の生徒会長様だった。
「……は? なんで会長が俺の家に……」
「いいから開けなさい!雨宿りよ!それ以上でもそれ以下でもないわ!」
ツンが過ぎる。だが開けた瞬間に彼女の制服はびしょ濡れで、白いブラウスの下に見えるそれは、理性を試す悪魔の挑発でしかない。
「ちょ……服、透けて……」
「見るなあああああっ!!変態っっ!!」
ばちーん!
完全に俺が悪い。
⸻
部屋に上がった彼女は、なぜか俺のフィギュア棚の前でフリーズしていた。
「……ねぇ、これ。“東鳩2”の向坂環じゃない?」
「……は?」
「それにこのポスター。**“らき☆すた”**よね?初回限定版の……!」
お、おかしい……これは夢か……。あの生徒会長が、俺の部屋で、**「らき☆すた」**って言った……。
「会長……まさか……」
「い、言うなッ!!誰にも言うなよ……!!」
そこから先は早かった。
俺たちは急激に“オタク友達”という秘密の絆で結ばれていった。
その後、なぜか「生徒会秘密活動室」という名目で、我が家のリビングに週3で氷室会長が通うことになった。
一緒にギャルゲーをやり、アニメを観て、時に深夜に語り合う。
「べ、別にアンタと一緒にいたいとか思ってないからね……!ただの活動よ、活動!」
はいはい、それがツンデレのテンプレってやつですね、わかってますよ。
でも、次第に、俺は思うのだ。
この“バレちゃいけない関係”が――ずっと続けばいいのに、と。