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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ひび割れた世界 〜不遇な修復士は正義を見出す〜

作者: 佐倉 和

これは誰しもが一度は聞いたことがある御伽噺。

絵本にもなっているから子供でさえ聞いたことがある物語だ。


=====


昔々あるところにお姫様がいました。


お姫様は国民の声をよく聞く優しい心を持ち、国の繁栄を導くべく行動力を持った素晴らしい女性でした。

国民からの信頼も厚く、次期国王となる事が約束されていました。


しかし悲劇が彼女を襲います。

世界を憎み、飲み込まんとする魔王の毒牙が彼女を狙うのでした。


ある若者が立ち上がり、お姫様を守ろうと魔王に立ち向かいました。

しかし若者の抵抗虚しく毒牙はゆっくりと、確実にお姫様の胸に沈み込み、彼女の命を奪いました。


若者と魔王は戦いました。

激闘の末、若者が魔王を撃ち倒したのです。

若者は世界を救った英雄となり、勇者と呼ばれる様になりました。


世界が平和になるかと思われましたが、死に際の魔王は黒い【繭】に籠り、深い深い眠りにつきました。


勇者の戦いは終わりません。


いずれ【繭】が孵化し復活した魔王を倒すまでは。


おしまい


=====


不快な音が鳴り続ける。


それは、ガラスが割れる様な音であったり。


それは、凍りついた水溜りを踏んだ時に聞こえる軋む様な音であったり。


割れる様な音、ひび割れていく様な音が奏でる不協和音。


音と共に【漆黒の境界】はひび割れ続ける。


それは世界の終わりが近づいてくる足音だった。


=====


僕は物心ついた頃から【漆黒の境界】に触れ続けている。


今自分が何歳なのかわからない。

だけど確かなのは5歳の頃から毎日休むこと無く、徐々に壊れる境界を修復している。

本当に休むこと無くだ。


24時間寝る間も惜しまずに修復している。

僕の体には何本もの管が繋がれていて、食べる事や眠る事なく尽きる事の無い魔力で境界を修復できる。

生命活動維持魔力補給機っていうらしい。


毎日毎日何をする訳でもなく、ひたすらに【漆黒の境界】を修復する。


それが【修復士】としての僕の運命だ。


そう教わった。


遥か昔、この世界には魔族がいたらしい。

魔族は人間に敗れ、絶命間際に世界に呪いをかけた。

憎悪が徐々に世界を蝕み、喰いつぶす最悪の呪いらしい。


そんな呪いでひび割れ続ける世界の境界を僕たち【修復士】が癒し、世界の終焉を喰い止める。

僕の生まれた理由であり定めだ。


「お疲れ様です修復士様。お食事を持って参りました。」


僕の人生最大の楽しみである食事の時間だ。

生命活動維持魔力補給機があるから食事なんて必要ないらしいけど、どうしても補給機だけでは補えない栄養素を、週一で食べ物から補給しなければいけない。


メイド服を着た真っ黒な瞳に、真っ黒な髪をした女性が、ドロドロで味の無い食べ物を僕の口に運んでくれる。


久しぶりに人を見ることができたこと。


久しぶりに人に話しかけて貰えたこと。


久しぶりに食事をしたこと。


そんな幸福に包まれながら、休むことなく僕は修復していた。


ひび割れた世界を


=====


来る日も来る日も修復し


毎日毎日修復し


ただただ時間だけが過ぎていく。


その日もいつもと何ら変わりのない日だったのに、まさか僕の【修復士】としての人生が終わる日だなんて思ってもいなかった。


凄い音がした。

聞いたことのない轟音だ。


目の前に大きなひびが入り、漆黒が割れて破片が飛び散る。

見た事が無い大きなひびだ。

僕は焦ること無く、飛び散った漆黒の破片を魔力で回収し元の位置に戻し修復する。


いつもと違った。

修復せど修復せど大きなひびが入り続け、いつもより大きな破片が飛ぶ。

僕もいつもより早めに修復するよう心がけた。

他の修復士達に迷惑を掛ける訳にいかないのだから。

もし僕の修復が間に合わなくて、世界が終わるなんて事は許されない。


甲高い音が連続して響き渡る。


音なんて物で表現できる規模を超えている。

それに音だけじゃ無く世界が揺れ始めたのだ。


さすがに他の人も異常に気付いたらしい。

どんどん人が集まり、僕の事を離れた位置で沢山の人が観ている。


そんな時、目の前のひびから光が差し込む。


目が開けられない。

【漆黒の境界】が割れた隙間から黄金の光が差し込むと共に、すごい勢いの風が入り込んできた。

意外と焦りは感じない。

人間は未知と遭遇すると理解が追いつかず思考が停止するんだ。


この漆黒を突き破る光が世界に何をもたらすのだろうか。


でも諦めては行けない。

今も尚、修復し続けている両腕から流す魔力を増やす。



バキンッ



金属同士がぶつかったような鈍く甲高い轟音が鼓膜を貫いた。

