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凛子と僕  作者: 空乃すず
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凛子と僕


 凛子と僕にはズレがある。僕が熱を出した時に、凛子は僕の好物のどっしりとしたチーズケーキを買ってきた。いくら好物だからってご飯食べるのもしんどい時に濃厚チーズケーキはなかなか重たい。

 でもそれは凛子にしたら彼女なりの精一杯の介抱で、愛で、その愛はケーキと同じくらい重たいことも知っていた。

 凛子は僕がフツーだとか当たり前だとか思っていることをことごとく覆した言動をする。

 近くのコンビニに歩いて一緒に買い物に行った時、僕が車道側に移動した時「つーくんは右手で手を繋ぎたいの?」と聞いてきた。

 多分凛子はマジで分からないんだと思って僕はカッコつけずに教える。

「車危ないからこっちきてんの」

「えー! それでわざわざ代わってくれたの?」

 と凛子はうれしそうに目をきらきらと輝かせた。別にこのくらいでそんな喜ばなくてもいいのに。最初は無知なだけだと思っていた。

 この間電車に乗った時は、二つ席が空いていて凛子は座席の端を空けて隣に座った。

「端っこ座りなよ」

「え?いいの?」

 と、凛子は心底驚いた顔をしていた。少し戸惑ってから端に座ってそしてすぐまたうれしそうな顔をした。

 だんだんと凛子と過ごしていくうちにただ彼女が無知なわけではないことに気がついた。凛子の言動は彼女の父親や以前の元彼達によって形成されてしまったものだと。

 お母さんがこうしてたから、とか元彼はこうしてほしそうだったから、とかポツリとこぼすのを聞くと男尊女卑の思考が刷り込まれているようだった。

 僕の家はというと、全く逆で父がレディファーストの人だった。だから僕もこんな風に育ったんだけど。

 だから凛子は譲り合いが必要な場面ではいつも戸惑った表情を浮かべる。自分が譲るのが、当たり前だったから。戸惑いながらもうれしそうにする凛子は可愛らしかった。

当たり前にやってても、ずっときっと我慢してたんだろう。その時の凛子の笑顔は何度見ても飽きることはない。彼女を優先させるのは、僕にとってもうれしいことだった。

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