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第三話 アビス・フェニックス

ネクロマンサーと幸福屋は、共存し合った試しが無く、前例もない。

なぜならお互いが相手の事を知ろうとしていない

相手の事を知り、お互いに手を伸ばし合えば…こんな残酷で無慈悲で卑劣な戦争は起きなかっただろう…

この物語はネクロマンサーと幸福屋が激突し、戦った話…


2024年 ○月 ○日 ○曜日 ○県

私の名前は西園寺暁、超天才(自称)美少女の中学生だ。趣味と特技は特に無くて…何かをしようとすると絶対誰かに迷惑をかけてしまうのが悩みだ

こんな私でも誰かの役に立ちたい、私の人生なのになんだかまるで、自分が主役じゃないって思ってしまう、お母さんは自分の人生の主人公は自分自身だって教えてくれたけど…私は自分が主人公だとは思わない…

学校に行く支度を済ませ、玄関から出た。

ここの街は人がとても多く、同級生だけでも300人を超えている、時折、私は自分がちっぽけな存在だと痛感してしまうが、みんないい人だ!何も出来ない私とは違って…

日課…とはまた違うのかな?私には毎日決まってやることがある、それは…

「暁ちゃん、いつもありがとうね」

「毎日助かるよ…」

「いえいえ!私が好きでやってるだけです!」

そう、ご近所の農家さん夫婦のお手伝いだ、おじいさんの方は、腰を痛めやすいので、いつも決まって私が手伝っているのだ、こんな私でも誰かの役に立てる…!こんな私でも生きてていいんだ!

「それじゃ学校急ぎますんで!」

おじいちゃんとおばあちゃんが優しい笑顔で私を見送ってくれた。

学校に着いた私は、教室の扉を開けた

「暁~おはようっ!」

「おはよう!睦月ちゃん」

この子の名前は如月睦月ちゃん。元気でクラスのムードメイカー的存在だ、何も出来ない私とは違って…

「おはよう、暁ちゃん聞いてよ~また私ね、少し太っちゃったの~」

「あはは、そうなんだ、日頃の行いだね」

この子の名前は照月水無月ちゃん、おっとりしててお姉さんタイプ?なのかな…

「あうぅ!?暁ちゃんがそんな事言うなんて…」

「本当に気にしてるなら、お菓子を爆食いするのをやめなよー」

睦月ちゃんが呆れた様に言った

正直、私も同じ意見だ、体重を気にするのならお菓子なんて食べるな…そう思っちゃうよ

「授業始まるよ、席ついて…」

「分かったのです~」

「睦月ちゃん…何それ…」

先生がやってきて嬉しそうに喋った

「みんな~今日は転校生が二人来たから紹介するぞ」

転校生か…正直あんまり珍しくは無いかな…この学校に転校して来る子は多いからね

「入って来てくれ~」

凄い…二人とも、凄い美人さんだ…もう一人の方は金髪ツインテールで、なんだか少女漫画の登場人物みたい…外国から来たのかな?

「呪縛霊子です、宜しくお願いします」

「ウェルシュ・ルシファーだ、ルーシーと呼んで

くれ」

睦月ちゃんが私に耳打ちしてきた

「ねぇねぇ、あの金髪ツインテールの子凄い美人さんだよね~こりゃ男子にモテモテになること間違い無しだね!」

「そうだね、でも睦月ちゃんも可愛いよ?」

睦月ちゃんは相当驚いたようだ、顔を真っ赤にして言った

「え!?そんな事にゃいよ~」

そんな事…ないよ、何も出来ない私なんかより可愛いし、場を明るくしてくれるし…私って何のために居るんだろう…?

転校生が来たからといって何かが変わる訳でも無く、あっという間に放課後の時間になった。

水無月ちゃんはああ見えて真面目だから、生徒会の仕事があるらしく、一緒には帰れなかったから睦月ちゃんと二人で帰る事にした。

「ねぇ…いきなり、なんだけどさ」

「どうしたの?」

「呪縛霊子って子、転校してきたじゃん…?」

どうしたんだろう…睦月ちゃんらしく無いな

「そうだね、それがどうしたの?」

「○○中学校殺人事件知ってる?私達と同じくらいの年の女の子が二人殺された事件…」

何が言いたいんだろ…?

