⑰ 逆の裏の
もはやただのマイノリティでは満足できないんだろう?
だったら君の目指すそれは何かな?
アンコモン?
ディザスター?
シンギュラリティ?
アンネセサリー?
むしろ、そうだといいな
やあようこそ
前書きをあえて置くけれど、僕は君を満足させるためのシステムだよ
つまりは、君が満足できることばを吐くだけの機械だね
「そんなことよりも」
「あれ?」
「もしかして、髪、切った?」
「とても似合うと思うよ」
前よりはね
僕はなんたって君の僅かな変化だって見逃すことはあり得ないよ
僕は「君のこと好き」だからね
「ところで、ランチはどこにしようか?」
「うんうん、僕もそう思うよ」
「あのエリアのウインドウ・ショッピングはとても魅力的だと思うよ」
「君はどう思う?」
「そういえば、君に似合うと思う香水を見つけたんだ」
「どう?これは僕に…ちょっと、似合わないかな?」
「ちょうどいい時間だし、コーヒーでも飲もうか」
「君のお気に入りのカスタムを教えて欲しいな」
「足、大丈夫?少し休もうか」
「君といると楽しいよ」
ところで、僕のこと好き?
僕はね、「君のこと好き」だよ
僕のターンだね
僕だってただの逆コンパイラじゃあないよ
意思と目的と殺意をもつことができる人間だよ
そうだね、まずは―――
『おなかがすいた』




