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ひとつの終末

「どうしてここに呼び出したか――分かるか?」


 暗闇の中に聞こえる、押し殺したような男の声。


 まだ肌寒い夜。草の生えた地面に押し倒された女と、のしかかる男。

 隣の駐車場の照明が、そばの桜が散らす花吹雪の陰影を映している。


 女の声はしなかった。

 ただ、男の声が怒気をはらんだ。


「知らない? 分からないって――?」


 くぐもった女のうめき声が、かすかに漏れる。


「この場所を覚えていないわけがないだろう――だって、お前はここで……」


 女はさらにうめいたが、それが余計に男を刺激したらしかった。


()()()()()()んじゃないか。お前が、そうしたいって――」


 男の声が、静かな震えを帯びる。


「はぁ……覚えて、ないのか……。ここで一緒に誓ったことも、今日が何の日なのかも――お前は」


 そう言って男は、大きく痛々しいため息をついた。


「分かった……。もう、分かった」


 男が腕を動かすと、女のうめき声が一段と高まった。周の草々が、がさがさと音を立てる。


「ここでその神様によく見てもらえよ……今のお前を!」

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