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機は熟した。

「ハアァァ!!!!!」



 ガンッガンッガンッガンッ

 ガンッガンッガンッガンッ

 ガンッガンッガンッガンッ

 ガンッガンッガンッガンッ



「やるな、雄治殿っ!!」


「まだまだですよっ!!エィッ!!」



 ガンッガンッガンッガンッ

 ガンッガンッガンッガンッ



「なら、次は私から仕掛けさせて貰う。」


「はいっ!!」



 ガンッガンッガンッガンッ

 ガンッガンッガンッガンッ



「よし、ハァハァハァハァハァ少し休憩しよう。」


「ハァハァはい。ハァハァハァハァハァわかりました。」


「しかし、雄治殿の成長速度は素晴らしいな。惚れ惚れする。」


「ハハハ…でも、アンドレアさんには全然ハァハァハァハァハァ敵わないですね……後、何かがあれば…」


「そうだな…だが、毎回言うが体術だけなら間違いなく武術大会で優勝出来るラインにはいる。確かに貴殿の言うとおり決定的な何かがあれば貴殿はより高みに昇る事が出来るな。」


「ハァハァハァハァハァまぁ、考えても答えは出てこないですけど(笑)」


「フフフ。貴殿らしいな。」


「そう言えば今日まで訓練して大丈夫なのですか?」


「大丈夫とは?」


「移動…とか?その馬車でバラガン帝国まで行くんですよね?」


「いや、一般の参加者や観覧者はそうだが、我々は明日、つまり大会開催の前日に大型転移で向かう。」


「転移…ですか?」


「あぁ、王宮関係者や何か特別に許可された者しか使用は認められてない物だ。」


「なるほど…だから、今日までここにでアンドレアさんと手合わせが出来る訳ですね。」


「そうだな、まぁ大会前最後の訓練だな(笑)後は調整になるからな。」


「そう言えば龍神属の人達の見た目ってすぐわかりますか?その……例えば獣人属の人と見分けって直ぐにわかりますか?」


「あぁ、直ぐわかると思うよ。見た目通りだから。後は、丁度いい機会だから貴殿に教えよう。龍神属は血の濃さによって見た目が違うんだ。例えば血が薄い龍神属は我々、人間みたいな見た目に龍の尻尾や体の一部に鱗があるんだ。」


「尻尾……鱗?」


「あぁだが、そう言う人達は龍神属の中でも劣等種、劣血(れっけつ)と呼ばれて……まぁその…扱いが悪いと言うか……身分が低いと言うか…だからバラガン帝国に行ったらどんな見た目でも龍神属は龍神属として扱った方がいい。余計な事に巻き込まれる可能性が多いにあるからな。」


 差別に近い区別と言うわけね…

 なんか、同じ種族なのになんか、嫌だね…

 俺は平和に過ごそう。

「はいっ!わかりました。教えて頂きありがとうございました。」





 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「では、儂の留守を頼むぞ。」


「「「はっ。」」」

 ハデル、親衛隊のジャッジ、アイスが返事をする。


「聖女アイナよ。そなたも頼むぞ。」


「はい。任せてください。」


「では、行くとしよう。」


「雄治っ!!お前ならマジで優勝出来るから自信を持っていけっ!!」


「はいっ!ありがとうございます。」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「遠方よりご足労頂き、感謝申し上げます。」


「うむ。そなたも元気そうじゃの。」


「お陰さまです。さぁこちらへ。バラック大帝も皆様のご到着を待ち望んでおります。」



 本物、龍神属だっ!!

 スゲー。

 何だろう?2足歩行のトカゲ?みたいな感じだ。

 でも、アンドレアさんの言う通りならこの人って龍神属としての血が濃くて滅茶苦茶強い訳だよね?


