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センパイと後輩と××の世界

短編二作品目です。

「センパイ! わたし、宇宙人と交信できるようになったんですよっ!」

「……、まーた始まったよ」


 センパイはあきれ顔で、やれやれといったふうに肩を落としてそう返事をする。

 放課後の教室。わたしとセンパイ以外に教室に残っている生徒はいない。わたしたちは机一つを二人で挟んでイスに座って話をしている。


「その顔は信じてないですね~! 本当なんですよ! 今朝も大量に交信しましたしししっ!」

「はいはい。どんなことを交信したんですか、後輩ちゃん?」

「ピピー、ピピー、受信中、ジュシンチュウ」

「わお、さっそくですか」

「………受信完了! 『ワレワレハ、チテイジンダ』です!」

「宇宙人じゃないのかよ!」

「まあそんな時もありますよよよっ!」

「…そう」


 さっきよりも心底あきれたような顔をしているセンパイ。あきれはてた表情がよりいっそう美人に見せる。


「いやー、学校に来る途中も大変でしたよ! 宇宙人同士が激しいケンカをしてまして、お互いを鋭い歯で食い千切りあってるんですよ! あやうく巻き込まれそうになりましたよもう!」

「でも安心してくださいセンパイ!こう見えてわたし強いですから! 目からビームだせますし、腕から切れ味抜群な剣を生やすことができる体に改造されていますから!」

「おー、それは恐い怖い。コワいね~」


 あくびをしながらどうでもいいといったふうに返事をされる。


「……この世界は狂っているんです!! 誰もこの世界の異常さ、正常さ、本物偽物森羅万象に気づくことができないんです!! 我々はこの世界の一部でしかない! なにもかもがどれだけ集まろうと世界の全部になることはできないのです!!」

「…頭、大丈夫?」

「大丈夫です!! ちゃんと首と繋がってイマす!」

「そ、そう」

「そしてその世界は我々を欺き、狂っていることを隠している! それに気づいてしまったわたしはもう人間ではいられないのです! 気づくことのできないものに気づくことは世界の禁忌であり、特異であり、世界の異分子そのものです! わたしはオカシクナイです! コノ世界がおかしい! 腹がよじれるほどあはははははははハハハハハはははははっ!!!」

「わかったわかった。かまってあげるから落ち着こうか」



「わたし、バケモノと会話ができるようになったんです!」

「そっか。地底人と交信もできるし、バケモノと会話もできるし、後輩ちゃんは最強だねぇ」


おだやかな笑顔のセンパイ。その表情は決してわたしをバカにしたようなものは一ミクロンも含まれてなくて、わたしの心を落ち着かせるのには十分だった。

やっぱりセンパイは美人で優しくてわたしを包み込んでくれて…、大好きです。


「わたしはおかしくないですよ? おかしいことじゃないんです。やろうと思えば誰にだってできちゃうことなんですよよよ! この世界に順応しちゃえば普通のことなんです!」

「うん。おかしくないよ。あたりまえじゃん、私のかわいい後輩ちゃんだぞ?」

「……えへへ//」


窓の外は、いつのまにか真っ赤を真っ赤で染めたような真っ赤な夕焼け。

そんな綺麗な夕焼けが、まだ、この世界も捨てたもんじゃないなとわたしに思わせてくれる。


「…結構話して時間経っちゃってたみたいだね。もう遅いし、そろそろ帰ろっか!」

「はい!!」


二人で一緒に席を立ち、静かな教室を後にする。


「あ、私少し寄るところあるから、ごめんだけど先に帰ってて!」


階段にさしかかるところでセンパイがそう言った。


「……そうですか、わかりました! それでは!!」


センパイに向かってビシッと敬礼をする。


「うん、じゃあね!」


素敵な笑顔でバイバイと手を振ってくれる。


わたしが階段を下りていくのと、センパイが階段を上っていくのは同じくらいのタイミングだった。



























その後、センパイは学校の屋上から身を投げた。












「*1→〒々#°|○・*♪¥jfÅー」

「×≠〆£⁑⁑×+=<€$£∝↓gQk☆∵♂!」


帰宅途中、今朝とは違う宇宙人、見た目的には怪物、バケモノといった類の二匹がお互いを食い千切りあってケンカをしていた。


「%∀Å〆n⁂⇔∂」


わたしがそうケンカをやめるようにいっても、聞く耳を持たないバケモノはケンカを続ける。





そんな世界に、センパイは順応することができなかったのだ。






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