18 ガス欠の魔術師
固いパンと果物の並ぶ食卓で、黙って対峙する二人。
なんだかおかしくなってきた。
俺が肩を揺らしていると、リーンもくすくす笑い出した。
「朝食を食べ終わったら、約束通り、魔法の練習をしましょう」
「え、ほんとにやるの?」
「ええ。実際に魔法を撃っていると、SPが成長して伸びやすくなるんです。この間、確認したアキラさまのSPは150。一般的には多いほうですが、魔術師としては少ないでしょう。推測ですが、このまま戦闘に出ると、すぐにガス欠になって戦えなくなってしまいますよ」
「確かに」
「魔法のほうも、使い続けると少し威力が上がるんですよ」
リーンが知力の上がるという果物を切り刻みながら、説明してくれる。
俺は素手で、切ってくれた果物スティックを口に運ぶ。
「頑張れば初級魔法のファイアを、中級魔法のファイアチャージより威力を高くすることも可能です。これも伝説レベルの話ではありますが」
「誰かがやったってことか」
「ええ。チェリルという女性のかたが、自伝を書いたなかにそのような記述がありまして。他の本には見られないことから、彼女お得意の冗談ではないかと言われています」
「ふうん。まあ、やってみるよ」
「はい。杖を用意しておきますね」
杖、あるんだ。
老人がまれに掲げている古い木の棒をイメージする。
似合うか……?
いや、この際似合うかどうかは関係ない。
変に見えなければそれでいいのだ。
うんうん頷く俺を、リーンが不思議そうに眺めていたことなんて、気付くはずもない。




