47 ザ・彼女厨
「でも、まあ気を付けろよ。他の冒険者はマジでむしり取ろうとするかもしれん」
「そうだね。冒険者じゃなくても、スリとか物乞いとか、危ない人はたくさんいるからね。なるべく見えない位置にしまっておいたほうがいいよ」
「アキラは弱っちそうに見えるからな。まあ、国唯一の魔術師と知れば手を引くだろうが」
「物事は低く見積もっておいたほうがうまくいく。あまり肯定的に考えるのはおすすめしないな」
「おま、せっかくいい感じにまとまってきたところを……!」
ランディが頭を抱えている。
エルリックは自分が何を言ったのか理解してないようで、きょとんとしている。
「アキラが攫われたときの行動ぐらい、考えておいて損はないと思ったのだが」
「それは思うけど、本人のいるところで言わないの!」
「俺、そんなに攫われそうなの?」
「……ほら、線が細いし」
「魔術師だから、腕力は高くないだろうと思うヤツが多少いるだろうって話だ」
「ぽやぽやした性格のようだからな」
「エルリック! もう余計なことを言うな!」
ああ、俺ってば、流されやすい性格してるしね。
素直って言えば聞こえはいいけど、すんなり信じては痛い目に合うしね。
うんうん。ああ、それねー。知ってる知ってる。
「彼女もそんな性格で、いつもどこかに攫われそうになっていた。そこを颯爽と助けるのがおれの役目だったんだ」
「出たよ……彼女厨が……」
「へえ。これがエルリックの……」
「びっくりだろ……?」
俺は息をひそめて、エルリックを見た。
思っていたのと違って、狂人らしい陶酔した表情はしてない。
あえて言うなら無表情?
ごく普通の顔で当たり前のことを話している、といった風。
緑色の目がぱしぱし瞬いて、コクンと頷く。
「彼女厨か。悪くない言いざまだ」
「おまえが納得したの、そこ!?」
「はあ。エルリックの言動に付き合ってたら、いつまでたっても話が終わらないよ」
フェイトが疲れた顔で言った。
セシルも難しい顔してるし。俺はおもしろいからいいけど。




