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第五話 ティル・ナ・ノーグ (未来編)

貴方は信じていた真実とはかけ離れた真実を知ってしまったらどうする?

極悪人を裁いて罪無き民を救っていると教えられていても。真実が違っていたら、それは極悪人と変わらないのである。

罪無き民を殺戮して得られる平和など、本当に平和なのだろうか?

人間では無いだけで、平和を望んでいても、それは儚き願いなのだろうか?

この話は自分の信じた正義を見失い、殺されてしまった命儚き少女が遺した話。


西暦47749年 1月4日

ある所に平和な中学校があった。

その中学校の名前には"大日本帝国"の名前が刻まれていた。

私の名前は赤木夕陽、"何処にでも"いる"普通"の中学生だ。

「夕陽~早く弾薬作らないと、第一艦隊のイクサロイドの皆様に迷惑かけちゃうよ!」

「先輩!?ごめんなさい!今すぐ向かいます!」

イクサロイド…大日本帝国の天皇様が開発した戦闘用の人造人間だ。遥か昔に造られた軍艦の魂が宿っているらしい。人造人間と言っても、普通の人間と何一つ変わらない。みんなとてもいい人だ。

私の役目はイクサロイドのみなさんが装備する機銃の弾薬を作る事だ。

私一人で作るのかって?違うよぉ。私を含めて3人で作ってるのその子の名前はね…

「魅夜ちゃん!早くして!陽炎さんに迷惑かかるよ!」

この子の名前は、青葉魅夜ちゃん。同じクラスの友達なんだ。

陽炎さんは第一艦隊の旗艦を務めているイクサロイドだ。ツインテールがよく似合う可愛い人なんだ。

「そうだった!もう私の命はお国に捧げてるからね」

私達、大日本帝国中学校の生徒はみんな天皇様に命と命運を捧げているの。

魅夜ちゃんはご機嫌な様子で言った。

「それじゃ、朝子ちゃんも用意はいいね!?早速、弾薬造り開始~」

「ひえぇぇ!朝子、弾薬造るの得意じゃ無いのに~」

この子は黄根朝子ちゃん、大人しくて控え目な性格だけど、いざという時には頼りになる子なんだ。

私達は黙々と弾薬を造り、司令官様に今日の成果の報告を済ませ。気付けばもう消灯時間だった。

魅夜ちゃんが夜なのにも関わらず大きな声で言った。

「ねぇねぇ!明日。陽炎さん達率いる第一艦隊が出撃するんだって!私達は人間だから弾薬を造る事しか出来ないけど、勝ってくれるといいなぁ」

出撃というのは宿敵。アメリカ率いる軍隊と戦うことなんだけど、最近日本は負け無しなんだって!流石。神の軍隊だね!

突然朝子ちゃんが、絶対に言ってはならない"禁句"を言った

「でもぉ、あんなに活躍してた五十鈴さんは轟沈しちゃったし。雪風さんと響さんは、敵国にさらわれて改造されて洗脳されちゃったから大日本帝国に勝ち目は無いんじゃ…」

ドォン!!

魅夜ちゃんが壁を思いっきり殴った。

「朝子ちゃん…今度、大日本帝国様の事を侮辱したら私、手ぇ出るからね!」

私はあんなにも怒った魅夜ちゃんを見た事が無かった。

確かに。私達、大日本帝国が所有するイクサロイドは減って来ているが…天皇様なら私達を勝利へと導いて下さるだろう。

震え上がった声で朝子ちゃんが言った。

「ひえぇ!ごめんなさい!ごめんなさい!」

その後、私達は何も話す事なく深い眠りについた。


次の朝

まだ私が深い眠りについているのにも関わらず。違う部屋の子達の声が轟く。何々?何があったの?

