13 短剣使いのすすめ
「こんな部屋にずっといたのか!?」
「うん、まあ、最初は外に出たかったけど」
「……ふっふっふ。じゃあ、いまからオレと一緒に外に出るってのはどうだい? なに、心配すんな。オレは時間にうるさいほうなんだぜ」
「あ、その件だけど、さっき王城内ないなら自由に動いていいって、リーンが」
「なあんだ。って、王城内か。結構、慎重なんだな。まあ当然か。オレには代わりがいるけど、あんたにはいないもんな」
そうやってこちらを見る彼の目には嫌味とか羨望とか、なかった。
なんて答えればいいか分からずに黙り込む俺に、彼は笑った。
「ああ、違う違う。いまのはただの事実だから。そんな困らせるために言ったんじゃない」
「いや、でも」
「そんな暗い話はやめて、楽しい話をしようぜ。ほら、おまえ、本を読んでるんだろ? どの本がお気に入りなんだよ?」
「え、ああ、この本とか……」
「おお、懐かしい! この絵本、むかしさんざん読んだな!」
「あとはこれとか」
「うわっ、こんな小難しい哲学書なんて読んでるのかよ!? マジかよ、異世界人のスペックって半端ねーな……って、そうじゃなくて。あるだろ? 秘蔵の本が。ほら、えっと春画? っていうかエロ本っていうか」
突然の単語に、俺の頭は真っ白になった。
いや正直、喚ばれる前の俺はそういうの持ってたし、……つ、使ってたけども!
初対面だぞ!? っていうか男同士の話ってそれ!?
初めて会った者同士で、オレ、○○のフェチなんですよー、とか普通するか!?
あわあわしてしまって反応できない俺に、男はなにやら納得したようだ。
「あ、でも、この手の類のものってリーンちゃんには用意できないか」
「リーンちゃんって……」
「可哀想になあ……。よし、こんどオレの貸してやるから! 好みじゃなかったらマジごめん」
「いや、別にいますぐ必要って訳じゃないから!」
俺がそう言い張ると、男は疑う顔付きになったが、俺は押し切る。
これ以上こんな会話続けてられるか!