差し込む黄金の輝きにより目を開けることができないが僕は感じた。



世界の終わりが来たのだ。



そうして何年かぶりに【漆黒の境界】から手を離し終焉を受け入れた。

そう僕は諦めてしまったのだ。


「やったわ!やっと【繭】に穴を開けることができたのよ!」


大きな声だ。

大きな声なのに不快だと思わない綺麗な鈴の音。

ずっと聴いていたいと思わされる澄んだ声が耳に入り込む。


「あぁん?たまたまだろ!!!何千年も破ることのできなかった【繭】だぞ。蓄積したダメージのおかげに決まってんだろ」


また大きな声だ。

でもさっきのとは違い荒々しく粗暴な声。

刺々しく何者にも噛み付いて行きそうな音が鼓膜を叩く。


「はっはーん、さては悔しいんでしょ!」


「んだとこらぁ!こんなハリボテ、俺様だって穴開けるくらい楽勝だ」


あっはっはと、お腹の底から笑う鈴の音に対し、トゲトゲと言い返す咆哮。

そんなやりとりが続いてる中、僕は光に慣れ目を開ける。


「綺麗…ねえジャン何かいない?」


「離れた方がいいんじゃないか、魔族かもしれねぇ」


「ちょっと照らしてみる」


「俺の言葉聴いてたか?危ねえから止めろ、少しは護衛してる俺の気持ち考えろよな」


「大丈夫だって、昔からジャンより私の方が強いんだから、何があっても守ってあげるよ」


「俺の方が強えよ!もう勝手ににしやがれ」


笑う鈴の音が好奇心に負け、魔力を光の球へと昇華させる。

僕のぼやけた視界の中に光の球体が映り込む。

初めて見る現象に僕の興味は惹きつけられる。


「人だわ!人がいる!」


「おい離れろサラ!【繭】が閉じてきやがった」


【漆黒の境界】の修復が始まる。

飛び散ったカケラが元の位置に戻り始め、穴を修復しだす。

きっと僕以外の修復士達が頑張ってくれているおかげだ。


ジャンと呼ばれていた男性の指摘により、僕の前から光の球と2人の声はいなくなった。

光の球がいなくなった事で【漆黒の境界】の向こう側が僕の目に入り込む。


僕の目に映ったのは見た事の無い、綺麗で鮮やかな色達だった。


上には大きく広がる青とまばらに散らばる白、下には動く緑が広がっている。

そんな美しい色達を見た僕の心は跳ね上がった。


「あなたもおいで!」


そうして沢山の色が溢れる世界に見惚れていると、サラと呼ばれていた鈴の音を鳴らす女性が僕の前まで駆け戻り、細く綺麗な手を差し伸べる。


この時どうしてその手を取ったのかわからない。

黒に見慣れた僕には、白く伸びる手が綺麗に見えただけなのかもしれない。

本当にわからない。


だけど僕はその手を取ったんだ。


もう小さくなってしまった穴を僕の細い体は通り抜ける。沢山の管と共に。

穴が塞がってしまったことにより僕を繋ぎ止めていた管は千切れてしまった。


サラという女性に、抱きしめられる様に受け止められる。

こんな形になったが他人に抱きしめられるのは物心がついてから初めての経験だ。


あたたかい。


他人が最後に触れたのは、今も僕の背中や身体中に力なくぶら下がり謎の液体を垂れ流している生命活動維持魔力補給機の残骸、これを取り付ける時だ。

そんなことを思っていると肩を優しく掴まれサラと向き合う形になる様、正面に立たされる。

きっとこの支えが無ければ何十年も座りっぱなしだった僕は倒れていたであろう。


「私の名前はサラ!サラ・アウタリア、あなたの名前は?」


「……名前は、ない」


物心ついた時から【修復士】とだけしか呼ばれたことがない。

名前を問われ困惑していると、今にも襲いかかってきそうな咆哮が炸裂する。


「あ?ふざけた事ぬかしてんじゃねーぞ!」


「ジャン、怯えちゃったでしょう!」


サラに注意されジャンは盛大な舌打ちをかまし、獣の様な瞳で僕を睨みつける。

サラが沢山の質問をしてきたが、僕が答えられたのは一つだけであった。


「言語は同じなのにね、あそこで何してたの?」


「【漆黒の境界】を修復していたんだ」


そんな時だ。

突然意識が朦朧としてきた。

きっと生命活動維持魔力補給機から切り離されたせいだろう。

自分の知らない世界で意識を手放すのに恐怖が立ち込めるが、抗うことが出来なかった。

倒れる僕をサラは再度抱きとめる。


暖かく心地よい久しぶりの睡眠だった。


=====


目が覚めると暖かく柔らかなものに身を包まれていた。

これは寝る時に身体を温める布団なる物だと後で教えてもらった。


「お覚めになられましたね」


僕の寝ていた布団の隣には初老を感じさせる男性が座っていた。


「お嬢様をお呼びいたしますので少々お待ち下さい」


そうして部屋から男性が出て行った数分後に、サラが部屋に突然現れた。

文字通り突然現れたのだ。


「おはよう!やっと起きたのね。3日間寝ていたから心配したわよ」


突然現れた事の説明は無いらしい。

どうやら僕は3日間起きる事なく寝たきりとなってたのだった。