「大変だよ!!陽炎さん率いる第一艦隊が全滅だって!アメリカ軍に殺られたらしい!」

そんな…陽炎さん、不知火さん、時津風さん、黒潮さん、親潮さん、秋雲さん達が轟沈しちゃったって言うの?!もうこれで大日本帝国が所有するイクサロイドはもう、6隻のみになってしまった。対するアメリカ軍はまだ10隻以上所有しているのに…やっぱり最初から、大日本帝国に勝ち目なんて無かったんじゃ…?

「大日本帝国は負けない。大日本帝国は神の軍隊なんだよ!?神の軍隊が薄汚いダウナーなんかに負ける訳無い!!負けてたまるかっ!!」

ガリガリガリガリガリガリ

魅夜ちゃんが身体中を掻き毟る。

「あぁ…汚ならしい。汚ならしいな!!アメリカ軍に捕虜にされてしまう想像をしてしまった自分が汚ならしい!!」

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

魅夜ちゃんは掻き毟る事をやめない。例え血が滲み出ても掻き毟る事をやめなかった。

流石に異常だ。止めさせなければ!

「魅夜ちゃん!もう止めて!貴方が壊れちゃうよ!」

ガリガリガリガリガガガ…

やっと魅夜ちゃんは掻き毟る事を止めた。

「煩い…煩いなぁ!!?黙っててよ!どうせ、貴方も私も、みんな死ぬんだよ!!」

魅夜ちゃんはおかしくなってしまった。無理も無いか。こんな劣悪な環境下で精神を保てという方が難しい。

後に私達は気付く事になる。残りのイクサロイドは6隻じゃ無い事に…



「今日は…古鷹さん達率いる残りの重巡洋艦と軽空母戦隊が出撃する日か…これで負けたら私達はきっと殺されるんだろうな…」

ガリガリガリガリガリガリ

相変わらず。魅夜ちゃんは掻き毟る事を止めない。

あの日を境に魅夜ちゃんはおかしくなってしまった。夜ご飯を突然投げ飛ばしたり。マグナムを持ち歩く様になったり。イクサロイドの人達に異常なまでに怯えたり。魅夜ちゃんは決まって同じ事を言っていた。「私達はアメリカ軍に捕まって捕虜にされるんだ…死ぬよりも辛い拷問を沢山受けるんだ!!…汚ならしい。汚ならしい!!こんな汚ならしい事を想像してしまった私が汚ならしくてたまらないなぁ!!」

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガガガ…

もう…嫌だ…こんな所に居たら、私まで狂ってしまうよ!!

朝子ちゃんだってアメリカ軍に捕まる事に怯えて部屋に閉じ籠っちゃったし。朝子ちゃんも同じく部屋の中から、身体中を掻き毟る音が絶え間無く轟く。

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガガガ…ギリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ…

次第にはイクサロイドである重巡洋艦の古鷹さんと軽空母の瑞鳳さんまでもが身体を掻き毟り始めた。二人も魅夜ちゃんと全く同じ事を言って止まない。「アメリカ軍に捕まって捕虜にされるんだ…死ぬよりもつらい拷問を沢山受けるんだ…汚ならしい。汚ならしいな!!こんな汚ならしい事を考えてしまった自分が汚ならしくてたまらない!!」

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリガガガギリリリリリ…

気付けば私と司令官様意外の人間は身体を掻き毟るようになってしまった。


出撃を称える式の時も古鷹さんと瑞鳳さん達は身体を掻き毟る事を止めなかった。

もう、狂ってしまいそうだ!至る場所でガリガリガリガリ…もう嫌だよ…

大日本帝国のエリートだった陽炎さんが死んだ日から全てが狂ってしまった。幸せを積み上げるのはとてつもない位大変な事なのに。幸せを壊すのはとても簡単な事だ。

朝の光は既に失われた。



「嘘だよ…古鷹さん、瑞鳳さん達率いる第一艦隊が全滅だって…?」

残りの艦は…もう残りのイクサロイドは…潜水艦の伊58ちゃんと伊19ちゃんしか残って無いのに…相手はまだ沢山の戦艦を所持している。肝心の潜水艦ちゃん達は…

「嫌だ!!死にたくない!!死にたくないのぉぉぉぉぉ!イヤァァァァァァ!」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!死にたくないよぉ!!」

