21/55
21 セシル・ブレイカー
その日の午後。
イーゼルを300個ぐらい壊した俺は罪悪感にうめきながら、ある人物のもとへ急いでいた。
リーンが言っていた魔王討伐隊の人だ。
ランディ風に言うと、未来のパーティーメンバーだろう。
普段、天窓のある部屋ばかりにいる俺を気遣って、少し離れたところで待ち合わせをしてくれたらしい。
昼食もそこそこに、部屋を出てきた俺は時間に遅れていた。
廊下を走る俺を、叱る声はない。当然だ、人がいないし。
と思っていたら、誰かにぶつかった。
俺はあわててその人から離れ、謝罪をする。
「すみません! 急いでて……」
「ふむ。君が魔王討伐パーティーの魔術師さまか」
「そうですけど……えっ、まさか」
「オレはセシル・ブレイカー。魔王討伐パーティーに選ばれた一人だ」
長い白髪を垂らした男性だった。
たぶん、着物とか浴衣とか着たら似合うと思う。
ぱっと見、女性かと思ったのは内緒だ。
手は大きいし、声は低いし、全然女性っぽいところはないのに。
口を開けたまま黙っている俺を、切れ長の灰眼が見ていた。
「よろしく。アキラ」
「よ、よろしくお願いします」