数年ぶりに寝たおかげで頭がとてもすっきりしている。


「さてちょうどお昼時だからランチにしましょう」


初老の男性に自分もこの部屋で食べるとサラが言うと、小さな部屋にテーブルと豪勢な食べ物達が並ぶ。


「さあ食べましょう」


「いただきます!」とサラは手を合わせ食事を始める。

僕は目の前に並べられた食事の食べ方がわからなかった。

唯一食べ方のわかる暖かい液体を食べ続けていると、サラは心配そうな表情で何故スープしか食べないのかと尋ねてくる。


「食べ方がわからないんだ」


小さい頃からドロドロした食べ物のみを食べてきた。

今目の前にある形ある食べ物達の食べ方がわからい。


「口を開けて、よく噛むのよ」


サラは自分の食事を後回しにして、僕にゆっくりと食べ物を食べさせてくれた。

固形物を口に入れ噛み締める度、溢れ出す匂いが僕の脳を刺激した。

今まで感じてこなかった味覚の覚醒に衝撃を受けた。


こんな時になんて言えばいいのかわからない。


「どうしたの?口に合わなかった!?」


「違うんだ…初めてが嬉しくて」


「そう、それは良かった」


サラは僕に何も聴いてくる事なく食べ物達を食べさせてくれた。

その優しさに触れ僕の心が温まっていく。


食事を食べ終わったら外へ出ようと誘われたので外出する事になった。

初老の男性が何か怒っている様だけど、サラは無理やり僕を外へ連れ出した。


「みんな心配してくれてるだけなの、でも大丈夫!私とっても強いから」


どうやらサラは王国の第二皇女という身分の高い女性らしく、外出するのにも一苦労らしい。

人気の無い路地に入り込み、サラが何もない空間に手をかざすと、キラキラと輝く綺麗な光の輪が現れた。

手を引かれ僕はその輪を通り抜ける。


「ここなら誰も来ないし盗聴される事もないでしょう」


草木が生い茂り、川が流れる森の中に一瞬で移動したのだ。

切り株の上にサラが腰をかけ、もう一つの切り株に座る様にジェスチャーする。


「じゃあ改めて聞かせて、あなたは何者なの」


真剣な眼差しで問われた。

僕は僕のことを語った、今までのことを。

親も分からずに物心ついた頃から少しの教育を受け、世界の終焉を防ぐために【漆黒の境界】を修復し続けていた【修復士】としての今までを。

しかし話す事は少なかった。

だって何も無い人生、いや運命であったから。


「そ、そんなの酷すぎる」


サラは泣いてくれた、僕の話を聞きながら。

何故泣いているのか分からない。

こんな時どうすればいいのかも。


「あの黒い壁はね結界なの。私たちは【繭】と呼んでいるわ」


暫くしてからサラは真っ赤になった瞳で僕を見つめながら語り出した。

あの漆黒の壁は、過去に大罪を犯した魔王が能力で生み出した結界らしい。

その者は厄災の魔王と呼ばれ、世界を自分の物にすべく従わない人々を惨殺し世界を恐怖で縛り上げたのだった。

そんな中、勇者が魔王との死闘を繰り広げ勝利を収めた。

止めを刺す前に魔王は自身を守る結界を生成し、身を潜め隠れた。

以降、世界に平和は戻ってきたが、魔王が身を潜める恐怖の象徴【繭】だけが残ったのだった。


何千年経っても消えず、目に映り込む恐怖の象徴をアウタリア王国は破壊すべく攻撃していたのだとか。

そんな中、幼馴染であり護衛のジャンと力比べで【繭】にダメージを与えていたら、僕を見つけたらしい。


「私があなたを幸せを教えてあげる」


決意を自分に言い聞かせる様にサラは言葉にした。


「私はね沢山のスキルを持っているの」


唐突に語り出す。

この世には15歳なり成人すると神からスキルを与えられる。

通常1人1つのスキルを獲得するのだが、サラは特別で沢山のスキルを持っているらしい。

この森に来た時の光の輪は【転移】という瞬間的に移動するスキルで、あの町とこの森ではかなりの距離があるとのことだ。

なんなら広大なアウタリア王国の土地の果てらしい。


「あなたのスキルは【夢想】というの初めて視るスキルよ、あなたが言っていた修復とは全くの別物ね」


サラは【鑑定】というスキルも持っているらしく、他人のスキルを確認する事が出来る。

鑑定はスキル名のみわかるらしく、能力の詳細まではわからないらしい。


「…ノウ…、ノウン!ノウンはどう!?」


「な、なんのこと?」


「名前が無いんでしょ?だから私が今決めたの。どう?」


「わ、悪くないと思う」


「じゃあ決まりね!」


とても険しい顔で何を考えているのかと思ってはいたが、まさか自分の名前を考えていてくれているとは思ってもいなかった。


あたたかい。


彼女といるとそんな気持ちになるのだった。


=====


あれから1年の時が経った。

沢山の経験をした。

色々な言葉を教えてもらった。

荒く刺々しいサラの幼馴染であるジャンと友達になった。

沢山の美味しい食べ物も食べた。

サラと色んなところに行った。


