16 情けない我が身
リーンの青い目と俺の黒い目が合う。
そういえばさっきの男、ランディも金の髪に青い目だったな、と思いつつ口を開いた。
「さっき聞いたけど、ランディから嫌がらせまがいのことを受けてるんだって?」
「名前のことでしょう? わたしがいないときは家名で呼ぶのに」
やっぱりさっきの言葉は事実だったらしい。
すこしぐらい誇張された話だったら良かったのに。
言い出したはいいけれど、何もできない俺はぐっと拳を握る。
知力250じゃ、まだ一般人レベル。
魔法も唱えたことのない身じゃ、ランディを脅すこともできない。
「いいんですよ。あの男はあれが趣味らしいので。放っておけばいいんです」
「だけど」
「大丈夫です。わたしの力強さはアキラさまもご存じでしょう? いざとなったらこの腕力でアイツをボコしますから。大丈夫です」
右手を握りしめるリーンのなんと力強いことか。
俺も同じように手を握りしめたけど、包丁も握ったことのない自分のてのひらはすごく弱々しく感じた。
視線を落とす俺に、リーンは明るく励ます。
「アキラさまには無尽蔵の知力があるじゃありませんか。鍛えた一般人の腕力が300ですので、それを目標にしてきましたが、もうそれもあと少し。そうだ、明日から実際に魔法を放つ練習をしましょう! きっと素晴らしい結果が待っていますよ!」
「リーン……ありがと。俺、もう少し頑張ってみる」
気持ちは伴っていなかった。
だって、人間、そう簡単に立ち直れるもんじゃない。
たとえ好きな女の子の言葉であってもだ。
だけど、期待してくれる人にはそれなりの行動を返してあげたかった。
おざなりに返事をして、扉を閉める。
リーンの表情は、見えなかった。




