8.スライム(喋らん)
はあ、はあ、はあ。
私は元いた場所に戻っていた。
いやー、それにしてもびっくりした。
ホント何よあの声。
鳴いた思ったら、特に何かをしてくるわけでも無かったし。
まあ、だから逃げれたんだけど。
よく考えたら、あれは威嚇だったのかな?
ここから近づくと攻撃するぞー的な。
もしも無視して近付いてたら…牙でガブッと?
いや怖いな。
逃げて良かったわ。
うーん。
さて、これからどうしようか。
奥に出口は見えた。
けど、コウモリの大群のせいで進めない。
倒す?
無理無理。
なら―――あいつらが居ないときに出る、か?
行けそうじゃね?
あーでも食料探しもしないと。
全っ然出来てないし。
目先の好奇心に囚われたら駄目だね。
一応出口を探すときに、なんか食べられそうなもの無いかなーって探してはいたけど。
コレがまた、無かったんだよなー。
…よし、今からは本気で食料探しをしよう。
そうしよう。
取り敢えず慎重に穴から顔を出してっと。
コウモリは…いないな。
良かった。
え〜っと、この前は右側に行ったからっと。
左にするか。
食べられるものはあるかねぇ。
お、なんかいる。
透き通った体。
丸っこいフォルム。
うん、スライ厶だね。
いやースライムか〜。
物凄い異世界感。
いや確かにこれまでのくだり的に異世界かなとは思ってたけど。
確信に変わったよ。
……スライムって食べれるかな?
毒とかは無いイメージだけど。
見た目的にゼリーっぽいから、まあ、いける…か?
ものは試しだ。
やって見よう。
先ずはスライムの背後に回ってって、あれ?
スライムの目って何処なんだろう。
そもそも視覚ってあるのか?
スライムの死角……うーん分からん。
取り敢えず出来るだけ伏せる。
次に音をたてないように近づく。
――よし。
牙を突き立てる。
うおっ!?
ヌルヌルする!?
なんかスライムの体からヌルッとしたものが出て来て――。
あっ、牙外れた。
スライムが体を捩って脱走し、凄いスピードで逃げて行った。
ちょ、ちょっと待って、待って下さい!
後を追う。
幸い、少しして追い付いた。
・・・追い付いたはいいけど、どうするよ。
ノープランだよ。