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未明  作者: エース
2/3

俺が此処に来て二日目。

起きた時は7時になっていた。勝手に使っていいのかはっきりしてはいないが洗面所で顔を洗い、置いてあったハブラシで歯をみがく。

着替えがないと思っていたらベッドの上に服が置いてあった。サイズもぴったりだ。 どうやって調べたのかはこれもまた分からない。

だが何の仕掛けもないと分かった俺は素直に着替えることにした。


もうすっかり馴染んでしまったのか、言うことを聞くしかないと諦めたのか・・

自分でも詳細は定かではない。がそんなことはどうでもよくなってしまっている自分がいる。

そんな呑気なことを考えているとドアのノックする音が聞こえた。 俺が返事する前に開いたが相手はある程度特定できているのであまり気にはしない。


「おはよう。真くん。朝食の準備ができている、ベッドに着替えが置いてあっただろう? もう既に着替えているようだが。 昨日の部屋で待っている。」

案の定訪ねてきたのは笹峰だった。

言いたいことだけいうと出て行ってしまった。俺は後を追うように昨日の部屋へと向かった。


部屋に入ると洋風の朝食が準備されていた。昨日と同じ席に着き食事をとった。

食べ終える頃に笹峰が俺の正面の椅子に腰かける。古そうな本を持って。

「あの、それ何の本なんですか?」

なんとなくだか本の存在が気になり聞いてみた。

「この本は今向かっている目的地、ザータナという国の歴史について綴られている。君を此処へ連れてきたのと深い関係があってな。昨日話さなかったことを今から話そうと思う。」

ザータナ?そんな国名初耳だ。それもそうか、地球には存在していないんだからな・・・。

そんな地球と無関係な国が何故俺なんかと関係があるのだろうか?


とても疑問に思っていたら笹峰が口を開いた。

「今から話すことはほとんどがこの本に書かれていることだ。よく聞いてくれ。」


   今から約500年前、地球から20億光年ほど離れたある小さな星にタナユラと呼ばれる地球から   は確認できていなかった未確認生物が存在していた。

   彼らはどこの星の者とも交流せず、タナユラ独自のやり方で国を作り、共存していった。

   彼らは互いを信頼し合い、助け合って生きてきた。

   そんな平穏な日々が過ぎていく中、ある日突然、異星からドーラと呼ばれる者たちが来襲、タナユ   ラの国、星までもがボロボロになっていった。

   タナユラ族は数年前まで絶滅したとされていたが、一人だけ生き残っていると言われている。

   彼女の名はノウ。タナユラ族唯一の女だった。 彼女は他の者から逃げるよう言われ、タナユラ族

   しか知り得ない地下室へと逃げ込んだ。ザータナは全宇宙の中で唯一、宇宙全体の星の数、位置、

   存在しているものを知ることができるまでに研究が進んでいる星だった。

   ノウはその研究室にこもり、ドーラ族にばれないようSOSを発信し続けているという。

   

「これが現代にまで続いていて、現に我々地球人にSOSが届いたというわけだ。 理解して頂けるかな?」

星の名前と言い生物と言い、すべて初耳のものばかりだ。とてもすぐには信じがたい話だ。

そして笹峰達は一体何者なのか・・・ これを聞けばある程度なら理解することができるかもしれない。

「なんとなくですけど。 てかあんたらは一体何者なんだ?」

「おっと、それを話していなかったね。 我々は極秘宇宙研究員の一人で、捜索班に所属している。青海も私同様、捜索班員だ。彼が班長で私が副班長。この船を操縦しているものが3人ほどいる。」


なるほど、これなら少し信じることができるかもしれない。現実味を帯びてきているせいなのかなんなのか・・・。

「じゃあ、そのSOSってやつと俺の関係って何なんですか?」

「うん。これが一番重要だな。これもよく聞いてくれたまえ。」


   真の両親は事故死する前、宇宙研究員、研究班に属していた。様々な研究を進めていく中で、ザー

   タナの存在を知り、SOSについての研究も進めていた。 ザータナについては地球上で一番理解

   していた人物が真の両親であった。宇宙船を造る際にもザータナにまで行けるようにするため、多   様な機能についての助言などもしていた。これはとても重要な資料な為、自分たちにもしもの事が   あった場合、それを受け継ぐ人物を特定しておかなければならなかった。そこで結城家長男である

   真に託してあるという遺言が残されていた。 その頃当の本人は何も知ってはおらず、現在に至っ

   ている。


「我々はそのザータナについての重要資料を見せてもらうべく、君に同行してもらうことにした。もちろん両親には前から言われており、遺言も聞いている。」

父さんと母さんが極秘研究員だったなんて・・・。 そういえば何かのファイルのような物を持たされていたな。 あれなのか? 父さんが{肌身離さずこれを持っていなさい。いつか必要とする日が訪れるだろうから}って言ってきたあのファイル。 あの頃は何も分かっていなかったから一回もあれを開くことはなかったな・・・。

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