30 肩身が狭い
もう少しリーンとおしゃべりしていたい気もしたが、いまはスマホの安否のほうが大事だ、そう判断して神殿に踏み入る。
あのときとは違って、なんだか白いローブをまとった人がたくさんいる。
ここで働いている人なのだろうか。
リーンがその中の一人を捕まえて、何か聞いている。
「アキラ……さまのお荷物が……されている場所を……たいのですが」
「あなたはリーン家の……。では……いるのが……シシバさま?」
「ええ。案内して……ますね?」
「……です! 一介の……中まで入ることは……ないので、途中まで……、……喜んで」
彼女が離れてしまうと、急に不安になってくる。
俺、邪魔じゃないよね?
ここにいてもいいよね?
あの人こっち見たよね?
なんか粗相したかなあ。いや、きっと大丈夫なはず……。
不安が最大になる前に、リーンは帰ってきてくれた。
「アキラさま。あちらの中級神官のブライトさんが案内をしてくださるそうです」
「よろしくお願いします、アキラ・シシバさま」
「こ、こちらこそ」
固まったままの俺の声はか細かった。
だって、こういう公式の場みたいなの苦手なんだよ、ほんとに!
卒業式の名前呼びにだって声でなくて困る人なんだから!
果たしてブライト氏に声が届いたかは定かでないが、彼は口元に微笑をたたえていた。
くそっ、イケメンかよ。
「こちらです」
「アキラさま、参りましょう」
「……うん」
リーンさんの心配そうな顔が辛かった。




