11 不遜なゲスト
部屋の本を読破し終わると、リーンから意外なことを告げられた。
「おめでとうございます。知力250達成ですね」
「もう250? あと少しか」
あと少しで部屋を出られる。
外に行ける。と胸をふくらます俺に、リーンは優しかった。
なんと、なんとだ、王城の中だけに限られるが、あの丸い天窓がある部屋から出てもいい、と言われたのだ。
いままでお風呂やトイレで部屋を出ることがあっても、それは隠し通路からそっと出入りするもので、常に周りを気にして歩かなくてはならなかった。
それが、解除されるのだ。俺の心は躍った。
いままで通り、リーンの目こそは必要だが、こそこそする必要はなくなったのだから。
「ほ、ほんとに!?」
「ええ。腕力250と言ったら一般人と同じ数値です。すなわち、知力250のアキラさまも一般人レベル。そう説明したら、王さまから許可が出ました」
「マジでか! やったあ!」
「それから、今日は特別なゲストをお呼びしています……というか、勝手に乗り込んできたのですが」
リーンの表情が蛇蝎を見るような嫌悪に満ちたものに変わる。
何か理由を尋ねるよりも早く、そのゲストは割って入ってきた。
「やあ。未来のパーティーメンバー。男同士でしか分からない話もあるだろう、と思って来たんだけど、パティ嬢が通してくれなくてさ」
「まだいいとは言ってませんし、わたしの名前をそう呼ぶのも許した覚えはありません!」
「ええー。ほんと、パトリシア嬢ったらお固いなあ。ほら、魔術師殿が困っているよ。はやく説明してあげないと」
「誰のせいだと思っているのです!」
リーンは男をぐい、と押しのけると一人で部屋に入ってきて言った。
相変わらず力強い彼女である。
手伝おうかと思ったが、学生の貧弱な腕では頼りになるまいと思ったのだ。
けっしてリーンと仲良しなのに気後れしたとかそういう訳じゃない。
「彼は……?」
「魔王討伐メンバーに選ばれた男です。そういう意味では信用できる人ですよ」
ほほをふくらませながら、リーンはゲストをそう評した。
いつもは見せない表情なだけに、俺はバレないようにじっと見つめる。
かわいい。




