一日の終わり
何故だか今日はとても疲れた。
それに、酷く一日が長く感じた。
聖奈人体は驚くほど早く、うつらうつらと眠りにつく態勢に入った。
しかし、首にさがっているネックレスが鎖骨に突き刺さり、痛みで目が覚める。
「……あー、くそ」
ネックレスを半ば強引に首から外し、その辺りに投げ捨てようとする。けれども聖奈人はそこで不思議と思いとどまり、手の中に握られたネックレスを見つめた。
聖奈人が魔法少女に助けられた、魔法を与えられたと同時に現れた聖奈人の魔法を示すネックレスだ。
黒く、神秘的に、鈍く輝く。
綺麗だ。
本来なら、もう一色加わっているだろうにと聖奈人は少し残念に思う。
聖奈人が思うもう一色とは銀色のことだ。あの魔法少女の着ていた服の色と同じ。
聖奈人が魔法適正を無くし、魔法少女が行方不明となったであろうと同時にネックレスを彩っていた銀の光が消えた。
この銀の光こそが魔法少女の、そして一度も使ったことのない聖奈人の魔法なのだろう。魔女や魔女の魔法を受けた者の濁った魔法とは大違いでそれはとても澄んでいた。
しばらく見つめていたが、やがて恩人の行方が気になり始め、その次に最悪のパターン……少女が死亡したのではないかと想像してしまい、気分が悪くなって結局ネックレスを投げ捨ててそのまま瞳を閉じ、聖奈人の脳は休息を始めた。
「……見つからないな」
草木も眠る夜遅く、銃は家の屋根に立ち、ある存在を探していた。
指にはめられた指輪がキラリと光る。
オレンジ色の光が銃を一瞬包み込み、やがて光が消える。
銃は光の中にいる間に目的を果たしたらしく、すぐに指輪を外してポケットに突っ込んだ。
「ダメだ……どうしても見つからない」
何かが侵入していることは確かだ。
しかし、見つからない。
「早めに見つけないといけないのに……」
だが、見つからないものは仕方がない。本日のところは切り上げ、屋根から飛び降りた。
銃が探していた存在、それは後々判明することとなる。
その頃にはもう手遅れなのだが。