本当に楽しい時を過ごすことが出来た。


今日は人類の宿命【繭】を破壊する日らしい。

繭には何百年もの間、毎日ダメージを与えているのだが、すぐに修復されてきたらしい。

しかし僕が抜けた事により攻防のバランスが崩れたのか、【繭】の修復を上回り今日にも破壊できるそうだ。


国を上げての魔王討伐。

何万という兵士を引き連れ【繭】を一方から攻める。

一方向からの集中攻撃で破壊する作戦らしい。


僕とサラは、もし本当に魔王が現れたら戦うべく後衛にいる。

アウタリア王国にいる男の大半は、この戦いに強制的に参加する形となった為、僕も防具に身を包みこの場に立っている。

ジャンは例外であり、その強さを買われ王国に万が一があった時の守備として残っている。

まあ僕は何もできないのだけど、近くで守りたいとサラが言うからサラのいる後衛になった。


誰かの大きな号令と共に、前衛の兵士たちが一斉に攻撃を始める。

火球、水球、風刃、土塊等の魔法攻撃や、武器による物理攻撃で繭にダメージを与えていく。

数分後、ガラスが破れる様な音と、土煙を盛大に発生させ黒い結界が崩れ落ちた。


何年もの間、あれを修復していた事を思い出し、少しばかり寂しくなる。


土煙が消えると、人影が沢山見え始めた。

その人影は黒光りした筒の様なものをこちらに向けていた。


沢山の破裂音がする。

破裂音と共に小さな鉄の塊が飛び、アウタリア軍前衛の人々の体へ吸い込まれていく。

血飛沫を上げ倒れる兵士たち。

【繭】の中では科学という魔法とは別のものが発展していたらしく、誰だも高火力の攻撃が出来る兵器を作り上げていたのだ。


パニックに陥りそうになる前衛だったが、魔法の防壁で容易に護れる事がわかってからは優勢だった。

たまに大きな鉄の塊や魔法が飛んでくる事があり被害が出たが、時期に魔王軍を壊滅させるであろう。


そのはずだった。


前衛にいた何万という兵士達が、一斉に嫌な音を立て潰れたのだ。

まるで見えない重力に無理矢理押し潰される様に。


後衛にいた僕らは声を出す事すら許されなかった。

空中に佇む圧倒的な存在に気を取られて。


見ただけでわかる強者、何百年も前に敗走した亡霊。

漆黒の鎧を全身に纏い、現世に舞い戻った最恐の存在。


厄災の魔王が【繭】から孵化したのだ。


「魔撃隊!うてぇーーー!!!」


【繭】を破壊した時のように魔法が魔王目掛けて次々に放たれる。

轟音が連続して炸裂し爆煙が舞った。

これだけの数、兵士がいるにのに気持ちの悪い静けさが、場の緊張感を物語る。


「そ、そんな化け物だろ」


爆煙の中から無傷で現れた魔王を見て、誰かが呟いた一言がやけに響き渡る。


「皆んな伏せて!!!」


いつものサラからは考えられない大声が発せられる。

僕はサラに足をかけられて転んでしまった。


サラがロングソードを抜き、目には見えない何かを受け止める。

目も開けられない衝撃波がサラを中心に爆散した。


「うわあああああ!!!」


1人の兵士が悲鳴を上げてパニックに陥った。

それは自分の左腕が謎の斬撃により切り落とされた痛みによる悲鳴だ。

その者がパニックに陥ったのは他にある。


後衛部隊の左翼が、サラよりも左側にいた人間達が上半身と下半身に分かれ、生を絶たれた。

サラが止めた不可視の斬撃は、無慈悲にも大量の兵士を切断し、叫ぶ兵士の胴に当たる事なく左腕のみ切り落とした止まったのだ。

パニックが伝染し統率できなくなった大勢の人間は逃げ始めた。


「私達が何をしたと言うのだ」


魔王が右手を振りかぶる。

またあれが来る。

恐怖で動けない僕は目を閉じて覚悟を決めた。


「貴方は大勢の命を奪った!」


いつまでも不可視の斬撃が来ないので目を開けると、魔王に呼応する勇者が、殺意の籠った右腕に切り掛かっていた。

元々サラがいた場所には光の輪が出ており、転移のスキルで魔王の元へ行ったのだろう。


魔王の右腕は、サラの強力な斬撃を受けても微動だにせず押し返した。

サラは重力に引き寄せられ地面へと落下するが、転移を使い魔王の頭上へ移動し追撃する。


「永い時が過ぎたが、この世界は変わらないのだな」


魔王は片手でサラの斬撃を受け流し、サラに掌を向ける。


「くっ!」


不可視の壁がサラを襲う。

全速力で走る馬車に追突された衝撃が、可愛く思える衝撃を全身に受け、地面へと急降下する。

兵士たちが逃げ出したおかげで、誰もいない大地に激突し、大地が割れ捲れ上がる。


再度、転移を使い魔王の斜め後ろにサラが現れる。

振りかぶったロングソードに魔力が力一杯込められ光を伴う。

黄金に輝くロングソードが漆黒の魔王へ叩き込まれた。


魔王は勢いを殺せず大地に堕ち、新しい穴を開ける。

その穴は先程、サラが激突して出来た穴よりも大きく、サラの力を示した。


「うう、すごすぎる」


ノウンは衝撃と砂埃から身を守るため地に伏せるのが精一杯だ。


「おとぎ話だと思ってたけど、本当に魔王が眠っていたなんて」


