秘密
冒頭の少しだけ麗衣視点です。
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麗衣は昇降口の壁に寄りかかり座っていた。
鞄に顔をうずめ乱れてしまった髪も直さず郁を待っていた。
雨がコンクリートを打ち付ける音だけが聞こえている。
そんな中しばらく待っていると廊下に足音が響く。
その足音は私の前で止まりに優しく声をかけてきた。
「麗衣。今日は家まで送るよ」
ただ一言そういった。
それだけなのに、さっきまで怖くて仕方なかったのが噓のよう消え、私の中に安心感が込み上げてきた。
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「・・・うん。わかったわ。」
麗衣は落ち着くことができたらしく涙も引き、声もいつもの感じに戻っていた。
立ち上がった麗衣の押さえつけられて赤くなった手を握り、一緒に下駄箱へ向かう。
最初に麗衣が靴をその後に僕が靴を履き替え、もう帰ろうと思い麗衣の荷物を持とうとすると麗衣のもっているカバンが一つ多いことに気が付いた。
「麗衣、そのカバン誰のだ?」
「郁のよ。私が郁に置いていった傘と一緒に郁の下駄箱のところにおいてあったわ。」
おそらく陽々希が投げ出した僕の荷物を拾ってくれたんだろう。
そのカバンは雨に当たったのかある場所だけがほんの少しだけ濡れていた。
麗衣からカバンを受け取り僕らは昇降口から出る。
外は相変わらず雨がすごく傘をさしていても少し濡れそうだ。
あらかじめ麗衣のカバンから麗衣の分の傘は出してあり渡してあるため、僕は自分の分の傘を開き雨の中を歩こうと足を動かす。
けれども、麗衣は傘を開こうせず立ち止まり僕と麗衣に間ができてしまった。
「麗衣?どうした?」
どうしたのだろうと思い声をかけるが麗衣からの返事はなく心配になり戻ろうとすると麗衣が走ってきて僕の傘に入り僕にぴったりと体を寄せる。
「・・・今日は郁の傍が良いわ。」
「・・・わかったよ。麗衣の家までな」
コクッと小さく頷いた麗衣と僕は傘の中心から遠い方の肩を濡らしながら帰路についた。
いつもより時間をかけ帰り道を歩いた郁と麗衣は郁の住むマンションに来ていた。
何故こうなったかと言うと麗衣が家に帰りたくないから泊めてと言ってきたのだ。
麗衣の両親は麗衣の事をあんまり好ましいと思っておらず、どちらかと言うと厄介者扱いをする。
それに、今日は一人で居たくないからとそんな理由だった。
エレベーターを上がり三階の角の部屋、母親と大喧嘩した郁が父親に頼んで一人暮らしをさせてもらっている。
カギを開け麗衣を招き入れる。
電気が消えている部屋はどこか薄暗くあの教室を連想させる。
「電気をつけてくるから玄関で待っててくれ」
「ええ、わかったわ。」
郁は中へと入り雨に打たれ冷えた体を温めるためにお風呂を沸かし、すべての部屋の電気を入れる。
普段はこんな事しないが今日だけ特別だ。
「麗衣。もう入って大丈夫だよ。」
僕がリビングから麗衣に呼びかけるとすぐに麗衣が顔を出し、僕の傍までやってくる。
「麗衣は僕の部屋で着替えていいよ。・・・着替え持ってる?」
「大丈夫よ。学校の運動着があるわ。それより、私が部屋に入っていいの?」
「ん?大丈夫だよ。さっき着替えも取ったし。」
「そういうことじゃないんだけど・・・まぁいいわ。すぐ着替えてくる。」
麗衣は僕の部屋に入っていき僕は制服から部屋着に着替える。
素早く着替え終わった郁はカバンからスマホを取り出し時間を確認する。
時刻はもう7時になるころで郁のおなかがぐぅ~となる。
冷蔵庫を確認するがろくなものがなく買いに行くしかなさそうだ。