「デスタック、貴殿は大会中は護衛か?」


「勿論だ、アンドレア殿。我々が出る訳にはいかないからな(笑)」


 気さくな人だな。

 なんか、想像してたより話しやすいのかな?龍神属の人は。


「こちらです。皆様、ネビル国王に続いてください。」


「おぉネビル国王!!参られましたか。さぁさぁ堅苦しい挨拶は無しにして、時間的に…紅茶とクッキーでも如何ですかな?」


「えぇ、先ほど着いたばかりじゃ、それでは貰うとしよう。」


 この人も気さくな人だな~。

 今の所、龍神属に悪い印象は無いな。


「デスタックよ。そなたも座れ。折角、ガイル王国からアンドレア殿が参られたのだそなたが相手するとよいぞ。」


「はっ。では、こちらに失礼する。それで早速だが、そちらの女性は聖女レイシア殿でお間違いないか?」


「えぇ。聖女を勤めております、レイシアと申します。デスタックさんの武勇は我々、ガイル王国にも届いてますよ。」


「ハハハハハ、社交辞令とは言え、こういうのは嬉しい物だな♪で、そちらの素晴らしい武人は?」


 目が合ったー!!

 何で、急にこっちを見るのっ!!


「フハハハハハ、流石だなデスタック殿は。やはり、デスタック殿の目にも雄治殿が素晴らしい能力をお持ちだと?」


「勿論だ。鍛え上げられた、その体のライン。細過ぎず太過ぎず、スピードとパワーの両方を求めた究極のラインだと感じた。そなたの名前は?」


 めっちゃ誉めてくれるー。

 これだけで来たかいがありました!!


「えーと、戸川 雄治です。一応勇者です。」


「おぉー!!なんと。勇者だったか!!だからか……」


「いえ、私は勇者とは言っても先代ダーディムの様に素晴らしい能力などは何も……只の無能勇者として召喚されました。」


「では、そなたの体は…努力で手に入れた物か?」


「まぁ……そうなりますね……悲しい話ですが…まぁ幸い私にはここにいるネビル国王を始めとした人達が理解し協力してくれたお陰です。」


「そうか、そうか。だが、そなたは勇者として召喚された。俺はそう思う。いや、そうだと思う。勇者とは強き者でも勇気ある者でもないのだ。勇気だけで戦いに勝てるなら苦労はしない。だから、勇者とは如何なる逆境をも跳ね返す強靭な不屈の魂を宿した人物なのだ。今、聞いてる限りだがな。」


「フフフ、デスタック殿、私もそう思ってる。雄治殿はしっかりと勇者として一歩一歩進んでる。どうだ?デスタック殿、羨ましかろう?」


「フハハハハハ(笑)確かに羨ましいな。まぁ勇者召喚とは人属しか出来ぬから仕方ないが…しかし、別の世界に来て、何の能力もない所からよくここまでの体を……本当に素晴らしいな。」


「ハハハハハ。まぁ私には剣しかありませんので。それ以外の物で捨てられる物は全て捨てましたから。何もかも……」


「「「…」」」

 話をしていた、デスタック、アンドレア、レイシアの3人は何も言えなかった。





 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 大会当日。

 参加者は3つの大きな待合室に集められた。




 いよいよか。

 対戦相手はランダム抽選で毎回行われるみたいだな。詳しい話を一切、聞いてこなかった……


 だから、トーナメントではないと……

 勝ったら2回戦、またランダム抽選、勝ったら3回戦、またランダム抽選の繰り返しみたいだな……

 おそらく……


 でさ、みんな普通に自分の武器を持って来てるだけど…

 全く聞いてないんですけどっ!!

 木刀じゃないのかよっ!!

 刃がねぇぇよっ!俺だけっ!!!!!!

 こうなったら木刀による打撃だけで敵を制圧するしかないな。



 あー 神様お願いします。お願いします。

 弱い人とお願いします。

 弱い人とお願いします。

 弱い人とお願いします。


「おいっ!!俺様が座るから、そこどけよっ!!」


 何だっ!?何だっ!?

 やべーのがいるじゃねーかっ!!

 待合する部屋を間違えたっ!!


 あー 龍神属だ。

 どっからどうみても龍神属だ。

 しかも、血が濃いタイプの。


「何だてめぇ!やんのかっ!!」


「おぉ!!俺様とやるのか?いいぜ?来いよ?」


「…」


「来ないのかよ。なら、俺様から行くぜ。」


 ドンッ!

 バンッ!

「ぐあっっ!!!!」

 龍神属に殴られた獣人の男はその場で腹を抑えながら踞っている。


「あぁ……あぁぁ…」


「おいっ!随分とみっともねーな!!獣人さんよぉ!!!!!!」


 ドンッ!

