40 魔術師の正装
俺はいま、ほんとうに魔術師になった気がする。
三角帽子に、長いローブ。透き通った緑色のクリスタルがはめ込まれた杖。
リーンが、リーン家が用意してくれた俺の装備だ。
いや、別に、俺は型から入る派じゃないけど、魔術師っぽい姿には心が躍る。
持ってきてくれた鏡をまじまじと見ている俺を、リーンは微笑ましく見ていた。
「すげえ、魔法使いっぽい。やばいな」
「ふふふ。気に入ってくれたようで、何よりです」
「これはなんて言う杖なんだ?」
「クリスタルケーンと言います。知力+36の効果です」
「いま、俺の知力が356だからプラス36して……」
「アキラさま、392です。効果自体は微々たるものですが、なかなか侮れないステータスになってきましたね」
リーンは俺のそばで、上がっていく知力メーターを眺める。
上限が300なので、既に限界突破している訳だが、まあ、そこはいいだろう。
「次がこちらのローブ。服飾専門店に素材を持ち込んで、特別に作っていただきました。ウィザードローブ・プラスです。魔術師が装備できる服の中では最高級と言えるでしょう」
「へえ。素材って何を?」
「ラシャの類とモンスターソウル、あとは天使の羽根とか……」
「つまり、高いってことか」
「オーダーメイドですからねえ」
のんびりいうリーンだが、ツッコミどころはそこではない気がする。
俺は、身にまとっている高級品をしばし見つめる。
この格好で旅に出るんだろ?
魔王と戦って破れたらどうしよう。
あとで弁償要求されないよな?
旅するだけで、土埃はたつはずだ、汚れたらどうしよう。
だんだんに青ざめていく俺に、リーンは戸惑っているようだ。




