表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/61

53【エレノア視点】きっと、きっと、大丈夫


 

「……ヴィアを、責めないでやってくれ。あの子も随分、悩んだと思うんだ」

 

 目が覚めて、事の仔細を聞き、ブリジット様と共にヴィアお義姉様の元へ向かう。その道すがら、お兄様とお義姉様の事を聞いた。ブリジット様は、お義姉様から直接お聞きになったらしい。

 お二人の事は、何となく察していた。きっと何かあったんだろうなって。だって……お兄様がまた引きこもるなんて、お義姉様との事意外で思いつかないもの。


 以前のわたくしだったら、きっとショックを受けていた。……ううん。本当は、今も少しショックを受けている。だって、本当に睦まじいお二人だと思っていたから。でも……今なら、お義姉様の気持ちも、わかってしまう。



 アスガルズ帝国のフレイ様に会った時……わたくしの心臓は、とび跳ねた。

 それまでは、王族だもの……政略でも、愛の無い結婚でも、歩み寄れたらそれで良いって思っていた。民の為、国の為、この身を捧げられるならそれで良いと。でも、今は違う。


 フレイ様が、わたくしの名を呼ぶ度、嬉しくて舞い上がってしまう。

 フレイ様が、わたくしを見るたび、自分がどんな顔をしているか気になってしまう。

 フレイ様の笑顔をみるたびに、幸せな気持ちになってしまう。


 ……彼の特別になりたいって思う。


 そんな人、今までいなかった。


 生涯を、共に歩むなら彼が良い。彼でないのなら、わたくしの人生はとても色褪せたものになってしまう。

 お義姉様は、そんな相手を見つけてしまわれたんだ……。


 お兄様が、悲しむ姿が思い浮かんで、わたくしも悲しくなる。

 三人で過ごした仲睦まじい時間に、自分だけ置いていかれてしまうようで、寂しくなる。


 でも、そこまで考えて、ぶんぶんと顔を横に振る。

 

 お二人は、わたくしを置いて行ったりなんてしない。

 

 わたくしだって、遠くに行くんだ。大好きな、彼のもとへ。でも、大好きなお二人を置いて行ったりなんてしてない。心はいつも、共にある。


 

 わたくしは、ブリジット様の体を支えて、西の塔の階段をぐっと踏みしめる。


 

 この騒動が、無事にすんだら……お兄様をいっぱい元気づけてあげよう。

 新しい恋を探すのも、良いかもしれない。どなたか良い方いたかしら?


 お義姉様の事も、たくさん応援してあげよう。

 レギオン大公とは……あまり話さなかったけど、お義姉様を泣かせたら、ただじゃおかないんだから。アスガルズに帰られる前に、ちゃんと釘をさしておかないと。


 

 大丈夫。みんな、みんな、きっと幸せになれる。

 わたくしだって、きっと力になってみせるわ。


 だってわたくしは、次期、帝国の皇后なのだから!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