17 ひとり反省会
翌日。
俺は、身体中が痛かった。
なんのことはない、読書中に寝落ちしただけだ。
ひたいには本のあとが残ってるし、リーンに見られたら恥ずかしいな、そう思ったとき。
俺は昨日の行為を思い出した。
……なにが恥ずかしいな、だよ。こっちのほうがよほど恥ずかしいわ!
まったく、大学二年生ともあろう者が落ち込んだからって、あんな振る舞いをするなんて。
恥ずかしく思わんのか、紫芝 明!
恥ずかしいに決まってんだろ! 自分でも分かってるよ!
一人芝居をやって、恥ずかしさを誤魔化す。
「はあ。リーン、怒ってるかな……」
せっかく励ましたのに、返事はぞんざいだったのである。
普通はなんだこの男、と突き放したくなるところだ。
あるいは、ことばが届かないことに怒るか。
そんなためにも解決にもならないことをつらつら考えていると、扉が開いた。
リーンだ。
もう朝食の時間になっていたのか。
「おはようございます、アキラさま」
「おはよう、リーン」
挨拶の段階では、問題なさそうだ。
このまま流してくれると嬉しいのだが……。
そっと祈りをささげる俺の前に、リーンはそっと座わり込む。
「良かった。少し元気になったんですね」
「あ、ごめん、その」
「いいえ。やはり不要にあのような輩と会わせるべきではありませんでしたね。あのあと、わたしも反省しました」
「いや、ランディは悪くない。けど、俺が悪かったっていうか」
俺の言葉に、きょとんとして首を傾げるリーン。
かわいい。
リーンは俺より大人の女性だと思うけど、ふと見せる表情が幼くて可愛い。
「……スカイさまのことは気に入りましたか」
一瞬誰のことを聞かれているのか分からなかったが、この流れからして一人しかいない。
ランディだ。
確か自己紹介のときには、バートランド・スカイと言っていたはず。
「ええっと……変わった人だなーとは思ったけど」
「ふふ。今日も魔王討伐隊の方が一人、見えてらっしゃるのです。午後からお会いになりますか?」
「どんな人なんだろ」
「スカイさまよりは真面目な方です。冗談もお好きですが。もちろん、戦闘能力はお墨付きですよ。アキラさまは、きっと何度も世話になるでしょう」
「え、なんで?」
「直に分かります」
それだけ言うと、リーンは口を閉じてしまった。
あんまりつつくのもあれだし、俺も口を閉じたのであった。