確かな手応えを感じたサラがノウンのそばに転移して来た。

しかし砂埃が晴れた先に魔王は立っている。


「俺が魔王か」


「王女を殺害して国を滅ぼしかけた貴方が、魔王以外の何だっていうの?」


「そうか、後世にはそう伝わっていたのだな」


魔王から暴風のように魔力が迸る。

魔力が魔王の右手に集約され、漆黒の剣を生成する。


「やはりこの世は腐っている」


その言葉を開戦の合図とした様に、ノウンの目には追えない剣戟が繰り広げられる。

途中で何度か頭から血を流すサラが光の光線を放つが、魔王の鎧は傷一つ入らない。


鎧の防御力が高い魔王は防ぐ必要がない為、握る漆黒の剣は攻めのみに全力を捧げる。

その反面、黄金の勇者は攻めと防御を、己が剣で行わなければならない。

明らかに劣勢になるかと思われたが、スキルの多さでカバーする。


漆黒の刃が首を狙うが、転移で回避する。

漆黒の狂気が胸を狙うが、光り輝く炎が防ぎ、魔王を襲い返す。

漆黒の憤怒が頭から股下までを一直線に切り裂こうとするが、光の盾が防ぐ。


互いに一歩も譲らない膠着した状況が続く中、魔王が動きを見せる。

周囲に漆黒を生み出す。

それは2本の剣となり浮遊しながら斬撃を放つ、第3、4の腕となりサラを襲う。


防戦一報となるどころか、多彩なスキルを行使しても追いつかない斬撃に体を痛めつけられる。

確実に疲弊していく状況にも関わらず、何故かサラは魔王との力の差を埋めていく。

これはサラのテンションの昂りに合わせステータスを変動させる【アクセル】というスキルが、ギアを上げ続けているからだ。

近距離による剣戟のぶつかり合いが、花火の様に火の粉を散らす。


魔王が漆黒の剣を生成する。

それは幾重にも重なり合い、空を覆い尽くす黒い積乱雲となり漆黒の刃を降らした。


「うそだろ」


ノウンは戦慄した。

それは自然の猛威の如く全てを巻き込まんとする。

山を、大地を、勇者を、ノウンを、逃げる兵士を、そして魔王すらも飲み込み食い尽くした。

形を保つことを忘れ山が平地となり、地が崩れ、兵士が消えた。

残ったのは漆黒の繭を纏った魔王と、血だらけになりノウンを守り抜いた黄金の勇者だけだった。


「甘いが故の敗北を恥じれ」


ノウンを守る為に必死だったサラは転移の輪を閉じることを失念した。

それを見落とす魔王ではない。

光の輪を潜り抜けた漆黒の魔王が黄金の勇者を穿つ。


「あああ、サラ!」


「大丈夫」


ノウンを抱く様に覆う勇者の胸からは黒が飛び出し、綺麗な口から赤が溢れ出す。

自分が一番傷ついているのに優しい顔をしている。


「終わりだ」


魔王は勇者と繋がる剣を手放し、新たな剣を生成し振りかぶった。


「いやだあああぁぁぁぁ!!!」


感じた事の無い激情が自分の内側から、魔力と共に流れ出す。

それは漆黒の盾を作り出し、魔王が振るう漆黒の刃を弾いた。

完璧な隙を見逃すはずの無い少女が叫ぶ。


「はああああああぁぁぁぁァァァ!!!」


少女は諸刃の剣を全力で振るった。

生命を魔力に変換する禁忌を犯し、許容範囲を超過する莫大な魔力を瞬発的に得たのだ。


膨大な魔力を纏うロングソードは、黄金を通り越し白く唸りをあげ漆黒を切り裂き突き進む。


「ぐっおおおおおおぉぉぉぉぉォォォォオオおおおお!!!」


魔王は脅威のスピードで弾かれた剣を切り替えし、漆黒を振るう。

お互いの咆哮が譲れない物の為に、己の正義を突き通すべく剣を振るいあった。


漆黒と黄金が世界を二分した。


「うう、どうなったんだ」


ノウンは心地良い温もりを後頭部に感じ目を覚ます。

いつもより白く、赤や黒を混ぜた彼女が微笑んでくれた。


「さっきはありがとうノウン」


「無我夢中でどうやったのか自分でもわからないんだ。サラは大丈夫?」


「うん大丈夫だよ」


彼女の肌は白を通り越し青くなっていた。

胸から生える漆黒の剣がそうしているのか、それとも僕の頭を撫でている反対の手から脇腹にかけて消失しているからなのか。


「サラ」


「なあに?」


世界が歪む。

初めての景色だ。

サラと会った時から沢山の景色を、色を見てきた。

もうこれ以上は無いと思っていたのに。


「ありがとう」


「私も楽しかったよ。ノウンといれて」


「う、うううサラ…」


歪む世界がノウンの瞳から落ちサラの手を伝う。


「泣かないでノウン。私がいなくてもノウンなら大丈夫」


「あああ、そんなこと言わないでよ。君がいなきゃ、サラがいないと」


「ノウン」


サラの瞳が強くノウンの瞳を貫く。

それは黄金の勇者の最後の光だろう。

その光を、輝きを見逃してはいけない。


「あなたのスキル【夢想】は一度見たスキルを完全に再現できる最強のスキルよ。私の【鑑定】は特別でスキルの詳細も見えていたの。本当はゆっくり使い方を教えてあげようと思ったんだけど、無理みたい。自分の為に生きて自分を見出してね」