コンコンと麗衣がいる部屋をノックし声をかける。
「麗衣、ちょっと良いか?」
「ど、どうしたの!?何かあったの!?」
いきなり声をかけたためか麗衣が慌ててしまったみたいだ。
「いや、たいしたことじゃないよ。冷蔵庫にろくなものがないから僕は買い出しに行ってくる。」
「え・・・今から?」
「まぁな。早くしないと雷も鳴りそうだしとにかく行ってくるよ。」
靴を履くために玄関に向かおうすると服を掴まれてしまった。
どうしたのだろうと思い振り返ると麗衣がドアから顔と腕だけを出し僕を引き留めていた。
「・・・いかないで欲しい・・・です。」
麗衣は顔を真っ赤に染めながらいつもとは違う口調でお願いをしてきた。
そんな麗衣にあてられたのか郁の顔もほんのりと赤くなり郁はそっぽ向く。
「・・・わかった。だけど、今日の夕飯はカップ麺になるけど良いな?」
「・・・はい。」
なんとなく優しい口調を心がけていたが麗衣につられ、僕の口調も少し戻ってしまった。
麗衣と一緒にカップ麵を食べ終えたあと郁は麗衣にお風呂を勧める。
「お風呂沸いてるから先に入っていいぞ。」
・・・麗衣にとって今日は忘れたい日だろう。お風呂でゆっくりとしてくれると嬉しいが・・・
「ええ、ありがとう。・・・どうせなら一緒に入る?」
どうやら冗談が言えるくらいには回復したみたいだ。
・・・よかった。
「いや、やめとくよ。それよりお風呂でゆっくりとしてこい。」
「そうね。そうするわ。・・・・・・心配してくれてありがとう。郁。もう大丈夫よ。」
そう言ってお風呂に向かっていった麗衣はいつもの彼女らしい優しい笑顔を見せてくれた。
麗衣がお風呂に入っている間に郁は今日の事を思いだし考えていた。
・・・本当に今日は間に合ってよかった。あと少し遅かったら
・・・きっと中学生の頃の二の舞になっていただろうか
・・・そう思うと生きた心地がしなかった。
・・・きっと麗衣はもっと怖かったのだろう。そうでなければあの麗衣がここまで僕に一緒に居てと言うわけがない。
後は、この後に坂東がどう動いてくるかだが・・・
まぁ、麗衣に対して危害が及ばなければなんでも良いか。っと僕はすぐに坂東の事を考えるのを辞めた。
あんな奴のことなんて考えるだけ無駄だ。
僕はリビングにあるソファに座り麗衣を待っていた。
しばらくすると麗衣がお風呂から出てきて僕の隣に座った。
「そろそろか?」
「ええ。そうね。・・・ほんと瑠華になんて言えば・・・」
「僕から言っておくよ。だから、麗衣はもう寝な。」
「・・・はい。・・・でももう一度ちゃんと言っておくわ。・・・郁。今日はありがとう。」
そういった麗衣は僕のすぐ隣で目を閉じる。
顔の力が抜けさっきまで話していたのに今は麗衣の呼吸の音だけが聞こえる。
まるで一瞬で眠ってしまったみたいだ。
けれども、彼女はすぐにまた目を開ける。
そんな彼女に僕は声をかけた。
「おはよう。瑠華。」
・・・作者、頑張った。
まだ熱が37度と少しありますがおそらく明日か明後日には治るはず!
・・・ちなみに少しインフルが流行ってると言うのを聞きすごくビビってます。
今度こそ、次回更新は不明です!
なるべく早く続きを書きます。
感想や評価を頂けるとモチベーションもあがり
熱も早く引くかもしれません!
・・・多分、モチベーションだけが上がり熱の中ハイになり続きを書くことになると思います・・・
すみません。
・・・早く治します。
更新のお知らせしかしないと思いますが
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古川瑛瑠。
※瑠華が麗衣の事を言うときに漢字だったのをひらがなに変更しました。




