立入禁止 ~入ってはいけない理由~
このエッセイにはホラー要素とショッキングな内容が含まれています。
お読みになる際はご注意ください。
皆さんは不法侵入をしたことがありますか?
ありませんよねぇ……。
あったとしても、間違えって入っちゃったとか、そんなんでしょう。
でも……世の中には、立入禁止と書かれている場所に、あえて踏み込もうとする人たちがいます。
今回はそんな人たちのお話。
立ち入り禁止と聞いて真っ先に思い浮かぶのは送電設備ですね。
変電所とか鉄塔とか、明らかに入って触ったりしたらまずい感じの場所。
たらこは入ろうとも思いません(あたりまえだ
後は薬品とかガソリンなどの燃料の保管庫とか。
下手に触ったらやべぇものがしまってある場所。
これも入ろうとは思えません。
でも……廃墟はちょっと入ってみたい。
廃墟って不思議な魅力があるんですよね。
にぎやかな街中にポツンとある一軒の廃墟。
中がどうなっているのか気になります。
後は廃学校、廃病院、廃ホテルなど。
巨大な建築物の廃墟も中を見てみたい。
見てみたいだけで実際に入ったことはないですけどね。
立ち入り禁止とひとえにいっても、危険だから入っちゃだめというよりも『私有地なのでお願いですから入らないでください』みたいなニュアンスもあると思うのです。
なので『立入禁止』の四文字を見ると逆に入ってみたいと思ってしまうのも、ちょっと否定できません(ダメだけどね
んまぁ……実際に廃墟へ行ってみたいかと聞かれて、ちょっと気になると思うたらこですけど、侵入してまで中の様子を見たいとは思いませんね。
ルールを守る立派な水産加工食品なもので。
でもまぁ、世の中にはルールを破ることをかっこいいと思う人がいる。
特に年も若くてやんちゃしている子供なんかが廃墟を見つけて肝試しをしようよってなるのは、理解できない流れでもないです。
んで、中には本当に肝試しをしちゃう子がいる。
仲の良いお友達と一緒に廃墟となった病院やら学校やらを散策して、あー怖かった。
なんて終わればいいんですけどね。
でもたまーに。
ごくごく、たまーに。
怖かったねで終わらない時がある。
廃墟によってはかなり大きなものもありますから、二階、三階と昇って行くわけです。
階段もそのまま残っていたりもするでしょう。
上へ昇って行くほど、みんな興奮するわけですよ。
窓から下で待機している仲間に懐中電灯で位置を知らせたり、大声を上げて走り回ったりと。
よくないものを呼び寄せるなんて思っていないわけですから、やりたい放題。
なかには落書きをする不届き者までいます。
いい感じにテンションが上がった子供たちですから、ちょっと無謀になったりします。
あっちはどうなってるの、こっちはどうなってるの。
いろんな場所を見て回るわけですよ。
扉があったら、開けますよね?
開いたら中に入ります。
でも……大抵の場合は何もない。
そう、本当に何もないんです。
でも本当に怖いのは……。
扉を開けた先に床がなかった場合です。
これね、実際にあった事件なんですけどね。
子供が廃病院だか廃学校に入って遊んでいた時に、非常階段の扉を開いて外へ出ようとしたんですって。
でも非常階段が老朽化して無くなっていたんです。
そうとも知らずに非常階段への入り口を開いた子供は、そのまま転落して亡くなったそうです。
4階だか5階くらいの高さから落下して。
その子供を不法侵入だからとか、責めるつもりは毛頭ないんですよ。
ただ……怖かっただろうなって。
そう思います。
ちょっと想像して欲しいんですよね。
高いところから落ちて地面に激突するまでのことを。
きっと、スローモーションに見えるんでしょうね。
自分にとっての死がゆっくりと目の前に迫って来るのに、何もできずに死を待つしかない。
助けてとも、怖いとも、叫ぶ間もなく、地面に激突して死ぬんです。
それも全く予期せぬ瞬間に起こるわけですから。
計り知れないほどの絶望が不意打ちのように襲ってくるかと思うと、本当に怖いです。
お腹が痛くなります。
廃墟って、実はとても危険な場所だと思うのですよ。
管理が行き届いていない場所ですから、思わぬ場所に『落とし穴』が潜んでいるのです。
その落とし穴にはまって高所から落下してしまったら、命まで落としてしまいます。
電気や薬品を管理する危険な施設と同じように、むやみやたらに立ち入るものではないと思います。
立入禁止。
この四文字の看板は危険な場所に設置されている場合が多いです。
もし街の中でこの四文字を見かけたら、ふと足を止めて眺めてみるのもいいでしょう。
それは命の危険を示すシグナルかもしれません。
その看板の先に何があるのか。
気になったとしても、足を踏み入れてはなりません。
その先にあるのは、我々にとっての非日常なのですから。