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魔女と狼男と吸血鬼02

その日から1ヵ月後、同族の魔女が、休みでくつろいでいる私の家にひょっこりと訪ねてきた。


「やっほー。真理。元気してた?そして、尚くんも。あんたら、いつも仲いいね。」


私の家なのに、自分の家であるかのごとく寛いでいる尚にも魔女は声をかけた。


「ちわー。秋さん。」

「尚は宿題写しに来たんだよ。私は都合のいい女なんです。」

「はぁ!?いやいや。棚組み立てるの手伝う変わりに宿題見せるって言ったの真理の方じゃん!」

「そうだったっけ?」

「そうだよ!」


「はいはいはい。仲がいいのは分かったから。」


彼女の名前は藤堂秋。私の親戚の人だ。

確か30歳だったはず、私が4歳の時に出会ってからもう12年もたったのかぁ。と、感慨深げな感情になる。

と、頭上にチョップが飛んできた。


「痛い!」

私が頭を抑えてわめくと。

秋さんから低い声がかえされる。


「年齢の事考えてたでしょう!」

頭を抑えつつ、秋さんを見ると女王様の目で見下ろされていた。

「秋さん、考えていることまで分かるようになったんですか?」

私の能力は占う力だが、秋さんの能力は人の感情の色を見ることが出来る、だったはず。


「真理がその色を纏う時は大体年齢の事を考えてるって知ってるのよ。」


その言葉に反応して、尚が横から口を挟んで

「え。真理の頭の上って今どんな色なんですか?」

と興味を持って聞くが、分かったところで見えるはずも無いだろうに。

頭に手を伸ばしてきた尚の手を振り払う。


それよりも、私は気になることがある。

「秋さん。5年前から一族が揃う時しかあってないですよね。珍しい。」


行事ごとに集められる一族の集会では珍しくない

が、部外者立ち入り禁止の集会以外で秋さんに会うのは稀だ。


それには一つの理由がある。


「秋さんお一人ですか?」

そういえば、今日は休日だと言うのに朝早くから私以外の家族は皆外出している。その日頃ない状況に気づいた私は急に不安になり小さく身震いしてしまった。


「真理?」

いつもは鈍いのに今日はいいタイミングで雰囲気を察して、心配そうに顔を覗き込む尚を私と秋さんの間に移動させて、盾にして秋さんと少し距離をおく。

その私の様子に気づいた秋さんは苦笑した。


「察しの通り、いるわ。ねぇ、話したいことがあるの。彼を家に入れてもいいかしら?」

「お断りします。」


家族がここにいないという事はもう許可をとっていると言うことだろう。だけど一応反抗してみた。


「ああ。拒否しても、逃げても、全部無駄だから。

一応聞いただけでもうすべて決定してるから。

真理も尚君も観念してね。」


「俺も!?」

「尚も?どういうこと。」


尚には悪いが1人じゃないことにちょっと安心した。


「これから言うことはちゃんと魔女達に許可をとってあるし、尚君の家族にも了承してもらってる。

詳しく話すから旦那呼んでくるわ。」


そう言うと秋さんは一端家から出ていった。


残された2人で顔を見合わせるが、お互いひどく情けない顔。

尚には耳も尻尾もついてないはずなのに、ぺたりとしたに下がっている幻影が見えそうだ。

図体でかいから可愛くないけど。



「お邪魔します。」


おお、ボーっとしてる間に早速登場。

居間のドアが開き、秋さんと秋さんの旦那さんが入ってきた。


「はじめまして、秋の夫の藤堂良一と申します。」


短く切られた髪に、二重で意志の強そうな瞳、背も高く、足も長い。

イケメンというやつです。

まあ、それは会う前から分かっていたこと。


だって彼は、゛吸血鬼゛なのだから。


若干、青ざめている私達を見た秋さんはため息をついた。

「そう固くならないでよ。

この人はもう私以外の血を飲むことはないし。私以外の人にそこまで執着しないんだから。」


この藤堂良一という吸血鬼は秋さんの旦那さんで、魔女の皆が外で秋さんを避ける理由になった原因の人。


吸血鬼は一部の種族から凄く敬遠されている。


「秋さん、私のこと吸血鬼に売ってませんよね。」

同族である秋さんがうらぎるとは思いたくないが、目の前に吸血鬼がいる時点で疑うのは当然だろう。

真剣に聞いたのに。私の言葉に笑った秋さんは手を横に振る。

「そんなに怖がることないじゃない。

逆に自意識過剰よ?魔力が強いだけで吸血鬼に好かれるわけ無いでしょ。