ガリガリガリガリガリガリガリガリガガガ…ギリリリリリリリリリリリリリリリリリガガガガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガガガ…ギリリリリリリリリリリリ…

身体中を掻き毟る事を止めない。止めようともしない。

やっぱり、私達に勝ち目は無い。降参しよう…

司令官に提案しようと思ったその瞬間。

司令官の声が轟いた。

「お前ら。落ち着け、まだ俺達には切り札が3つあるんだ!戦艦級のイクサロイドがまだ後3人いる。」

戦艦級のイクサロイドがまだいるの!?それならもしかしたら…

その瞬間私は思いもしなかった出来事が起きた。

「赤木夕陽、青葉魅夜、黄根朝子。今日からお前らの名前は、大和、長門、金剛だ」

え?私があの伝説の戦艦大和?でも、ロストテクノロジーである大和型、長門型、金剛型に改造するなんて無茶じゃ?

「お前らは最初からイクサロイドなんだよ。

もし大日本帝国が負けそうになったらお前達を導入する予定だったんだ」

そんな!私がイクサロイドだったなんて…

「作戦を発表する。まずは大和、お前が旗艦を務めろ、そして潜水艦達。お前らは囮だ。精々戦艦達から攻撃を守れ。役立たずなお前らでも囮位なら出来るだろう?空母は俺が明日中に作る」

無論。潜水艦ちゃん達からはブーイングが起きた。

「そんなぁ!嫌です!司令官!もう一度作戦を考え直して下さい!建造なら私達も手伝わせて頂きます!だから…囮だけは…」

「そうです!私達だって生きていきたいんです!お願いします!司令官!」

潜水艦ちゃん達は必死に命乞いをした。イクサロイドとは言え、人間の年齢に直すとまだ7歳ぐらいなのに。現実は無慈悲だ。

「黙れっ!!!お前らイクサロイドは任務を遂行する事も出来ず、俺の言うことすら聞けないのか?!この役立たずが!!お前らは大日本帝国軍の恥じだ!!死んで罪を償え!!」

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガガガ…

司令官までもが身体を掻き毟り始めた。

「ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「死にたくない…死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない…」

潜水艦ちゃん達は目に光を宿して無かった。永遠に続く闇を誘うように深海よりも深い闇が支配していた。


遂に作戦を決行する日がきた。

私は新しく建造された装甲空母である大鳳さんに挨拶をした。

「どうも!はじめまして!戦艦大和です!」

「何?自慢?戦艦大和だからといって浮かれ無いで頂戴。沈めるわよ?」

素っ気ない態度だったが、私は特に気にしなかった。

私は初めて海の上を戦艦大和として走った。

ブウゥゥゥゥン

どうやら敵軍の偵察機のようだ。

大鳳さんが叫ぶ。

「ちょっと!潜水艦達!早く敵軍の偵察機を破壊しなさい!」

潜水艦ちゃん達は困って言った。

「そんな事言われても…私達は機銃を装備出来ないから…」

大鳳さんは激しく怒った。 

「この役立たずのクズが!」

その時。朝子ちゃん…いや、金剛が言った。

「私が打ち落として魅せます!」

バゴォォンズドドドドドドォン

見事に。敵の偵察機は全て破壊された。

「やりましたー!!」

「危ない!伏せなさい!」

大鳳さんが叫ぶ。どうやら敵国の戦艦が砲弾を放ったようだ。

「大和は、敵の旗艦を狙って!長門、金剛は周りの空母を沈めて!私は駆逐艦を沈めるわ!潜水艦達…貴方達は囮になりなさい」

流石だ…歴代最近の空母と言われただけはある。

咄嗟の判断力が素晴らしかった。ただひとつ文句をつけるとしたらそれは…

「嫌だ…こんな海域で沈むなんて…」

「痛いよぉ…沈みたくないよう…」

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガガガガリガリガガガ…

ゴォォォン!ドカァァン!