「わかったよ」


「またねノウン」


サラは最後まで力強くノウンに言葉を残した。

何度も名前を呼んだ。何度も何度も何度も。

しかしサラが返事をする事は無かった。


「ふん、サラは死んだのか」


あれからどれくらい時間が経っただろうか。

背後から声がする。

魔王ならいっそ自分のことも殺したくれと願う。


「あそこにいるのが魔王の様です」


逃げた兵士が帰って来たのかと思ったが違う。

高身長のメガネを掛けた男と複数の兵士が現れた。


「私が引導をくれてやろう。喜べ太古の魔王よ、アウタリア王国が第一皇子ホラス・アウタリアに倒されるのだ。盛大に歴史に刻んでやろうじゃないか」


サラの兄が、第一皇子が騎士たちを引き連れ現れた。

助かった。まだ間に合うかもしれない。


「た、たすけてください」


「んん?貴様はサラが飼っていた犬じゃないか」


「サラはまだ、サラは助かるかもしれない!」


「煩わしい」


目の前が光る。

遅れてやって来た顔の痛みが、顔面を蹴られたことに気が付かせてくれる。


「なんで…」


「くくくっ今は機嫌が良いから質問に答えてやろう。まずは底辺が私に話しかけるな気色悪い」


ホラスが笑うと一緒に兵士たちも汚い笑い声を出す。

不協和音の合唱が目眩を誘う。


「おい3枚やれ」


ホラスの指示により、兵士が上等な布袋をノウンの眼前に投げつける。


「気分がいいから殺さず生かし褒美をやろう。それを持って消えろ、ここで起きたことを忘れてのうのうと生きる事を私が許そう」


「で、でもっ」


また汚い足が僕を蹴り上げ、言葉を遮る。


「危ないぞ、二度目の質問をするとこだったろ。私の足に蹴られたことを幸運に思うが良い。死を逃れたのだからな」


「誰かこれを放っておけ」という指示のもと兵士がノウンを投げ飛ばす。

汚い笑みを貼り付けた兵士が、命令以上にノウンを痛めつけたせいで、指一本動かせない。


「御伽噺の魔王よ、何か言い残す事は無いか?」


兵士に両脇を抱えられ無理やり立たされた魔王。

その瞳が、ノウンの瞳と交差する。


「貴様の人生を奪ったことを間違いだとわかっていた」


「ん?何のことだ」


「だが謝罪はしない。私は私の正義に従い行動したからだから」


強い視線がノウンを掴み離さない。

第一皇子が訳のわからない事を大声で言っているが、何も聞こえないくらいノウンは魔王に集中していた。


「忘れるな。今後貴様が振るう力は正義に阻まれ、その正義は貴様の大切なものを奪うだろう」


低く冷酷な声は、どこか儚げに「なぜなら」と言葉を紡ぐ。


「この世は腐っている」


第一皇子が振り上げた手に応じ、兵士の両腕が力一杯振り下ろされる。

遅れて落ちるのは、この世を憎み抗った憲兵の魂だった。


「まっ、まってくれ」


必死に声を出すが、第一皇子達はサラを回収し帰還を宣言する。


「本当に回復魔法をかけなくて良いのですか」


「よい、帰路で絶えるだろう。そうすれば全てが、王位が我がものだ」


手放す意識の中、最後に聞こえた話の内容がノウンの心を黒く染める。

冷たく暗い無の世界に意識が沈んでいった。


=====


沢山のファンファーレが鳴り響く。

それは国総出で祝福をする大切な日だからだ。

今日という日が歴史を作り始め、人々に平等を与えるのだ。


「国民の皆様!魔王を討伐したホラス・アウタリア様に盛大な拍手を!」


国民の歓声が、拍手がホラス目掛け飛び交い、平和と王位継承を祝福する。


「ホラス様、準備が出来ましたら民衆へのお言葉をお願い致します」


「わかっている。まあ待て髭先の角度が気に食わん。私を待つ歓声が心地よいなあ」


たかが髭の角度が左右で少しズレているだけで、ホラスは国民を待たせ続けていた。