まあ、真理に無理をさせるなら、私も一緒に逃げるつもりだから安心しなさい。」


秋さんに一緒に逃げてもらっても嬉しくない。


「秋!逃げるってまさか僕から!?」


秋さんと一緒に逃げたら、藤堂さんが確実に追いかけてくるではないか。


藤堂さんが秋さんの手を握ろうとしたが、それをひょいとかわして私の隣に座り込む。

いや、正確に言うと私は尚を盾にしてるので、尚の隣に秋さんは座り込んだ。


不可抗力とはいえ、藤堂さんからすると秋さんは尚の傍に逃げたように見えたらしい。

睨みつけられた尚はびくりと震える。


三角形の頂点にいる吸血鬼様の怒りは心臓に悪い。


はぁ。とため息を付いた私は秋さんに話の続きを促す。

「で、私に何をさせたいんですか。」


一族の許可をとっているのであれば私が反抗しようと事はすすむだろう。

昔から秋さんに勝てたためしは無い。


秋さんを見つめていた藤堂さんは私の言葉にこちらへ振り向いて、頭を下げてくれた。

「ありがとう。一族みんな困っていてね。・・・秋はこの後、一緒に話し合おう。」

後半の藤堂さんの言葉に秋さんは舌を出す。

「話し合っても意味無いけどね。」

「秋!」


「夫婦喧嘩は他人のいないところでお願いします。」

言い合いが始まりそうになったので、すかさず口を挟む。



「実は、君達と同年で高校1年生の男の子がいるんだけど。その子が一族の中でも力が強くてね。

早くツガイを見つけてあげないと、最悪死に至ってしまうんだ。」


吸血鬼族は力が強いほど、魔力が強く自分好みの血を求める。

一般的な吸血鬼族であれば、ツガイの傍に居るだけで満たされるらしいが、一定以上の力を持つ吸血鬼だけは、より強い魔力と自分好みの血を必要とするらしい。


「力が強いほど自分のツガイを見つけるのは難しくなる。

その子は今、転校を繰り返して探し続けているんだけど。これが中々見つからない。

僕も秋に会う前はそりゃもう大変だったよ。」


藤堂さんや、その男の子の強さになると、人間の微量な魔力ではお話にならないらしい。

選ぶのは魔力の強い種族から。


「つまり、私の血を提供しろと?」

この町で魔女で高校生という条件に入るのは私だけだ。


藤堂さんは尚をちらりと見た後、苦笑する。

「うーん。一番の候補は君だったんだけどね。」


私は首を横に傾ける。

「だった?」

「そう。まあ、無理に仲を引き裂いてまでとは思ってないから。

それに、君達の学校には色々な種族がいるだろ。

助け・・・いや、友達として彼に協力してくれないだろうか。」


その子が住んでいた場所はここからかなり遠い場所だったが、私の通っている学校が一番、色んな種族がいて、さらに魔力が強い同年の子が多いという情報を得て引っ越してきたようだ。

秋さんが私の肩をぽんと叩く。


「その子、貧血でよく倒れるようになっちゃったから。

あんた達サポートしてあげるのよ。」


や、やっぱり血をあげないといけないの・・・?

さーっと顔を青ざめさせていると。

藤堂さんが持っていたスーツケースを机に置き、中身をこちらに見せる。


・・・大量の赤い飴。


「これ舐めさせとけば倒れないから。君達も持っててくれると助かるよ。」


うーん。と渋っていると。藤堂さんはもっと同情心を引き出そうと、さらに話し始める。


「彼はとても優しい子なんだ。吸血鬼ってのはいろんな意味で本当の友達が出来にくいからね。

新しい学校でなじめるかどうか緊張してて。

先日、事前調査するといって転校学校を下見しようとして、その途中で倒れてしまったんだよ。」


飴を途中で落としてしまい、連絡をする暇も無く急にぶっ倒れたらしい。


「頭も良いし、将来もある子なんだ。彼の力になって欲しい。」

なんだか、似たような状況を最近見たことがあるなあと思って、軽く質問してみる。

「もしかして、その子は学ランだったり?ぶっ倒れたのは公園の近くだったり?時期は1ヶ月前だったりして?」

あははは、まさかね。と質問してみると、藤堂さんは驚いた様子で頷いた。


「そうだよ。過去を見ることが君の力?」


私と尚は顔を見合わせる。

私達は先日会ったことを渋々ながら話す羽目になった。

おかげで、相手が言っていることが嘘ではないと証明されたし、私達の同情心もがっつり掴まれてしまった。


「「協力します・・・。」」


そう結論を出した私達に、藤堂さんは喜び、秋さんはほっとした様子だった。

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