25 スマートフォンの誘惑
夕食が終わったので、リーンに降臨式というものについて聞こうとしたのだが。
彼女が忙しそうにしていたので、とりあえずやめる。
たぶん、概要が分かっていなくてもなんとかなるだろう。
俺はどっちかっていうと、ぶっつけ本番で人生過ごしてきたほうだし。
いや、二十歳で人生どうのこうのって言うの、ちょっとまずい?
調子乗ってるみたいな? 怒られてたりするかも……。
って、誰にだよ! ノリツッコミが勢いよく入ったところで冷静になる。
なに、俺一人ではしゃいじゃってるの……。恥ずかし。
本でも読んで知力上げよ。
あ、もう知力はクリアしてるんだっけ。
でも、他にやることないな……。スマホは……電波届くわけないし。
「そういえばスマホ、どこやったっけ?」
いま来ている服は、こっちに来てからリーンに用意してもらったものだ。
右ポケットを探すが、まずこの服、ポケットっていう概念がないみたいだ。
部屋のなかを簡単に探すが見つからない。
というか、この一週間、いや、全部まとめればそれどころじゃないんだけど。スマホなしで過ごしていたことに驚く。
そりゃ、最初の一日はそれどころじゃなかったし。
そもそも使えるかどうか分かんないのだから、こんなことを考えても仕方ないのだろうか。
気になりだすとあれだ。本棚から一冊抜き出すが、頭はついていかない。
それでもページをめくっていれば経験値はたまり、いずれボーナス知力がもらえるのだ。
俺は心のなかで違うことを考えながら、本をめくり続けた。