護衛となったジャンは心底うんざりしながら、次期国王の我儘を見ていた。

しかしいつもの様な棘は彼には無い。


ジャンの様にサラが魔王との戦いで亡くなり、憂鬱とした気分の人間は多い。

だがそんな魔王を打ち破り、【繭】という世界に巣食う癌を取り除いたホラスの英雄譚は、人々の支えとなり王国を活気付けた。


自分勝手な次期国王の準備が整い、国民が待つ広場に通じる扉に向かう。

サラを間接的に殺害したことを誰も知らず、嘘つきな次期国王を祝おうとする場へ。

事実を知る兵士たちはホラスの策略に嵌り、暗殺された。


そう今国民の前で手を精一杯広げ、自分の存在を証明するホラス以外、真実を知るものは存在しないのだ。


ホラスが国民達の前に現れたことで、歓声のボルテージが最頂点へ昇り上げる。

空気を震わせる歓声に酔いしれた時、大地が揺れた。


揺れる大地は歓声を悲鳴で塗り替える。

ホラスの側近が危険を案じ、ホラスを引き安全な城に引き入れる。


「お、おい!誰かこれを止めんか」


地震をとめろって何を言っているのかと、その頭の中は空っぽなのかと呆れ返るジャンに声を掛ける少年がいた。


「久しぶりだねジャン」


綺麗な白藍色をした瞳はどこか悲しげに、強い意志を纏っている。


「ノウンどうしてここに!?」


場所が場所で喜べない。

戦死したと思っていた友が、漆黒の鎧を纏いホラスだけではなくアウタリア王国の頂である現国王までいる部屋に現れたのだ。

揺れが収まり、城内に落ち着きが戻りノウンに気づいたホラスが声を上げる。


「おいジャン!その汚い男を殺せ!」


血走る眼球で睨みつけ怒鳴り散らす。

ホラス以外で真実を知る唯一の男が、サラの両親でもある国王達の前に現れたのだから。

あの時の喜びで生きることを許した男が、取るに足らないからと蹴り飛ばした男が現れ正気を失い叫ぶ。


「大丈夫だよジャン」


主人の命は絶対。

それが兵士の職務なのに、構えた槍が進まない。

ジャンの心がそれを拒んでいるのだ。

それを察したノウンが微笑み掛ける。


青白い結界がジャンを包み込む。

それだけじゃない、ホラス以外のこの場にいる人間が閉じ込められている。


「あああ何だというのだ貴様は!」


「僕は貴方を殺しにきたんだ。サラを見殺しにして魔王討伐の功績を自分のものにした貴方をね」


ジャンが見たことのないノウンの冷酷な表情は、人々を凍り付かせた。

たった一人を除いて。


「今のは真かホラスよ」


現国王でありサラの父親が真実を確かめる。

パニックに陥っているホラスは質問への答えを出さず、叫びまくる。


「何を言っているんだ貴様は!ああ、わかったぞ、【繭】から逃げ延びた魔王の一派だろう。その黒い鎧が確たる証拠だあ!」


「少し静かにしてくれないかな」


ホラスの顔を水が満たされた結界が覆う。

言葉を出そうともがくホラスの口からは、音の代わりに泡が漏れ出す。

ホラスから漏れ出る泡が少なくなった頃、水がこぼれ落ちる音と共に呼吸を荒くしたホラスが結界から解放される。


「サラに謝るんだ」


「なぜ私が死人などに頭を下げなければならんのだ!」


息も絶えながら態度を改めないホラスに落胆する。


「僕は僕の正義を信じるよサラ」


「やめろノウン!」


ノウンが手を振るう。

すると不可視の斬撃が醜い次期国王の首を刎ねる。

それは魔王の技でありスキルだ。

結界を薄く引き延ばし高速移動させる事で、あらゆる物を切り裂く【結界】という一般的なスキルの応用だ。

今纏う漆黒の鎧さえも【結界】の応用で、圧縮した結界で鎧を形作っているのだ。

極限まで圧縮された結界は最強の盾となり、光をも通さない。

そう厄災の魔王として恐れられた男は、一般的で珍しくも無いスキルを極め、頂に上り詰めたのだ。

