プロローグ
初めまして、もっぱら読み専でしたがあふれる厨二を抑えられず投稿。
エタらない様がんばりますのでお願いします!
「またか…」
そんなつぶやきと共に一人の人間が世界から消えていなくなった。
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「はよぅ…来てくれんかのう。干からびてまう。」
妖艶な雰囲気をまとった女が、憂いを帯びた声でそんなことを言う
見た目は20代後半と言ったところか、まだ幼さも残る顔にキリリとした目、鼻筋はよく通っており男を惑わすような表情にはそれを狙っていますとも言わんばかりの笑みが張り付いていた。
言葉とは裏腹な表情に困るものなど周りに一人もいないのだが
女はひどく困っている様子だった。
「何故?」なんて言葉を出したらキリがなくなってしまいそうなので、ここでは割愛させてもらうが、女はとにかく困っていた。
自分の思い通りに行かないことなんて一つもなかったのに、今は一つうまくいかない事だけが気がかりで憂鬱であった。……いや困ったことがなかったから尚更であろう、その一つが気がかりで仕方がないのだ。
女は豪華できらびやかな装飾がしてある、少し座りにくそうな椅子に今にも落ちるんではないだろうか、と思うように浅く肘掛に肘をかけて座っている。
その周りには他に何も置いていない、10畳程の広さがあるにもかかわらずその一つの椅子しか物が置かれていない。そしてこの部屋にもちろんこの女一人だが、この部屋と言わず周りにも何の気配も何もないのである。
「いつになったら聞かせてくれのか…今宵も寂しい夜よの。」
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俺の名前は...
俺の名前は...
名前...いつからだったか。本当の名前が出てこなくなってきたのは、いや出てこなくなった...ではないな、出すのに戸惑うようになったのはだな。
本当は戸惑うような事でもなんでもないんだけど、何回目からか...まず最初に自分の歳が分からなくなったんだ、そのあとに自分の一番最初に住んでいた世界が何処だったかがあやふやになって
その後、精神的にも何回かおかしくなったな
自殺も何回か経験したけど、その度に戻ってきてたから嫌になったな、そりゃおかしくもなるよ。
それでも自分の名前だけは大切にしてたっけ...この名前と文字だけが自分という証だったから。
同じ文字も何度となく見たけども、同じ名前も何度となくいたけど、それでも自分を保つのに名前は必要だった。
それともう一つ。
なんて表現したら正しいのか、「戻る?」「飛ぶ?」「開く?」「落とされる?」
よく言うだろ?
漫画とか小説で、死に”戻り”異世界に”fly”a way、異世界の扉を”開く”、神に”落とされる”なんてさ...
そのどれが正しいか解らないけど、俺的には飛び戻る...て感覚かな。
まぁ呼び方はどうでもいいけど、飛び戻りの回数だけは忘れないようにしてる。今現在52回目。
正確にはその内寿命以外で死んだ事が、178回だったか...それくらいあったから、230回目と数えた方がいいな。
100回目を超えたあたりから、自分の名前を話すのが億劫になったんだ。
かくいう今230回目の異世界旅行、いや飛び戻りで俺は名前を心に留めて...この世界がどんな所なのか少しのドキドキと少しの恐怖をもって生きていく。
そう俺は...死ぬ度に異世界を飛んで回る特異体質者なんだ。
プロローグと言うことで最後駆け足気味でしたが、どうでしたか?
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