 龍神属の重たい蹴りが獣人に当たる。


 誰も助けないのか……

 まぁ龍神属ともなればそうか…


「ぐっぐぐ……」


「フンッ!!雑魚が俺様との格の違いがわかったか?あぁ?もう一発入れとくか?」


「おい、その辺にしとけ。」


「あぁ?誰だお前。邪魔するならお前から殺すぞ?」


「俺の名前か?それとも殺すぞに対する答えを聞きたいのか?」


「フンッ!!うるせんだよっ!!ゴチャゴチャ人間ごときが喚くなよっ!!」


「いや、喚いてるのはお前の方だと思うぞ?客観的に見ても喚いてるのはお・ま・え。強いのはわかるけどオツムが弱いのかな?」


「テメー!!ぶっ殺す!!!!!!!!」


「そこまでだっ2人共。私がここに居る控え選手の案内を勤める事になった、マルベンだ。普段はガイル王国で騎士の役職に着いている。そこの2人!!これから試合が始まるのにこんな所で何をやってる?トガワ ユウジとパルク・ディアリスだな。今のは見たかった事にする、その熱量をぜひ試合でぶつけてくれ。」



 ふぅー 助かったー。

 タイミング神!!


「チッ!!覚えとけよっ!!!!!」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 全然呼ばれないんですけどっ!!


 えっ!?俺、ランダム抽選の中に居るよね?


 朝の9:00から始まって只今の時間は14:00。


 人が多いのもわかるけどさ~。

 どっかで予選とかして欲しいな。

 待ち時間がしんどい。


 同じ待合室からドンドン人が消える中、俺とあの龍神属が残り続けていくー。


 フラグじゃないよね?

 これフラグじゃないよね?


 本当にアイツ?

 俺の1回戦の相手、アイツにはならないよね?





「さぁ1回戦と今日のラストマッチです!!」


「トガワ ユウジ VS パルク・ディアリス」


「さぁ皆さん!!ラストマッチです盛り上がって行きましょう!!」



 いや~。

 フラグじゃねーかよっ!!!!!





 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「よぉ!!トガワって言うんだな。覚えたぜ、お前の名前。」


「そりゃどうも。」


「その舐めた態度、後悔させてやるからな。」


「舐めてるのはお前だろ?」


「ゴチャゴチャうるせんだよっ!!」


「それもお前なっ!」


「両者とも位置に付け、戦闘開始っ!!」


「行くぜオラッ!!」


 ガンッ!!

 雄治の木刀とパルクのアックスがぶつかる。


「オラッオラッオラッオラッ!!!!!!!」


「ハァァラァァァ!!!オォォォ!」



 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!


 やっぱりコイツ強い……

 あの見た目をしてるだけあってパワーとスピードの両方が凄い。


 くそぉぉぉぉ

 押されてる……



 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!



 一瞬足りとも気が抜けない……


「フハハハハハ!!もっとだ、もっと俺様を楽しませろっ!!!!!!!」


 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!


 パルクのアックスに気を取られていた、その隙に時計回りにパルクが回転すると同時に尾による凪ぎ払いが雄治に当たる。


 バンッ!!


「ぐはっ!」

 くっそ…

 尻尾が邪魔だな…


 どうするかな……


 手が2本に尾が1本……

 数じゃ負けてんだよな……

 セコくね? こっちは腕2本しか無いけど?

 尾が邪魔だな、マジで……


「おいおい、まだくたばんじゃねーぞ!!」


「オラッ!!オラッ!!オラッ!!」



 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!



「ハァァラァァァ!!」


 バンッ!!

 雄治の一撃がパルクの顔に入る。


 よし!!

 イケるイケる。


「雄治様の攻撃が入りましたわ。」

「えぇ、先ずは一発。これを維持出来れば…」


「何、逆上せてんだよ?たった一撃が入っただけで……本物の血を持ってる俺様に人間ごときが本気で勝てると思ってんのか?だとしたらおめでたいな。もう、遊びは無しだ。」


「ウォォォォォォォォ!!!!!!!!」


龍神(ドラゴッド)!!選ばれた龍神属だけが使用する事が出来る魔法だ。」


 バギバギバギ

 ムキムキムキムキ


 パルクの体が見るからに大きくなり顔付きはより狂暴になった。


 おいおいマジかよ……

 そんなのありかよ…


「ちゃんと殺してやるから、安心しろよカスが!」


「…」


「ビビってんじゃねーよ!!」


 早いっ!


