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 数秒間ぼーっと立っていたが、とりあえず履いていた靴を脱いで玄関に放り捨て、元いた居間へと帰還する。

「うーむ」

 どかりとソファーに座り込む。足を組み、腕を後ろに回して大きな態度でどこかに消えた銃を待つ。物音はない。何も考えることなくひたすらに。

 ふと天井を見上げた。白色の明かりが顔面を照らす。

 ……眠くなってきた。

 押し寄せる睡魔に抗うが、勝てるはずもなく静かに上瞼が下瞼に求婚を始めた。

 やがて瞳は完全に閉じられ、意識が遠のいていく。

 


 そして先日見た、この世を覆い尽くすような闇が聖奈人の遠のいた意識のうち、残ったごく一部の意識を襲った。

 何故今この夢を見るのだろうか。聖奈人は不思議に思った。

 この間の夢は新学期に対する不安をの暗示ではなかったのだろうか。まだあの夢の語りかけてきたことは完結していなかったのだろうか。

 夢現つのまま考える。が、まとまらない。

「……くん」

 誰かが呼んでいる気がした。

「聖……くん……」

 うるさいな。

「聖奈人くん」



 はっとし、目を開けた。

 寝ていたらしい、とは言ってもあの夢は一応明晰夢なので寝ていたことは一目しなくても瞭然なのだが。

「寝るなら布団を貸すよ」

「ん?……そこまでしてもらわなくてもいいよ」

「いやいや、お客様をぞんざいに扱うわけにはいかないしね。遠慮なく使ってよ」

 引き下がってくれそうにもない。

 聖奈人はあまり乗り気ではないものの遠慮なくと言われているので、遠慮しては逆に申し訳ないと言葉に甘えることにした。

「あ、シャワーも貸すよ」

「……ん」

「私の父親の物で良ければ貸すけど」

「……そだな」

 いまいち何を承諾したかわかってはいないものの、とりあえず返事だけはしておく。

 銃がリビングから出て行き、銃の父親の部屋から着替えを取ってきた。

「どうぞ」

「ん……」

 銃から着替えを受け取り、寝ぼけた頭で案内をうけて脱衣所に入る。

「それじゃ、ごゆっくり」

 扉が閉められた。

 一呼吸おいてから衣類を脱ぎ始める。

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