8 ステータス測定
次の日。
ステータスを測定するというので、俺が部屋で待機していると、リーンが機械を持ってきた。
いや、機械というのはおかしいか。
リーンが持っていたのは、大きな水晶玉だったからだ。
両手で持ってちょうどいいくらいの大きさだ。
俺も持たせてもらったけど、見た目に反して軽かった。
「では、アキラさまのステータスを測定します」
測定と言われたので血圧計みたいなのを想像したが、実際は水晶玉の前に手をかざすだけでいいらしい。
水色のポップアップを人差し指でタップして拡大すると、俺の目にも読めるような大きな表示になった。
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アキラ・シシバ
HP 756/756
SP 150/150
腕力 52
耐久 43
知力 158
精神 74
速力 33
幸運 25
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「わあ……ゲームみたいだ」
「アキラさまの前回のステータスは、HPが350、SPが150、以下数値が50で一律でしたので、HPと知力、精神は成長していますね」
「幸運、半分なんだけど」
「ああ、幸運の値だけは何故かいつも変動してしまうんですよ。いわば、今日の運勢みたいなものです。あまり気にしないで次に行きましょう」
リーンがそう言うので付いていくと、どっさり積み上げられた本があった。
まさか、これをすべて読めと……?
恐る恐るリーンを振り返ると、彼女はにこにこ笑っていた。
その笑みが怖い。
「これから、当初予定していたカリキュラムの実行に入ります。準備はよろしいですか」
「準備って。……いいと思うけど」
「では、始めます。この部屋にある本をすべて読んでください」
リーンの声に、脳内でやっぱり!? と俺は叫ぶ。
積み上げられた本は意外に少ない。空いている本棚も少ない。
これから言えることは、しばらく退屈な時間が続きそうだ、ということである。