 バンッ!!

 パルクの拳が雄治のお腹に入る。


「ぐはっ!」

 おもっ

 やっべ……意識が…飛びそう……


「オラッ!」


 ガンッ!

 木刀でパルクの右拳をガードする。


 バンッ!!

 時計回りに尻尾の凪ぎ払いが雄治を襲う。

「ぐはっ!!」


「ドラゴン・ブレス!!」

 パルクの口から魔力の塊が放出される。


 嘘……だろ…?

 この距離……かよ…?


 ブォン!!


 直撃は避けた……けど、左手が……感覚が無い…

 マジかよ……

「ウォォォォォォォォ!!!!!!!!」


「ドラゴン・クロー!!」


 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!


「ウォォォォォォォォ!」


「ウハハハハハハ、健気なものだな。お前を見てると如何に人間が下等種か理解出来る。ウハハハハハハ。ドラゴン・クロー!!」


「クッ!」

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!


「そろそろ終いだな。」

 激しい攻防の中、パルクは口からドラゴン・ブレス再び0距離で放つ。


 ブォン!!


「雄治様っ!!」聖女レイシア。


「あれは先ずいな……」アンドレア。


「雄治どの……」ネビル国王。



 勝ちを確信したパルクは雄治に背を向け歩き出す。

「ウハハハハハハ!ウハハハハハハ!。雑魚がっ!!俺様にゴチャゴチャうるせんだよっ!!ウハハハハハハ!一生そこで寝てろよ、雑魚がっ!」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 おい……

 何処行くんだよ……

 情けのつもりか?

 舐めんなっ!!



 俺は…

 俺はまだ戦える…

 背を向けてんじゃねーよ!!

 ふざけんなよっ!!



 畜生…

 体が……動かねぇ…

 左手だけじゃなく、足の感覚も無い……

 動かねぇ…

 畜生……

 畜生…また、負けんのかよ…


 負ける為に来たのか俺?

 あの時、負けて悔しかったんだろ?

 なら、立ち上がれよ…

 こんな所で、寝てる暇はねぇだろっ!!

 俺は何しに来たんだよっ!!!!!

 何をしに来たんだよ…


 まだ、出来る。

 出来るんだよっ!!

 動けっ!動けっ!

 アイツの背中に一発、ぶち込んでやる。

 舐めやがって。

 動けっ!動けっ!

 俺の体っ!!

 もう泣き言、世迷い言を言ってる暇はねぇんだよ!

 今しか無いだろ?

 ここだ。

 ここで、このまま気を失って倒れたらまた、繰り返しだ。

 そうだろ?俺。もう、甘さは捨てたんじゃねーのかよっ!!

 頼むっ!!動けっ!!!!!何の為に…何の為に…

 ここまで剣を振って来てた思ってんだよっ!!


 ウォァァァァァァァァ!!

 動けっ!!

 俺の体っ!!!!!!!!!!!!


 ウォァァァァァァァァ!!

 まだ、やれる。

 俺は戦えるんだ。

 背中を見せてんじゃねーよ!!

 舐めんじゃねーよ!


 ウォァァァァァァァァ!!

 まだだ。

 ふざけんなよっ!!



 ウォァァァァァァァァ!

 ウォァァァァァァァァ!!

 ウォァァァァァァァァ!!!

 ウォァァァァァァァァ!!!!



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「ウォァァァァァァァァ!!!まだ、終わってねー。俺は!俺はっ!!俺はっ!!!」



「あ?」

(加護はとっくに切れてる……コイツ……)



「ウォァァァァァァァァ!!!」


(自分を奮い立たせてんのか?)

「チッ!うぜー奴だな。そんなに死にたきゃ殺してやるよ。」



 体をプルプル震わせながら、木刀の先を地面に付け体重を乗せながら立ち上がる雄治。

「ハァハァハァ…負けられねぇんだよ。俺は。俺には俺の理由があんだ。まだだ。こんな所で、負けられねぇんだよっ!!!!!!」


「ゴチャゴチャうるせーな!また、沈めてやるよ。」


 ガンッガンッガガンッ!!


