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魔人

 ガォォォォ!!

 ガォォ!!

 ガォォォォガォォォォ!!

 ガォォガォォガォォガォォォォォ!!!!!


 突如、南から赤い龍の大群が咆哮をあげながら近づいてきた。



 ブバァーン!

 ブバァーン!!

 ブバァーン!!!


 赤い龍の大群は炎のブレスを街に放ちながら会場に近づいてくる。


(おいっ!!龍が来たぞ!!)

(避難しろっ!)

(赤い龍が来たぞ!!)

(逃げろっ!)

(避難だ!避難しろ!)



「場内のお客様にご連絡致します。只今、赤龍の大群が攻撃をしながら近づいています。速やかに避難をお願いします。」


「バラック大帝!!これは…?」


「わからん。何事だ……?」


「バラック大帝、速やかに避難致しましょう。」


「あぁ、そうだな。よし、ネビル国王も避難しましょう。」


「いや、儂はここにおる。この場合、街の何処に居ても危険よ。なら、ここに居た方が安全じゃ。」


「なるほど。なら儂も残ろう。デスタックよ。そなたは龍の討伐を頼めるか?」


「御意。」


「アンドレアよ。そなたも、デスタック殿と協力して龍の討伐を頼むぞ。」


「はっ。迅速に。」


「レイシア殿はこちらで、お二方の護衛を頼めるか?」


「はい。大丈夫です。私にお任せください。」


「よし!!アンドレア殿、参ろうぞ!!」


「あぁ。参りましょう!!」





 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 赤い龍の群れ…?

「これも、お前の力か?」


「あ?なわけ無いだろ。さぁ続きをやろうぜ!」


「初めまして皆さん。私の名前はレクザ・アムールと申します。以後、お見知り置きを。」


 雄治とパルクの前に1人の男性が宙を浮きながら姿を現し口を開いた。



 宙に浮いてる…

 魔法か。

 魔石だ。たぶん、魔石だ。

 額に魔石がある…

 赤色の魔石がある。


「やはり、龍神属の猛者が集う今日まで待って正解でしたね?」



 何を言ってんだ?

 龍神属の猛者?


「しかし、人間の貴方も大変、素晴らしい能力をお持ちで。」


「おいっ!?邪魔すんな!邪魔するなら、テメーからブチ殺すぞっ!!!!!!」


「それは、ご勘弁を。私は貴方に力を授けますよ。この様に……」


「「ッ!」」



 えっ!?

 いつの間にっ!!



 レクザと名乗る男は一瞬でパルクの顔を手で掴みそのまま地面に押し倒した。

 バンッ!!

 地面に倒れ込むパルク。


「フフフフフフフ。試作品ですので数はこの1つしかありません。まぁ先ずは様子見とでも行きましょうかね。フフフフ。」


 試作品?

 何を言ってんだコイツ。

 ただ、魔石の聞いた話を鵜呑みにするならコイツは相当ヤバいって事だな。


「ウガガガガカ!!!ガガッガッッガウガガガ!」

 地面に倒れ込むパルクが苦しそうに呻き声をあげる。


「ウガッガガッウガガガウッガガガガ!」


 おいおい。

 何だよこれ……


「ハァァハァァハァァ。」



 パルクの額に黒い魔石?

 青でも赤でも無く……

 黒って……



「おいっ続きだ。殺し合いの続きをしようぜ!!」


「結界を張っておきましょう。2人だけで楽しんで下さい。では、私は遠くから見てるとしましょう。人種族の貴方には幸運を祈りましょう。」



 額に黒い魔石を宿したパルクが雄治に襲い掛かる。


 ガンッ!ガッガッ!!


 おそらく、理性が失くなってるな。

 元々、理性があるタイプじゃないけど……


「丁度良かった。お前とは白黒付けたかったんだ。」


「ウワァァァァ!うるせんだよっ!!」



 ガンッ!ガッガッガンッ!ガッガッガンッ!

 ガンッ!ガッガッガンッ!ガッガッガンッ!