「あったね、此処とは結構離れた所で起きた事件らしいけど」

「その二人を殺したのは、幸福屋なんだけど…

呪縛霊子がその幸福屋と同じ顔してるんだ…」

つまり、呪縛霊子が幸福屋って事かな…?幸福屋って何?

「幸福屋って何?」

睦月ちゃんは呆れたようで…

「暁ちゃん…そんな事も知らないの?まあいいや、幸福屋って言うのは、幸福を前借りできる所なんだ、でもね罠があって、借りた幸福の2倍の不幸が襲い掛かってくるらしい…」

簡単に言うと闇金と一緒って所かな?

「へぇ、そんな物があるんだ」

「そう!だから、暁ちゃんは頼っちゃ駄目だよ?!」

「しないよ?!」

「なら、良かったよ~暁ちゃんは直ぐ騙されるからね~」

家に帰った私は気になって幸福屋について調べた

でも、この人の力があったら私は誰かの役に立てるんじゃないかな…?

気付けば私は、幸福屋に憧れるようになった。普通の人間には出来ない特別な力…それに私は強く焦がれた、憧れた…次第に私は幸福屋になりたいと思った、そうすればみんな私にもっと頼ってくれるかもしれない…

この時私は知らなかった、軽い気持ちで私が願った願望が私の大切な物全てを破壊した事に…

あんな醜い惨劇が起こるなんて…


「私を呼び出して何の用?ネクロマンサーさん、幸福屋は暇じゃないんだよ?」

目の前のネクロマンサーは答えた

「単刀直入に言おう、すぐに此処から立ち去れ…」

やっぱりか、確かにさ…ネクロマンサーと幸福屋は共存出来ない、これは1000年以上続いてる戦いだからね、現状、我々幸福屋がネクロマンサーに勝っている要素は少ない、これじゃ劣勢だ…

「諦めろ、実際、幸福屋は100万人しか居ないのに対して、ネクロマンサーは400万人、そして最強のネクロマンサーである、ネクロニウスが爆誕した」

ネクロニウス?!なんだそれは…?!ネクロマンサーの総督か?

「ネクロニウスって何なのさ?」

ウェルシュは得意げに言った

「我々ネクロマンサーが、創った人類の進化系だ、最強の刻印魔方、"バレットダレット"を使える」

バレットダレットだって?!そんな大技使えば…文明が一つ滅びるどころじゃ済まないぞ!?

「じゃあ一つ交渉しようよ!」

「交渉か…聞いてやる、言ってみろ」

こうするしかないか…少々癪だけど…

「あんたの狙うターゲットには手を出さない、これならいいだろ?」

少々不満があるのか、渋々了承してくれた

「こりゃ、幸福屋が圧倒的不利なんだよな~」

私の独り言は誰にも聞かれず、そこに居たのは、ただ悪戯に吹く風だけだった…


学校にて

私達のクラスには先生の怒鳴り声が響いた

「如月!どうして宿題をやってこないんだ!

提出期限2週間も遅れてるぞ、これが習慣になったらどうするんだ!?」

睦月ちゃんはクスクス笑いながら言った

「週間だけに習慣って事ですか?なかなかお上手ですな~」

クラスにはどっと大きな笑いが起きたが、肝心の先生は堪忍袋の緒が切れたのか、かつてない程怒り狂った

「如月!!!!!お前は今日居残りで宿題を終わらせろ!ざっと2か月分はあるからな、終わるのは…真夜中かな?」

「そ、そんなぁ~」

睦月ちゃん…ドンマイ…でも、ちょっとぐらい私に頼ってくれてもいいよね…?

やっぱり私じゃ力不足なのかな…もし私が幸福屋だったら、睦月ちゃんを幸福にしてられるのに…

「睦月ちゃん、残念ねぇ~」

水無月ちゃんが同情するように言った

「そういえば、暁ちゃん、幸福屋って知ってる?」

「知ってるよ!確か、幸福を前借りできるけど、その2倍の不幸が訪れるんだよね?」

「そうねぇ、その通りね、じゃあネクロマンサーは知ってる?」

ネクロマンサー?なんだそれ?魔法使いみたいな物かな?

