27 放たなければ当たらない
昼食中、リーンが不思議そうな表情をしていたので聞くと、彼女はこう言った。
「どうしてさきほどの練習中、魔法を放たなかったのですか?」
なにか悩んでるのかと思ったら、俺のことだった。
リーン、いつも心配かけてごめん。
「え、当たらないからだけど……?」
「当たらなくてもいいじゃないですか、練習なんですよ? 最初は当たらなくて当然なのです。とりあえず撃ったのが、まぐれで当たることもありましょう」
「だ、だってさ、あそこは偉い人が使うとこなんだろ? 炎魔法じゃ焦げ付いちゃわないか心配なんだよ」
「……そうですねえ。解決法は二つあります」
リーンは右手をピースの形にして、俺に迫る。
近い。
あといいにおいがする。
この世界にもシャンプーに当たるものがあるのかな。
「まず、炎属性以外の魔法を使うことです。ちょっと難しいので保留にしてきましたが、無属性魔法を使うのはどうでしょう。魔力による純粋な爆発が起こるので、焦げ付きも怪我も心配いりません。もう一つは……」
リーンは俺から離れると、一呼吸うなった。
そんな難しい解決法なのか!? とビビる俺には構わず、リーンは口を開く。
「エメラルド王が決めた知力の値はクリアしているのだから、あなたはもう、いつ旅に出てもいい身なのです。それをとどめているのは、リーン家の準備が整わないから。それと……いえ、これは関係のないことですね」
「リーン家の準備って、このあいだ言ってた装備の話?」
「ええ。普通、冒険家の人は旅でお金を稼いで、だんだん装備を整えていきますが、今回はそんな悠長なことをしている訳にはいきません。アキラさまの役目は魔王討伐。街に寄っている暇はないと思います」
「うん。魔王を倒さなくちゃいけない」
「そのため、万全の状態で旅に出ていただきたいのです。今している練習もその一環ですね。ですから……」
リーンはまたため息をつく。
じっと黙っているので声がかけづらい。