 雄治の木刀とパルクのアックスがぶつかり合う。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「皆の者っ!!俺に続けっ!!」


「「「うぉぉ!!」」」


 デスタック達、国王軍が赤龍に戦いを挑む。



「フフフ。こっちも負けてられ無いな。ハァァァァァァ!!サンダー・ジャベリン!!」


 アンドレアも赤龍に戦いを挑む。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 ガンッ!ガッガッガンッ!ガッガッガンッ!

 ガンッ!ガッガッガンッ!ガッガッガンッ!



「オラァァ!!!!!」

 パルクの尾による凪ぎ払いが雄治に当たる。

 バンッ!!


「くっ……」


 チッ!

 ダルい…な。

 理性が完全に失くなって殺戮マシーンになってんじゃねーかよ。


 どう、止めるかだな…


 ガンッ!ガッガッガンッ!ガッガッガンッ!


「オラリァァァ!!」


「ハァァラリァァァ!!!!!」


 雄治の木刀による二撃


「ぐがっ…」


 よしっ!

 効いてるな。

 もう一発。


「ハァァラァァァ!!!」


「オラァァ!」


 ガンッ!ガッガッガンッ!


 もう一発だ。もう一発喰らわせてやるよ。

 絶対に負けねぇ……

 負けねぇ……



 雄治の体から出ている氣が少しずつ弱まっていく。


 ガンッ!ガッガッガンッ!ガッガッガンッ!

 ガッガッガンッガッガッガンッ!!

 ガッガッガンッガッガッガンッ!!


 それは、突然訪れた。

 氣が体から放出されなくなった。


「くたばれやぁぁぁぁぁ!!」

 ドンッ!


「ぐはっ」

 あ…れ?

 体が急に……

 重くなった様な……


 ヤバ…い

 ヤ……バ…い


「オラァァ!!」

 バンッ!!



「はぁっ!!」

 息が……

 あ…あ……意…識が……

 ここ……まで…か……



 まあ…


 俺なりに……

 よくやったよ。


 無能なりに…

 よくやったよ。




 今は…なんか知らないけど…

 自分が誇らしい……



 あ…あ……でも、もう少しだけ…

 本当にもう少しだけ…

 報われたかったな……





 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「ゆっ雄治殿っ!!」

「雄治様っ!!」

(はっ早く回復魔法を!!このままじゃ!)


 観覧席から雄治の戦いを祈る様に見ていたレイシアは慌てながら回復魔法を唱える。

上級回復魔法(ハイヒール)!!」


 パーンッ!!

 結界が邪魔をして回復魔法が届かない。


「嘘……」

(このままじゃ……雄治様が…雄治様が…)


「レイシアよ…回復魔法…は?」


「あの結界が邪魔を……」


「そんな…」



(神様!!お願いします。彼を助けて下さい。)




(彼はここまで、必死に世界を救おうと剣を振ってきました。だから、少しの慈悲を。)




(このままじゃ雄治様が……)





 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 ガイル王国に残された者達も穏やかでは無かった。



「フフフ。ジャッジ殿。先程から落ち着きがありませんね。」


「あぁ、なんか嫌な感じがするんだ。なんかこう……雄治に何かあったんじゃ……」


「ジャッジよ。お前がここでそれを心配しても意味が無いだろう。我々は彼を送り出したんだ。後は、信じらだけじゃないか?」


「アイスッ!!それはそうなんだが、もしだ、もしアイツに何かあったらどうするんだっ!!アイツは俺達の希望だぞ!お前はアイツとあまり関わりが無いからそんな冷静でいられるんだっ!!」


「ジャッジ!お前は少し頭を冷やせっ!!なら、聞くが勇者に要らぬ事が起きていたとしたら、我々に今、何が出来る?物理的に出来る事などないんだ。私もお前もだ。信じるしか無いだろ?」


「フフフ。お二方共、少し紅茶を飲んで落ち着きましょう。雄治殿なら大丈夫です。きっと、きっと大丈夫です。彼ならどんな逆境でも跳ね返せますよ。私は日々彼と過ごす中でそう感じています。」


「そうよ。それにレイシアだって居るんだから。あまり、聖女を舐めないでよね。回復魔法以外に強化から攻撃魔法だって使えるんだから!!」


「えぇ、アイナ殿の言うとおりです。それに、アンドレア殿もいらっしゃいます。だから、大丈夫です。雄治殿ならきっと、きっと大丈夫です。」


「あぁ、そうだな。すまねぇ、取り乱した。信じるしか無いな。アイツを送り出した側からしたらそれしか出来ないし、むしろそれ以上は冒涜だな。」





 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「雄治…雄治。」


「起きて……」


「雄治……雄治…雄治起きて。」


「まだよ。終わってない。」


 ん?夢?