砲弾が轟く。当たったのは…

「嫌だ…こんな所で沈むの?私はまだ沢山やりたい事があったのに…司令官…役立たずでごめんなさい」

伊58が轟沈してしまった!!私達はまだ駆逐艦2隻しか沈められて居ないのに…

「しまった!!」

ゴォォォン!

私は伊58に気を取られて敵の砲弾に気が付かなかった。沈む覚悟を決めた瞬間。私の前に何かが飛び出た。

ドカァァァン!

「どう?潜水艦だって役に立つでしょ?私だって役に立てるんだ…あはは、あはははははははははははははははははははは!!」

残りの潜水艦が全て轟沈してしまった。

大鳳さんが叫んだ。

「逃げるわよ!今の状況じゃ私達が不利すぎる」

私達は逃げる体勢を整えたが…

「くっ…いくら相手が低速とは言え、囲まれていると…」

司令官から、通信が来た。

「命令だ。金剛。敵の陣営に入り。自爆しろ。唯一の高速戦艦の役目だろう?」

そんな…自爆なんかしてしまったら、イクサロイドとは言え即死だ…

勿論。金剛が猛反対した。

「そ、そんな!大日本帝国は絶対にイクサロイドを爆弾として使うはずがありません!司令官!もう一度作戦を考え直して下さい!」

司令官が嘲笑うかの如く笑った。

「おいおい…潜水艦達を囮として使う時は何も言わなかったのに、自分がその立場に為った途端にそれか?イクサロイドのクセに人間のように嫌な所を出してくるんじゃない!お前らは大日本帝国の魚雷に過ぎない。魚雷は使い捨てだろう?」

金剛は恐ろしい位の笑顔で私に言った。

「それじゃあ、私、行ってくるから。最期に大日本帝国様の役に立てるなんて光栄な事だから…」

ガリガリガガガガリガリガリガリガリガリガガガ

金剛が泣きそうな顔をして叫んだ。一世一代の頑張りを魅せる前に…

「やっぱり…死にたくない…もっとやり残した事があったのに…あれ?潜水艦達だって死ぬのに恐怖していたのに…自分の事に為った途端に騒ぐなんて…人間として、いや、イクサロイドとして最低だよね」

金剛は私達を置いて敵陣に突っ込んだ。

落雷のような、迅雷のように凄まじい衝撃波が起きた。確実に金剛は死んだだろう。

私達は金剛と潜水艦達を見捨てて帰投する事が出来た。

突然。司令官が邪悪な真実をこれから言おうとしているかの様な憎たらしい笑顔を浮かべ言った。

「何故自分だけ、身体が痒くならないか分かるか?」

私には全く分からなかった。そんなの個人の考えによる、集団テロみたいなものだろう。

「それはな…」

突然の事だった。かつてこの大日本帝国に所属していたエリートクラスのイクサロイド…陽炎さんが居た。だが、自信に満ち溢れた目をしておらず、その目は深い闇を覗いていた。

私は何が何だか分からなくなり。雄叫びのように凄まじい声で叫んだ。

「陽炎さん!?どうして?貴方は轟沈したはず」

その時。私は気付いた。一度死んだ陽炎さんは身体を掻き毟っていなかった。

「そうさ!赤木夕陽…いや、戦艦大和!お前は一度死んでいるんだ!逆に疑問に思わなかったのか?日本軍最強を誇る伝説の戦艦が何故、作戦に使われなかったのかな!!」

私は、気付けば司令官の胸倉を掴み今にも殴りかかりそうだった。

「特別に教えてやる。お前は何を目的に戦っている?」

そんなのただ一つだ。

「勿論。平和を取り戻して…」

「バカめ!!あっはっはっはっはっは!!」

平和を取り戻す。それが大日本帝国の掲げる目標

だったはずだ!!この男は何を言っているんだ!?

