42 ハードルが高い
「もしかして、回復スキルの回復量を決めるのって……」
「そうです! 回復魔法と同じ知力なのです」
なるほど。つまり……。
この世界の人々は魔法が使えない。
使えるのは俺みたいに異なる世界からやってきた人か、その血を引くハーフやクォーターだけだ。
回復スキルはそんな制限を取っ払って、誰にでも使えるようにした魔法なんだ。
さすがに威力は回復魔法より劣るみたいだけど。
使えないよりはましなんだろう。
それに、基準値が知力というのは、威力は上げられるってこと。
そうなると、この魔導士の指輪は、その基準値の知力30を追加してくれる装備。
よだれ、だらだらだよねー。
高値で取引される理由も分かるというもの。
「回復スキルの概念に関しては、スカイさまが詳しいでしょう。冒険に出たら聞いてみてはいかがですか」
ランディが?
そういえば、昨日の説明でリーンが言ってたっけ。
回復スキルが使える希少な冒険者だ、って。
俺、ランディっていうとエロ本のイメージしかないんだけどさ。
「また、回復魔法はマールさまがお得意でしょう。使いたくなったら尋ねるといいかもしれませんね」
フェイトが?
そうか、フェイトはたしか、おばあちゃんが召喚者だったんだっけ。
セシルが紹介してくれたのを思い出す。
フェイトのイメージはだいぶ殺伐とした感じなんだけど。
こないだの人を殺す仕事って言われたのがデカかったかなあ。
「あと、エルリック・グリーンさまも魔法に詳しいとか。これは風の噂でして、確認が取れていないのです。すみません。きっと旅の間に明らかになることでしょう」
エルリックのイメージに魔法好きが追加された。
いや、ほんと、この人には会ったことないからイメージって言われても分かんないんだよな。
彼女厨、狂人、変人……魔法好き。それってどんな人物?
自分でもよく分からない。
「旅……始まるんだ、これから」
「はい。わたしからの説明は以上になります。行ってらっしゃいませ、アキラさま」
「リーン。俺さ、……やっぱりなんでもないや」
「ふふ。いつか……そのお言葉。お待ちしておりますわ」
言えるわけねーよ!
だいたい、旅の始まる前から死亡フラグ立てちゃってどうするの!
俺、ヘタレだわ……くそう、格好よく決めてやるつもりだったのに。
俺は、へこんだ気持ちのまま、降臨式に向かった。