それをノウンは己のスキル【夢想】で再現する。


「じゃあね」


ノウンは友人に別れを告げ光の輪を生成し、城内を後にした。

それは最愛の勇者が使っていた転移のスキル。

それを良く知る友人が見逃すはず無かった。

閉じかけた転移の輪に飛び込み、無理矢理体を捻じ込んで追ってきたのだ。

ノウンが結界を解除したと同時に行動したのだろう。

その弊害として左腕の肘から先が、閉じた転移の輪に食いちぎられていた。


「はあっはぁ、ノウン」


「追ってきて欲しく無かったよ。その腕治してあげる」


ノウンは身体強化魔法に膨大な魔力を使い、一瞬でジャンとの距離を消し去り腕に触れる。

治療魔法で腕を再生させる。


「っノウン俺はバカだから上手く言えねえんだけど、頼む俺も一緒に謝ってやるからやり直そうな、なあ!」


腕を治してくれた感謝よりも先に出てくる本音がノウンの胸を打つが、もう遅い。

あの日サラがいなくなった日にノウンの道は決まったのだ。


「ありがとう、僕はもう後戻りできないんだ」


ジャンの胸に手を当て魔力を込める。

保護魔法で防御力を極限まで上昇させてあげ、風魔法で運び飛ばす。


「おい!まてっ」


ジャンを運び飛ばした方向と真逆に歩みを進める。


サラとの沢山の思い出が溢れてきた。


スプーンの持ち方や読み書きを教えてくれた事。


何か隠し事をしている時は、鼻がピクピク動く事。


初めて光を色を教えてくれた最愛の勇者を想う。


「よしやろうか」


魔力感知を全開にして、そこに人がいない事を確認した。

そして魔力を上空に集中させる。


僕の魔力総量は、人間が持ち得るレベルを超越していた。


それはノウンが長年続けていた『修復』による産物。

供給される魔力を絶え間なく行使する事で、魔力総量が成長し続け膨大な魔力量となったのだ。

その膨大な魔力は巨大な漆黒の剣となり顕現する。


「う、うそだろ」


数kmを風魔法で運ばれたというより、吹き飛ばされたジャンはあり得ないスピードで地面をバウンドし、アウタリア王国近辺の荒野に投げ出されていた。

しかしノウンの保護魔法のおかげで擦り傷ひとつない。


今口から出た言葉はその事を驚くものじゃない。

視線の先にある漆黒の巨剣に送るものだ。

ジャンを眩暈が襲う。

それは膨大な魔力に当てられたからだ。

この距離じゃなきゃ魔力に当てられ吐いていたかもしれない。


空を覆う漆黒が動き出す。


雲を切り裂き、大地を捲り上げ全てを揺るがす。


その巨剣が振り切られた時、歴史と地図を塗り替えた。


最愛の勇者が「大好きだ」と言ったから。


それを守る為にノウンは大陸を二分した。


それがノウンの行く道



正義なのだ。



不思議と口が動く。


「この世界は腐っている」


それは最強の憲兵がノウンに残した言葉だった。


=====


この日、この瞬間に世界が祝福を送る。

独り戦う事を覚悟した戦士に称号を与えた。


サラ・アウタリアが取得していた【勇者】の称号に次ぎ、人類で2人目の称号者となった。


【魔王】


人類からだけではなく、世界に認められたのたのだ。

己が正義を歩む者として。


=====


後に切り裂かれ新たに誕生した大洋は【神創傷】と呼ばれ

勇者の愛した豊かな大地は、【魔界】と呼ばれ忌み嫌われる様になる。


そして【魔王】ノウンを討伐すべく、アウタリア王国は【繭】の中で発展した科学を奪い、新たな種を生み出し討伐を試みるのだあった。


それが人道を外れた行いであっても、悪を裁く正義を掲げるのだ。


次は諦めない為に


最後まで御読みいただき有難うございました。


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