「逆さ。この大戦争が起こったのは…日本軍が各国から子供を拐い重労働をさせていたり、国の天皇を爆撃したりしていたからだ!日本軍は神の軍隊でなければ、正義の軍隊でもないのだ!誰がこの作戦を決行したと思う?それはな…戦う事しか出来ないイクサロイドだ…」

え?イクサロイドが…?この日本軍が…?全ての元凶だった?平和の為に戦ったつもりが、実は世界からの反発による武力行使だったの?

「そんな!私達イクサロイドは人間では無いけれど…人間として!!生きていても良いって司令官は…」

司令官が言った言葉を私は永遠に忘れない。例えこの身体が朽ち果てようとも。私はこの男を許さない…

「イクサロイドがぁ?人間として生きていくだと?そんなの許される訳無いだろう!!お前らイクサロイドはお国の為に戦い、お国の為にその身を犠牲にする…お前らは魚雷に過ぎないんだよ!魚雷は使い捨てだからな!」

ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ

気付けば私は、歯を思いっきり噛み締めていた。この男だけは…絶対に許さない!

「無駄だ…俺を敵に回せば、全世界の人間、イクサロイドがお前を殺しに行くぞ?お前達イクサロイドに安息の場なんて無…」

ザシュッ

総てを知った悲劇の少女に為ってしまった彼女と一緒に居るのは、首を斬られた司令官だけ。

見てて神様。私は今!全ての人間を敵に回した!

絶対に私は死んでたまるか…例え敵の手下に為ったとしても…


私は海に出た。だが…運悪く。

「相手は戦艦2隻だとしても…不利な事には変わり無いってか…」

突然相手の敵艦が私に喋りかけてきた。英語だったから何を言っているのか分からなかったけれど。私を助けてくれるという事は間違いないはずだ。

「訳: 戦艦大和よ…これから私達の仲間に為らないか?尋問だってしたい」

「訳: 尋問した後はさっさと殺すけどな!」

英語がわからない私は必死に回らない舌で「イエス」としか言えなかった。

私はアメリカ軍に連れて行かれた。




アメリカ軍 拠点


「訳: 起きろ!このデクノボウが!」

此処は…?何処?何で私は拘束されてるの?

アメリカ軍に助けてもらう筈じゃ…?

私は必死に英語を使って話した。

「ヘルプミー…」

何やら鎧を纏った紅の手から何か、音声が出た。

"transfer"type ζ "鎌鼬"

トランスファー…?タイプ・ゼータ…?何それ…何だか怖いよ…でも…カマイタチって何だろう?

シュババババザシュッッ

「ぐぁ"ぁ…痛い!痛いよぉ!」

いきなり私の右足と左腕が吹き飛んだ。むしろ斬撃波が私を斬り裂いた。

「訳: 流石、遥か昔に世界を支配した超進化人類の力だ…火力が桁違いだ!」

「訳: 英語を喋れないようじゃ…役に立たた無い。さっさと殺してしまえ」

transfer type ζ 鎌鼬

シュババババザシュッッ

「嫌ああぁぁぁぁぁぁ!!痛い…!」

気付けば私は両手両足を失った。痛みで意識が途絶えた。


人間でなければ幸せになる権利は無いのだろうか?

イクサロイドは死ぬ運命だとしても幸せを受け取る権利など無いのだろうか?

私はただ平和な日々を過ごしたかった。仲良しな友達に囲まれて。私はそれ以上何も望まない。

死にたくない…ただそれだけなんだ。

お願い…この小説を読んでいる貴方。イクサロイドとして生まれ。愚かな戦争を引き起こして無惨に惨たらしく死んでいった私の変わりに戦争はもう、絶対にしてはいけない。私達人間は。同じ過ちを繰り返してしまう。だから、この不のサイクルを打壊して…

ティル・ナ・ノーグ 完

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