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異世界転移したらチートも何もなくてパーティ追放されて絶体絶命だったけど、うさぎっぷらーちゃんに助けられてあまつさえ誤解されて結婚する流れになっているのはどうしたらいいだろうか。

作者: みやび

ケモミミっ子が書きたかった

「ぐるあああああああああ!!!!」


目の前では口を開けた竜型のモンスターが、生臭い息を吹きかけながら叫んでいる。

マジで食われる5秒前である。絶体絶命である。




私は元々日本で会社員をしていた。ブラック企業で一月400時間働かされ、寝不足の極みで気が遠くなったと思った次の瞬間、異世界に来ていた。


異世界に来たって特にチートも与えられなかったおっさんではろくな仕事はできなかった。

冒険者ギルドに所属し、ある冒険者パーティに混ぜてもらったが、ろくに戦えない私は雑用とかめんどくさい仕事ばかりをさせられ、他のメンバーにパワハラされてばかりであった。

危険な場面も何度もあり、衛生状態も良くない異世界。同じくパワハラされ続けるなら日本のほうが正直かなりましであった。


そんな生活を続けて一月。報酬が大きな討伐依頼の終了後、私だけモンスターの前に捨てられ置いて行かれた。





そして冒頭に至る。

最低ランクのF級冒険者ではとても勝てない強力なモンスター。このまま立ち上がって逃げようにも、確実に食われるだろう。食いつかれそうなタイミングで鼻の頭ぐらい殴ってやる。そんな気持ちで恐怖で目を瞑りそうになるのを必死に抑え、モンスターをにらみつけ続ける。


あと30cm、20,10、ここだっ!!

こぶしを握り締め、モンスターの鼻面を殴りつけようと突き出したその瞬間。スカッと拳は宙を切った。

躱された、とかそういうわけではない。その瞬間、モンスターが消え去ったのだ。


「あ、あれ?」

周りを見渡すと、モンスターはすぐに見つかった。

左方10mぐらい先に頭を失ったモンスターが倒れこんでいた。頭が吹き飛んでいるんだし、完全に死んでいるだろう。そして、そのモンスターの死骸の前に一人の人物が立っていた。

背の高さはかなり低い。革製のベストと黒い半袖のインナー、黒いスパッツを身にまとい、太ももや腕を露出させている。太ももやお尻の丸さから言って女の子だろう。黒く長い髪をなびかせ、黒いうさぎの耳をピーンと立たせながら、モンスターのほうを見ていた。

ウサギの獣人だろうか。獣人という種族がいるとは聞いていたが、実物は初めて見た。


「助けてくれてありがとう」


立ち上がり、彼女のほうに近寄りながらお礼を言う。

彼女はビクッ!! と驚くと、恐る恐る振り向いた。真っ赤な目をした美少女である。幼く見えるが、何歳ぐらいだろうか。見た目的には15,6歳に見えるが…… こちらの世界の成人は15歳なので、成人してすぐぐらいなのかもしれない。


「あのモンスターに襲われてたんだ。君のおかげで助かったよ」


右手を差し出す。この辺りにも握手の文化はあり、ひとまず敵対の意思がないことを示すためだ。彼女はかわいい女の子であるが、戦闘力は明らかにさっきのモンスターよりも高い。戦ったらさっきのモンスターよりもひどい結果にしかならないだろう。最低限見逃してもらうぐらいはしないと……


しかし、彼女は手を差し出しても、握手はしてくれなかった。それどころか、フルフルと震え始める。見上げてくる彼女の瞳は涙ぐみ、あわあわと言う声が漏れている。もしかして怯えられている? いや、どう考えても彼女のほうが強いだろう。仮に私が悪いやつで彼女を押し倒そうとしても次の瞬間ミンチになるのは私のほうだ。


しかしここでこちらから近寄れば大変な目に合いそうだ。照れ隠しに手でも振られたらそれだけで私が死んでしまう、なんてこともあるだろう。ひとまずこういう時は……


「私はショウ、しがないF級冒険者だ。助けてくれてありがとう、お嬢さん」


膝を折って目の高さを彼女より少し下にして、自己紹介をする。動物は目線が上からになると怯えるとかよく聞く。目線が下からになれば怯えなくなる…… といいなという願望である。あくまで願望でしかない

身長差があり過ぎて片膝立ちになってしまったがまあ構わないだろう。見逃してくれるならこのまま土下座したってかまわないし。

こうやって膝立ちしてやっと目線がちょっと上を向くぐらいだから、彼女の身長は大体140cmぐらいか。かなり小柄である。私の身長は180cm近いからかなりの威圧感だったのだろう。

真っ赤になりながら、少女は必死に自己紹介をしてくれるようだ。耳がせわしなくピコピコと動いていてかわいらしい。


「わ、わたしふぁ、ラピ、といいまひゅ!!!」


噛み噛みだが、少女は自己紹介をしてくれた。恐る恐る私の右手をとり、握手もしてくれた。

そしてそのままラピさんは、真っ赤になりながら、私の手の甲に口を付けた。


え、なんで口づけ? 町ではそういう挨拶聞いたことないんだけど。

獣人族の慣習か何か?

混乱しながらラピさんを見つめていると、真っ赤になったラピさんはこう言った。


「プロポーズ、お受けいたしましゅっ!! 不束者ですがよろしくお願いしましゅ!」


どうしてプロポーズしたことになるのか、しかもなんでラピさんは初対面なのに受けてしまうのか。いろいろな考えがるぐるぐると頭をめぐる。

ただ、まとめるなら一言……

どうしてこうなった……


猫耳も狐耳もいいけど、うさ耳もいいですね。

評判が良ければ連載をしてみようと思います。

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