「知らない」

水無月ちゃんが得意げに言った

「ネクロマンサーって言うのはね、簡単に言うと殺し屋よ、依頼者の恨む人間を殺して、依頼者の寿命を吸いとるの」

「へぇ、どこで知ったの?」

「テレビで知ったのよ、確か動画サイトで簡単にまとめられた動画があるから、詳しくはそれを見てね」


早速私は、水無月ちゃんに教えてもらったサイトを使い、動画を見た

「これか…ポチっとな」


「どうも、○○TVです、今日は○○中学校殺人事件の生存者の西条遥香さんと、○中学校刻印殺人事件の被害者柴崎茜さんの恋人である、山城大和さんに話を伺ってみました~」

「では、最初は、遥香さんに話を伺ってみましょうか、龍田時雨さん、紫真理亜さんとはどのような関係だったんですか?」

「親友でした…何よりも大事な仲間でした…でも幸福屋に殺されて…」

「それは…災難でしたね…では山城さんお話お伺いしてもよろしいでしょうか?」

「大丈夫です、覚悟は出来てます」

「では、茜さんは死ぬ時なんて言ったんですか?」

「茜は…最後まで、ずっと、笑ってました…

自分が後もう少しで死ぬって分かっているのに、最後までずっと、幸せそうに死んでいきました…俺がもっとしっかりしていれば…」

「それは…災難でしたね、いかがでしたか?これで幸福屋とネクロマンサーの怖さを知って貰えましたら幸いです。」

動画は終わってしまった、コメント欄にはこの世の物とは思えない様な辛辣な言葉が書き込まれていた。偽善者、お前が黒幕だろ、等見ているこっちが悲しくなってきた、見るのはもう止めよう。


私は、いつも通り、おばあちゃん達を手伝い学校に向かった

教室の扉を開けた瞬間、信じ難い出来事が起きていた

「水無月!何回も言ってるでしょ、私だって!」

水無月ちゃんも負けじと

「睦月ちゃん…今回ばかりは譲れないよ」

二人のケンカは収まるどころか、ブーストしていった、このままだと二人の友情に亀裂が入ってしまうかもしれない…取り敢えず私は何故ケンカをしているのかを聞くことにした

「落ち着いて!どうして二人ともケンカしてるの?」

二人の返事は私には、到底理解出来ない物だった」

「睦月ちゃんてば、自分がアン○ンマンって言うのよ?アン○ンマンは私なのに…」

「違うよ、少なくともアン○ンマンは、水無月じゃあないよ!アン○ンマンは、私に指さして、君さって言ってたし」

は?どうやらこの二人は某子供向け番組のエンディング曲のサビの歌詞が原因で揉めているようだ…取り敢えず、言わなければならない事がある

「アン○ンマンはこの私、暁だよ!!」

「んなぁ!?」

「暁ちゃんまで…私、手加減出来ないかも…」

私達は揉めに揉め、結局アン○ンマンは睦月ちゃんになってしまった…

「特別に暁ちゃんは、ばいき○まんになったんだし…」

そう、私はばいき○まんの権利を手に入れたのだ

対して、水無月ちゃんは…

「でも!私はジ○ムおじさんってどういう事よ!許さないからね、アン○ンマンの恨みは怖いんだぞ~」

取り敢えず二人が仲直りしてくれて良かった良かった…

「やぁやぁ、仲良しだね~」

霊子さんだ、何の用だろう…

「単刀直入に言うよ…君たち、幸福屋に興味無いかな?莫大な幸せを感じる事が出来るよ?

それと、誰かの役に立つ事が出来るかもよ?」

誰かの役に立てる…!?その瞬間、私は幸福屋の憧れを止められなかった、こんな私でも、誰かの役に立てるんだ!

