52 鈍足だっていいじゃない
さすがに難民やホームレスはテレビでしか見たことないけど、別に知らない訳じゃない。
俺は、そんなに無垢な子どもじゃないんだよ。
うっすら微笑む俺に、ランディたちはヒートダウンする。
「アキラがそう言うなら、目的地はグラーティアの街な」
「ちょ、近っ、今日中に着くよ!」
「オレたちの足ならな。だがアキラはどうだ?」
「足が遅いなら、おれたちで抱えて移動したほうが早い」
彼女は足が遅かったから、いつもそうして運んでいた。
と続けるエルリック。
ほんとこの人、二言目には彼女のことを言うな……。
「い、いや! 歩けるよ! ……たぶん」
「一日目から野宿はきついな」
「はあ。なんだったらオレが担いで歩く。それでいいだろ?」
セシルがそう言ってくれたけど。
俺はよくないです!
だってそんな、か弱い女の子じゃないんだし。
俺だって一応、大人の男だし!
俺の内心の叫びは誰にも届かない。
「じゃ、行こうぜ。アキラ」
「この辺の本は持っていくの?」
「いや。重いから持ってけねえよ」
「この世界には図書館や書店はないの?」
「あるぜ。小さいとこが多いから、品ぞろえはアレだが」
スカイライトの部屋を出て、王城を入り口のほうに歩いていく。
オレンジ色の壁を後にして、俺は王城の外に出た。




