【コント】法事の朝。あるいは兄貴の恋。
法事の席、10年ぶりに会う兄弟、
3人兄弟の長男(ボケ役)と次男(ツッコミ役)。3男は遅れていて不在。
ボケ「やぁヒロシ。久しぶり」
ツッコミ「よぉ兄ちゃん。10年ぶりやな」
ボケ「俺らこんな席でもないと集まらないし連絡もしないもんな」
ツッコミ「いや用事なかったらせえへんやろ!カノジョでもないのに!」
ボケ「世間じゃ俺らみたいな兄弟のこと、ツンデレ兄弟言うらしいで」
ツッコミ「なんや氷河期か!」
ボケ「それはツンドラ」
ツッコミ「そもそもツンデレ兄弟ってなんやねん!」
ボケ「だからやな、本当は愛してるんだがアッサリしすぎてる兄弟のことや」
ツッコミ「聞いたことないわ!」
ボケ「当たり前や。俺が今作ったからな」
ツッコミ「しょーもないこと言わんと早よツンデレできるカノジョ作って結婚してぇな!兄弟んなかで結婚してるのが俺しかおらんせいでオフクロからの攻撃がすごいんや!」
ボケ「ほう。『次は双子がイイわ』とかか?」
ツッコミ「それどころか『6つ子ちゃん作って兄貴とアキラに配達して』言われとうわ!」
ボケ「養育費は貰うで」
ツッコミ「いきなり育てる気になるんじゃねぇっ!」
ボケ「実はな、ラブな話がないわけやないんや俺も」
ツッコミ「おお!?そうなんか!何年になるんや?」
ボケ「8年」
ツッコミ「なんでお前8年も放っとくねん!もう呆れられて二股されとんちゃうか!?」
ボケ「それは絶対ない」
ツッコミ「ほんまか?絶対ないか?よう考えてみ?」
ボケ「考えなくてもない!何しろ、出会った時に、妙に懐かしい気がして即『結婚前提にお付き合いして下さい』て頼んで断られてるからな!」
ツッコミ「……まさかそれから8年片思いか?」
ボケ「俺の愛はいわばヨットハーバー!何十年でもアケミという名のヨットが俺の元にやってくるのを待っているんだぜ……」
ツッコミ「もう誰でもいいから取りあえずやってきたヨットにしとこうや」
ボケ「イヤだアケミちゃんじゃなきゃイヤだ彼女は女神様なんだ他の女なんて比べものにならないんだアウトオブ眼中だ」
ツッコミ「いやアケミちゃんからしたら兄ちゃんがアウトオブ眼中やがな!」
ボケ「そんなことはないぞ!」
ツッコミ「ほう、たとえば」
ボケ「メールすると絶対返事をくれるんだ」
ツッコミ「ふむふむ。くれなきゃまぁ終わってるな……て今時メールか?ラ○ンじゃないのかっ!?」
ボケ「いやメールの方がこう……『古くなっても大切にするよ』ってメッセージが伝わるかと思ってさ……」
ツッコミ「古くならないよう大切に新鮮保存しよーや!」
ボケ「それにな、お酒のペースも合うんだ」
ツッコミ「ふーん、一緒に飲み行ったりするんや」
ボケ「そうや。いい感じやろ?」
ツッコミ「まぁいい感じやな。んで?どんな話するん?」
ボケ「まぁ普通に仕事の話とかやな」
ツッコミ「ほかには……?」
ボケ「このゴハン美味しいですね、とかそんな話もするな」
ツッコミ「え?日常会話は?」
ボケ「いや仕事しかしてないし」
ツッコミ「じゃあせめて趣味とかは?」
ボケ「いやそんな話して合わなかったら悪いやろ」
ツッコミ「合わせろよ!彼女の好きな音楽とか!映画とか!知ってるやろ!?」
ボケ「……………………」(考え込む)
ツッコミ「まさか知らない?8年も付き合ってて知らない?」
ボケ「いやだから最初からフラれてるから付き合ってないし」
ツッコミ「リサーチとかするやろ普通に!」
ボケ「そんなんしてるのがバレて気味悪がられたらイヤやろ」
ツッコミ「いやだから最初からフラれてるお前にもう捨てるものなんかないから!」
ボケ「でもな、それっぽい会話がないわけでもない」
ツッコミ「ほうほう、どんな?」
ボケ「好きや、って会う度に言ってるし」
ツッコミ「暑苦しいわ!いきなり飛ばしすぎ!」
ボケ「でもな、そう言うと『どこが好きー?ウフフ(笑)』とか聞き返してくれるし。『全部』って答えたらな『イヤだ10コは言って♡』なんてなぁ~♡」
ツッコミ「なんやその気持ち悪いカップル!もういいやん!付き合ってますでいいやんソレ!」
ボケ「そうやろいい感じやろ?」
ツッコミ「ならば、次に兄ちゃんがヤることはただひとつや!」
ボケ「なんやなんや?」
ツッコミ(ひそひそ声で)「部屋掃除して宅飲みに誘って酔った勢いで押し倒せ!」
ボケ(ひそひそ声で)「え……そんなことして、いいかなぁ……」
ツッコミ「もはやイイ・イケナイの問題やない!後の責任取ればOKてことにしとこうや!」
ボケ「う、うん……そうやなぁっ……!……フフフ……俺もついに……フフフ」
ツッコミ「妄想キモいわ!」
~間:「ただいまー」と末弟帰ってくる~
ツッコミ「お!アキラ帰ってきた!お帰り~ってお前なんやそのカッコ!……え?……性転換?マジ?8年前に?」
ボケ(アキラを見て呆然とする)「…………あ、あ、あ……アケミ!?…………そんなぁっ!」
(終)
お粗末さまでした~(^-^)