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三題噺もどき2

深考(浅)

作者: 狐彪

三題噺もどき―さんびゃくじゅうなな。

 


 夏の日差しが、むき出しの肌に突き刺さる。

 色々と考えて、日焼け止めなんかを塗っていたりはするけれど、こういう痛さはどうやってもなくならない。

 普段なら、少々の暑さぐらい我慢して長そでなんかを着たりしているんだけど。

 今日は、少しでもいいようにというか、なんというか……あまり言いたくはないが、魅力的に見えるように、肌みせというやつだ。

「……ぁっ」

 しかし、暑いものは暑い。

 すこしは、肌を覆えるものを持ってくるべきだったかなぁ…慣れない肌見せなんてするもんじゃない……。

 でも、こういう時くらい、いいように見せたいではないか。

 そこまで自信はなくても、やるべき努力は惜しまないようにしなくては。

「……」

 たとえそれが、無意味に終わったとしても、だ。

 そもそも、自信のないやつがこんなことするかと言われたら、それはもう、反論のしようがないかもしれないが。

 ま、そういうことを言うやつよりは、自信があると言うだけであって。

 私的には、たいした自信はないと言うやつだ。

 だから、必要最低限の努力はして、成功に近づけるようにしている。

「……」

 日々の努力はしないくせに、無駄な努力はしようとするあたり、なんだかなぁとは思うけど。

 ま、何もしないよりはマシだろうと、その程度の認識で良いと思うのだ、こういうのは。

 変に期待しすぎて、その後の反動に巻き込まれるより、なぁなぁでしていた方が楽でいい。

 その分というか、その代わりと言うか……成功した時の感動も少々削れるかもしれないが。

「……」

 ……冷静になろうとして、いらない思考に落ちるのはよくないなぁ。

 こういう、変な事ばかり考えているから、どうにかしようとこの間決めたばかりなのに。

 グダグダと考えすぎる癖があるのを、何とか隠してできた友達に、この間これが露呈してしまって。あからさまに引かれた。

 そんなにかと思いはしたが、そんなだからばれないようにしようと隠し通していたんだと、遅ればせながらに気づいて、我ながら馬鹿なことをしたなぁと気づいた。

 だから、この癖そのものをどうにかしないといけないのかなぁと思いだしたのが、その数日前の事。

 で、未だに実行に移しきれていないのが現状。

 どうにもできない以上、もう無理だなと諦めかけているのが今。

「……」

 あの時の、友達のぽつりと漏れた言葉は、割と明確な言葉として心臓に突き刺さっていたりする。

 普段なら、気にならないし、気にもしないのに。

 そのぐらい、綺麗に流せるのに。

 私自身に、少々依存気質もあるような気がしているので、明確な言葉は棘になってしまったらしい。

 だから、こうして気にして、直そうとしていると言う節もある。

 今までなら、絶対に直そうとしないし、その程度の関係だったんだ、で終わる。

「……」

 ちなみに、その友達とは疎遠になりつつある。

 女子同士の友情なんぞ、その程度だ。強固なものなんて、どこ探してもない。

 それを改めて気づかせてもらったと言うことで。

 まだ、少し未練があるにはあるけれど、それはそれ。これはこれ。

 こちらが一方的に思っていただけで、あちらはたいして大切にしていなかったのかもしれない。

 親友でなく、友達と言っているあたり、私もそうなのかもしれないが。

「……」

 そのあたりは、男同士の方が強そうだ。

 異性同士なんて、もってのほかかもしれないし。

 ……まぁ、今その異性同士の絆というのを信じていないといけないのは、私なんだけど。

「……」

 あーこんな状態で大丈夫だろか……。

 自分のことが心配になる。

 こんなだから、昔から周りに人が居なくて、それが嫌で隠すようになって。

 やっと友達ができるようになって、それでもたまに失敗して。

「……」

 こんな奴が、あの人となんて。

 望むこと自体が、間違いなんじゃないかと思い始めた。

 異性同士なんて、無理だと思っているやつが。

 どうして、恋人なんて望もうよ。

「……」

 そもそも、他人と居ること自体が、無理だと思うレベルでもあったりするのに……。

 なんでこんなことしているんだろう。

 何が、私をこうさせて。

 何で、私はここに居る。

「……」

 だから、考えても無駄なんだって。

 無駄、無用、無意味。

 ここに来た以上、私はそれを望んだのだ。

 だから、苦手なコンタクトも、肌見せもやったのだ。

「……っし」

 入れる必要もない気合を入れて、手を握る。

 無意識に、祈るようになったその手。

 左手に、握り返された手が、やけに汗ばんでいて少し気もちわるかった。





 お題;握り返された手・眼鏡・明確な言葉

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