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真実は

 その時、聖奈人の脳裏に四つの漢字が思い浮かんだ。

『魔法少女』という、その単語が。

 銃のあの快活な性格、あの時話した魔法少女の惹きつけられるような話し方。口調は違うもののそっくりだった。

 あの時の少女は幼く、聖奈人は自分と同じ年齢ぐらいに見えた。

 そして銃は同学年。

 偶然だろうと思うものの、一つの疑念が払いきれない。

 銃が魔法少女ではないのかという疑問が。

 聖奈人は息を呑んだ。目を見開き、汗を流した。

 いや、そんなことあるはずがない。あってたまるか。

 何故なら、黒銀の魔法少女は現在行方不明になっているのだ。

 黒銀の魔法少女がこんなとこにいるならば、どうして聖奈人の魔法適正が消えたのか、いくつかの魔力フィールドが消失し、大変なことになったのかが説明できない。

 しかし、銃が現在魔法少女としての力を失っているならば説明がつく。

 魔法少女としての力を失っているからこの姿でいると仮説を立てたならば納得ができる。

 聖奈人は今すぐ銃に問いただしたかった。だが、そうもいかない。

 聖奈人は魔女に怯えながら生きている。

 魔力フィールドの中にいるとはいえ、いつ魔女がフィールド内を覗き、干渉してきて聖奈人や緋那を狙ってくるかわからないのだ。

 消し去ったはずのものが消えておらず、しかも魔法を使えるなんて者の存在を魔女は見逃さないだろう。

 ここで魔法少女か否かを銃に問い、もし本当に魔法少女だったときだ。

 魔女がその会話を万が一聞いていたとしたら、聖奈人も緋那も無事ではいられないだろう。

 もっと言うと、魔女のことだ。魔力フィールドの中に入ってきているかもしれない。隣を歩いている主婦が魔女かもしれないのだ。

 ここで何か聞くのは悪手だ。

 聖奈人は昂ぶる気持ちを抑え、冷静さを取り戻そうとする。

「聖奈人くん?どうしたんだい」

 急に狼狽え出した聖奈人を心配して銃が声をかけた。

「……なんでもない、大丈夫だ。それより、さっさと買って帰ろうぜ」

「……そうだね。大丈夫なら大丈夫だね。買い物を続けよう」

 心配をかけてしまったことを聖奈人は恥じた。真に心配すべきは体調の優れない銃の方で、聖奈人が心配すべきなのに。

 態度を改め、先ほど考えたことも全て忘れて切り替え、買い物カゴに食品を放り込む。

 やがて材料を全てカゴに入れ終わりレジへと向かった。

 二人で並んで歩き、レジに入ろうとしたその時、聖奈人がふと足を止めた。

「ん?どうしたんだい。買い忘れか何か?」

「あ、あのさ。俺の代わりに会計してくれないか?」

「なんで?」

「俺、人と話すの苦手なんだよ」


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