「ハラァァッ!!」


「オラッ!」



 息が…出来ない……

 一瞬も気が抜けねぇ。

 でも、今引いたら……逸らしたら、負ける。

 息が……出来なくても……

 振れ!!振れ!!振り続けろっ!!!!!!!

 まだだ。

 コイツ相手に気を抜いたら負ける。

 まだだ。

 振って振り続ける!!


「うぜーな!!この野郎っ!!ドラゴン・クロー」


「ハラァァァァ!!」


「チッ!ドラゴン・ダイブ!!」

 パルクの尾に魔力が溜まり凪ぎ払い攻撃が雄治を襲う。


 ドンッ!


「ぐはっ!!」


 くっそ…

 強いな……


 ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ


 ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ


 コイツが強いからって関係ねぇ。

 俺は負けねぇ。負けねぇ。

 勝つ。


 ハァハァハァハァハァ

 俺はコイツに勝ちたい。

 何としても勝ちたい。

 何が何でも勝ちたい。

 勝ちたい。勝ちたい。勝ちたい。



「ハァハァハァハァハァよぉ、何を勝った気でいんだよ。」


「あ?」

(コイツ……まだ立てるのかよ…)


「おいっ!?こっからだろ?」


「フンッ!!死に損ないが。」

(コイツなんか可笑しいぞ?何で、立てる?加護も切れて……いや、それより何で心が折れてないんだ?)



 ガンッガガンッ!!


「ハラァァァァ!!」


「オラッ!!オラッ!!オラ!!」


 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!

 ガンッガンッガンッガンッガンッ!!



 雄治の体から少しずつ黄色い魔力の様なオーラが出始めた。


(まさか…コイツ……)

「ッ!!」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「アンドレア殿っ!まさか、あれは?」


「えぇ、レイシア殿あれは……」


「アンドレアよ。まさかとは思うが雄治殿は…」


「はい。国王様……おそらく氣かと…」


「そんな事があるのか…?」ネビル国王。


「フハハ。相変わらず人属は可能性に未知溢れてますな。」バラック大帝。


「でっですが、魔力も練れない人物が氣など……そんな事が可能なのでしょうか?」聖女レイシア。


「わからない。だが、我々の目に黄色いオーラに包み込まれている雄治殿がハッキリと写っている……期は熟した。と言う事か……?」


「えぇ…でも、こんなに濃くて今にも、飲み込まれそうな氣を私は初めてです。」


「私もです、恐らくあのレベルの氣を扱える人間などガイル王国には居ないでしょう。体から生成される魔力とは違い、氣は精神的な物から生成されると言われてますよね?恐らく我々が惹かれていた雄治殿の精神力が実を結んだのでしょう。」


「ここに来てですか……?やはり、雄治様は規格外のお人ですね。」


「龍神属の彼が引き出したのでしょう。彼の力の前に何度も何度も立ち上がる事で雄治殿は氣にたどり着いた…そう、私は感じてます。」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 なんか、わからないけど黄色い魔力みたいのが俺を包み込んでる。何これ?

 魔力?

 でも、魔力って青色しか無いってセブルスさんから聞いたけどな。

 まぁこれの正体は何でもいいや。これのお陰で体が軽くなった感じがするし、何より嬉しいのが傷が治ってく(笑)


 マジで助かる。

 回復魔法を使えない俺からしたらこの黄色い魔力のお陰で完全復活だぜ!!

 手の血豆みたいなのも、左手、両足の感覚も全部治ってく。


 これなら、もう一度戦える。

 そして、勝てる。

 コイツに黄色い魔力と共に勝つ。


 ガンッガンッガンッ!!


「オラリァァァ!!」


「ぐふ…」

(コイツ…明らかに動きが早くなった…ふざけんなよ。この俺様が負ける負けねぇだろ!!)



「おいっ!?お前疲れて来たのか?随分、遅くなってんじゃねーか?」


「テメー!!調子に乗ってんじゃねぇよ!!!」





 ガォォォォ!!

 ガォォ!!

 ガォォォォガォォォォ!!

 ガォォガォォガォォガォォォォォ!!!!!


 突如、南から赤い龍の大群が咆哮をあげながら近づいてきた。





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