雄治、戦場に到着
ガイル王国の王都は毎日、多種多様な種族が暮らしながらもお互いがお互いの文化を尊重しながら連日、賑わいを見せていた。
だが、雄治とキロロの2人が懸命に帰還しながら目の前の王都に目を向けると連日の賑わいは別の意味の賑わいを見せていた。何ヵ所からか煙が上がり、城が半壊していた。
おいおいマジかよ…
これって、キロロさんの言った通りって事?
ヤバいな…
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
「キロロさんっ!!」
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
「はいっ!!最悪なケースを考えなくてはっ!雄治様もそのお心構えでお願いします。」
キロロの道案内に従い全壊の教会に到着した2人。
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
「ここですか?」
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
「えぇ、すいません。下ろして貰ってもいいですか?」
「あっすいません。」
ここで魔人と?
誰が戦闘を?
この後は、どうする?
ヤバい…
頭が回らない。マジで回らない。
どうする?
今までのピンチと比べて何か胸がザワザワしてる。
「レイシアッ!!」
ん?
レイシアさんっ!?
レイシアさんが何だ?
「レイシアッ!レイシアッ!!」
「キロロさん、どうしました?」
「レイシアがっ!!」
「ッ!」
そこにはボロボロな状態のレイシアが倒れていた。
「息はっ!息はありますか?」
「えぇ…ですが、かなり……」
「なら、キロロさん回復魔法を俺は氣を使います。」
「わかりました。」
ハァハァハァ
氣がだいぶ……
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
ヤバい、頭がクラクラする……
ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
外傷が回復して少しずつ顔色が良くなっていく聖女レイシア。
「…ん?……」
「レイシアッ!レイシアッ!」
「あれキロロさん…と雄治様…?」
「ご無事で何よりです、レイシアさん。」
「…はい……」
「レイシア。それで、何があった!?」
「あっデスペラード!デスペラードは?」
「そうだ。デスペラードを確認しないと…」
「見つけられますかね?」
「大丈夫です。女神座の場所はわかりますから。雄治様はこちらでレイシアを看ててくれ。」
「はい。」
「…」
「無いっ!!デスペラードが無いっ!!」
「「ッ!」」
「やはりでしたか……守れません…でした…私は雄治様の様にはなれませんでした……」
ポタ
ポタ
ポロポロポロポロ
レイシアが悔しさからか涙が頬を流れる。
バンッ!
ボンッ!!
城から戦闘音が響き渡る。
城か…
城で魔人と……
アンドレアさん達か。
「雄治様っ!お願いです。この世界を救ってください。もう、雄治様しかおりません。恐らくあそこに赤い魔石の魔人が3人居ます!」
3人?
嘘だろ?
「私達もレイシアを完治させたら直ぐに向かいます。だから、雄治様、お願いします。デスペラードを取り戻して下さい。」
「えぇ。」
城か…
魔人3人……
大丈夫だ。
氣の放出状態は解除してあるから、今なら体感で8分くらいは維持出来る筈。
問題は無い。
もし、あるとすれば四将の強さにばらつきがある場合だ。ライルで倒した女の魔人シャレルが1番弱かったとか言う王道バトル漫画展開されるとしんどいな。
色々考えても意味が無いか。
どうせ、やるしかないんだからな。
ふぅー。
スパワーンッ!!
雄治の体から大量の氣が放出された。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ハァハァハァハァハァお前、何者だ?」
「質問の意味がわからないぞ。死にかけの親衛隊ジャッジよ。」
「クッ!このヤロー!!」
「フンッ!!デス・キャノン!!」
バンッ!!
「レクザ、カレラを回収しておけ。」
「はい。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
えっ!?
あれって……
「アンドレアさんっ!?」
「…あぁ…ゆ…雄治……ど…の……」
ボロボロな状態のアンドレアが首を垂らしながら今にも死にそうにぐったり座っていた。
「何があったんですか?いや、今直ぐに氣で回復を。」
首を横に振るアンドレア。
「た…のむ……アイツらを……たお…し…て…くれ……た…の……む」
「アンドレアさんっ!アンドレアさんっ!」
まだ、脈はある。
少し氣で回復を。
よし、これで取り敢えずは大丈夫かな。
後はキロロさん達に頼るか。
バンッ!!
ドゴォーンッ!!!!!!
城の反対方向から物凄い戦闘音が響いた。
向こうか。
急ぐぞ!
◇◇◇◇◇◇◇◇
「よし、レクザ帰るぞ。」
「はい。」
「親衛隊の戦力が想像以上だったな。あんな奥の手を持っていたとはな。」
「えぇですが、あの口振りから察するにはこれ以上はないと予想します。」
「だろうな。フンッ!忌々しい奴らめ。」
見つけた!!
ジャッジさんっ!
嘘…だろ……?
仰向けに指一つ動かさないジャッジが、視界に入る。反対方向にはうつ伏せのアイスも目に入る。
チッ!くそぉ。
コイツらマジで許さねぇ。
先手必勝。
報いは必ず受けさせてやる。
氣を放出した雄治の横一閃。
スパンッ!!