それを見抜いたのか、霊子さんは、こっそり私の耳元で囁いた

「夜、8時に銀色公園で待ってるからね」

霊子さんは、私達を置いて行ってしまった

その後私達は、すぐに別れそれぞれの家に帰った

幸福屋…私の頭には、それしかなかった…


金色公園にて

私は、あるネクロマンサーと待ち合わせをしていた、どうやらネクロマンサーのトップで私の才能を見込んで話があるらしい。

「ウェルシュ、どうだ?様子は」

私は相当驚いたのか、慌てて言ってしまった

「ゴルド・フェニクロウ様!?」

この方は、ネクロマンサー界最強の男だ…かれこれ800年以上は生きてきたが、この方が討伐出来なかった幸福屋は存在しない…かつて、我々ネクロマンサー達を恐怖のどん底に叩き落とした最強の幸福屋であるガブリエル・メルビレイ倒した。瞬く間に彼は英雄になり、今はネクロマンサーの王をやっている

「申し訳ありません!今月はまだ一人しか…」

「良いんだ、幸福屋を始末してくれればいいから…」

期待に応えなければ…私の妹がどうなるか…

「分かりました…殺します…」

本当は、殺したくなんてない…望んでネクロマンサーになったんじゃ無い…

「あはは、良かった良かった、何か有ったら私を頼ってくれ…私は…"不死鳥"だから…」


20時 銀色公園にて

「本当に来てくれたんだね、感激感激」

「本当に私を幸福屋にしてくれるの?」

「ちょっと違うよ、君に幸福屋の力を与えるのさ

勿論、2倍の不幸で返してね⭐」

本当に良いんだろうか?私は間違っていない筈…

「分かりました、契約しましょう!」

「契約成立っと」

私は新しい力を手に入れたんだ…!もう、何も役に立てない駄目な私じゃ無いんだ!


次の日の朝


ハッキリ言って私は怖いぐらいに好運だった

道を歩けば、アイドルの推薦や宝くじが落ちていたり、道端に500円玉が落ちていたり、とにかく好運だった…怖いぐらいに…


学校にて

「睦月ちゃん!水無月ちゃん!おはよう!」

「暁ちゃん、朝からご機嫌だね、おはよう」

「ご機嫌なのは良いことね、おはよう」

睦月ちゃんが嬉しそうに言った、まるで自分の事かの様に…

「およよ?何か良いこと遭ったの?」

私は勿体ぶって言った

「聞きたい~?今なら聞かせてあげても良いんだよ?」

「ハイハイ!聞きたいで~す」

「実はね、私…幸福屋さんに遭ったんだ~!」

その瞬間、睦月ちゃんと水無月ちゃんは言葉を失ったのか、絶句した

「幸福屋って…幸福を受けた分、不幸を2倍で返さないといけないんだよ!?暁ちゃんもしかしたら、死んじゃうかもしれないんだよ!?もし、暁ちゃんが死んだら…取り残された私達はどうすればいいの!?」

不覚だった…もし、私が死ねば、取り残された二人に不幸を振り撒いてしまう、だけど現実は残酷で、もう遅かった…

「ごめんね、ごめんなさい…こんな、頼りない友達でごめんね…」

「馬鹿ッ!暁ちゃんは頼り無く無いよ!いっつも私達は、暁ちゃんに頼ってる…頼ってくれなかったのは暁ちゃんなんだよ?こんなになるまで抱え込んで…馬鹿馬鹿!」

私はなんて事をしてしまったのだろう…こんなにも頼ってくれていたのに、結局頼ってなかったのは私自身だったなんて…時、既に遅し…か…


私はその後沢山の不幸を浴び、交通事故で死んだ

でもね、私ね、幸福屋と契約して良かったって思うの、死ぬ前に大切な事に気付けて、私を頼ってくれてるって知ったから…唯一の心残りと言えば…死にたくなかったな…また3人で放課後の帰り道を歩きたかったな…今度は私がアン○ンマン

になってやるんだ…



「どうやら…死ぬ前に大切な事に気付いたんだね…魂が殺傷石と共鳴してる…」

殺傷石…それは死んだ者の魂が綺麗なら、共鳴するが、後悔や、恨みを思い浮かべた魂に近付けると割れてしまう

「最初の魂は汚かったから、兵器に詰め込むしかなかったけど…本当に殺傷石と兵器なんかで、メルビレイ一族を復活させる事なんて…出来るのかな?」

私はこの時知らなかった、この殺傷石が、あの惨劇の様な戦争を引き起こすなんて…

1000年も続く戦いが起こるなんて…想像もしなかった


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