36 仲間はみんないじめっ子?
うなだれる俺に、冷たい声が降ってきた。
「マールさま。あまりアキラさまをいじめないでくださいますか」
「ありゃ……リーンちゃん帰ってきてたんだ」
「アキラさまは素晴らしいお方ですよ。我々のような下々の者に当たったりしませんし、いまだに敬語を使ってしゃべろうとなさいます。そんな方を矯正させようなんて、思ってませんよね?」
「しない、しないってば! もう、旅に出てもそうやって割って入る気?」
「そうしたいのはやまやまなのですが。リーン家の者が同行することは許可されていません。だから、こうしてしっかり釘を刺しておきたいのですよ」
リーンの笑みが、怖い。
フェイトもやや押され気味みたいだ。
こうしてみると、フェイトもリーンも性格がはっきりしている。
セシルもランディも、かなり濃かった。
最後の一人のほうはまだ会ったこともないけど、たぶん、濃い。
神官長は言うまでもないし、王さまは王さま。
だから、ええっと。つまり、もやーんとしてるのって俺だけ……?
俺が事実に気が付いて、ぼんやり視線をさまよわせていると、リーンが覗き込んできた。
「大丈夫ですか? アキラさま」
「あ、うん。だいじょうぶ。俺は大丈夫だよ」
「まったくもう……今回の旅のメンバーはみなさん、いじめっ子ばかりみたいですね」
「ボクがいじめっ子? よしてよ、キャラが崩れちゃう」
「……その言動はまず間違いなくいじめられっ子ではないですよ」
「いじめっ子といじめられっ子の間に、もう一つあるでしょ? 普通の人っていうカテゴリーがさあ」
「マールさまが普通の人ですか……これほどしっくり来ない表現は初めてですわ」
「なんだとう!?」
フェイトが肩を怒らせて、リーンに近付くが途中でやめた。
右上のほうを見て、なにかを確認するそぶりを見せると、俺を見た。
「ごめん、もう時間だった」
「ちょっと、マールさま! 約束がまだなのですが!」
「リーンちゃん、よく考えて。ボクがそんな約束を守るとでも思った?」
「それでもですね、アキラさまをお任せするのですから……聞いていますか!?」
「聞いてないよーだっ。また会おうね、アキラ!」
右上の、俺から見ると後ろの時計は、三時ごろをさし示していた。
おやつの時間……な訳ないよな。
仕事抜け出してきてたんだろうか。
モンスターを倒す仕事か……俺もそのうちやるんだろうけど。
あんまりグロくないといいなあ。
リーンがぷりぷりしながら、お茶菓子を用意してくれている。
さて、今日はマジカルタブレットか、マナタブレットか。
俺は食べ飽きたドロップ飴の味を思い出しながら、座り込んだ。