リーダー各の魔人以外2人が上下真っ二つになる。
リーダー各の魔人は左腕を切り落とされている。
「チッ!逃がしたか…」
内通者はコイツだったか。
自分でもびっくりするくらい冷静だ。
額に魔石か…
すっかり魔人じゃねーかよ。何が不満で魔人なんかになってんだよ。この世界で俺よりも遥かに恵まれて生まれて育って最終的に魔人って…
哀れだな…
「おいっ!!何でコイツがここに居るっ!!お前はっ!お前はアスファルトに行った筈だろっ!」
雄治の一撃から逃れた魔人が慌てながら口を開いた。
「なら、俺の口から教えてやるよ。それでその後はアンタについて教えて貰えるか?」
「ぐぐ…ハァハァ失敗したか…やるしかないか。ハァハァハァハァハァ」
「何を言ってんだアンタ。散々、街をボロボロにしといて自分達は用が終われば帰れるとでも思っているのか?だとしたら、相当めでたいな。」
「めでたいか……先祖の無念を晴らす事の何がめでたいと言うんだ?めでたいと言う言葉の意味を調べてから使え。」
先祖?
コイツの先祖?
そういう事か…
デモンの血がコイツに流れてるって事か。
「流石に驚いたぜ。まさかアンタが裏切り者だったなんてな。」
「裏切り者?何を言ってんだ。俺はお前が召喚される前から変わっていない。何1つ変わってない。変わっていったのは俺を見る周りの目だけだ。お前らが勝手に俺を仲間だと思っていただけだろ?」
「ご託はいらない。俺はさっきのアンタの先祖って言葉を聞いて全てが繋がったよ。俺の前に召喚された先代勇者は自分の意思で魔人を生み出した訳ではない。お前らに操られてる。違うか?」
「ほぅ。そこまでわかっているのか…あぁそうだ。奴の能力は素晴らしかった。だから我が先祖デモン・ガドリックが復活する際の媒体としては奴を利用してやったんだ。奴には今、デモン・ガドリックの魂の半分が入ってる。そしてもう半分はこれだ。」
神具デスペラードを雄治に見せるリーダー各の魔人。
「もう半分?」
「なんだ、それは知らなかったのか?そうだ、これはデモンの魂の半分しか封印されてない。もう、半分は我が一族でも、許可された者しか入れない禁忌の祭壇に水晶の形で祀られてあった。俺はそれを偽物と交換してブレスレットに装飾した。」
「それを勇者に着けたのか?」
「あぁ。召喚されたばかりの勇者は俺の事を信用、信頼していてな、これを着ければ魔法の威力が上がる。とか適当な事を言ったら直ぐに着けたよ。フハハハハハハ(笑)馬鹿な勇者だろ?」
「糞ヤロウだな。」
「何とでも言え。事実は事実だからな(笑)フハハハ。」
「まだまだ、俺はアンタに個人的な興味はあるが、それで氣の放出時間を潰す程、馬鹿じゃないんでね。アンタはもう少し俺と話をしたかったか?」
「フンッ!!減らず口を……だが、俺も会話を更に引き延ばせるともお前に勝てるとも思っていない。だが、命乞いをするつもりもない。目当ての物は手に入った。」
「ハァァァァ!!」
横一閃。
「交換!」
「チッ!逃がしたか……」
場には青色の魔石を額に埋め込んだ緑色の魔物が上下真っ二つにされ倒れていた。
雄治の視線には赤い魔石の魔人に向けられていた。
アイツらの処理をしないとだな。
「私は…私はここで死ぬ訳には行きませんっ!!」
「今さら、命乞いはするなよ?うざったいだけだから。」
「デッ!デス・レ…」
スパンッ!!!!
縦一閃。
バリンッ!
バリンッ!
レクザの額の赤い魔石が粉々に砕けた。
続き様に気を失った女の魔人の額の魔石を粉々にした。
「雄治っ!!」
ん?
リリアさん?
何で居るんだ?
「リリアさん?なぜここに?」
「あぁ、久し振りだな。私は王都から緊急招集を受けてな。それで、聖女マリベルさんと一緒に転移してきたんだ。」
「そうだったんですね。」
「雄治様!!」
「キロロさん。皆さんは?」
「えぇ、大丈夫です。今、私達以外にもマリベルさんとライルからアイナが来て回復魔法を掛けてくれてます。」
「そうですか。なら、良かったです。」
「えぇ、これも全て雄治様のお陰です。ありがとうございます。」
「ですがデスペラードも、奴も取り逃がしました…」
「そんな顔をしないでください。雄治様のお陰で親衛隊の方もレイシアも命があるのですから。」
「そうだぞ雄治っ!お前はこの国を救った英雄だぞっ!」
「…そうですかね?」
「えぇ、そうです。もっと胸を張ってください。」
「私はこれから再度、国王軍に合流して街の復興に尽力しなければいけないから、もうそろそろ行く。あまり、自分を責めるなよ。」
「えぇ。」
「にしても、酷い状況ですね。」
「えぇ、亡くなった方も、もしかしたら居るかもしれないですね。でも、見方を変えれば赤い魔石の魔人、3人を相手にこの被害なら御の字かもしれませんよ。」
「それは…そうかもしれませんね。」
「えぇ。」