「雄治、まだ終わってないよ。」


 なんで?

 えっ!?

 何これ?


「雄治、貴方なら大丈夫だから。」


「だから、もう一度だけ。もう一度だけ、立ち上がって。」


 何を言ってんの?

 夢?


「貴方は1人じゃないから。だから立ち上がって。」


「後、もう少しだけ。もう少しだけ。」


「頑張って…いや、踏ん張って!!」


「雄治なら出来るから!!」



 いや、俺って殺されたんじゃ……

 仮に生きてたとしても、もう戦う術が無いよ…


「だから、起きて。起きて。」


 だから、何を言ってんの?夢。

 眠いっちゃ眠いんだよな…


「寝ちゃ駄目。もう少しだけ踏ん張って。」


「お願いだから。もう少しだけ。」


「私を信じて起きて。それで大丈夫だから。」




 ん…うん。


 まぁ、起きてみるか…




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「ん?」


 あれ?

 俺……気を失って……

 てか、そもそも何で死んでないの?


 時間は?

 自分が思ってる以上に時間がたっていない?


 えっ!?

 どういう事?

 マジで?

 でも、お陰でコイツともう一回戦える。

 なんか、わからないけど取り敢えず感謝するか。


 誰にかはわからん(笑)

 こういう時って誰に感謝すればいいの?


 なんか俺、主人公ぽくね!?


 主人公なら最後は勝つだろ!!

 なら、コイツには勝てるだろ!?


 もう一度だけ。

 もう一度だけ、力を貸してくれっ!!

 俺よっ!俺の力よっ!!

 もう一回戦える力を貸してくれよっ!!!!!



「あ?お前、まだ生きてたのか?」


 そうだ。もっと。もっと。

 力を貸してくれー。


「当たり前だ。お前をぶっ倒すまで倒れる訳には行かねーんだよ!!」


 スパワーンッ!!


 雄治の体から大量の氣が放出された。


「テメー。お前はやっぱり、うぜーな。」


「お互い様だ、ボケッ!!」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「国王様っ!!」


「うむ…雄治殿……」


「雄治様が復活しまし…た?前より凄い量と濃さの氣を纏って……」


「よしっ!よしっ!よしっ!!レイシアよ。雄治殿が完全復活したのじゃ!!しかも金色(こんじき)の氣を纏って!!」


「えぇ……雄治様…」


「よしっ!よしっ!雄治殿、イケー。」





 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「ハァァラァァァ!」


 雄治の木刀による攻撃がパルクの左脇腹に入る。

「ぐふっ」


「どうした?随分と遅いじゃねーかよ?」


 ガンッ!ガッガッ!


「まだまだ!ハァァラァァァ!!!」


「オラッ!オラッ!オラッ!!!」


 魔石だ。

 取り敢えず魔石を壊してどうなるか?

 それで、コイツが止まるかどうか?

 先ずはそこ。

 額の黒い魔石を壊さないとだな。


 ガンッ!ガッガッ!


 今だっ!

 全身全霊の一撃だ!!

 りきんじゃ駄目だ。

 リラックス。リラックス。

 落ち着け。落ち着け俺。


 息を吸え、息を吸え

 ふぅー

 吐くと同時にっ!!!!!


「オラリァァァ!!」


 パリィーンッ!!


 雄治の一撃によりパルクの額にある黒い魔石が粉々になった。


「ハァハァハァハァハァ」


「…」


 駄目か?

 戻ったか?


「あ?……俺…」


 混乱してるのか?

 戻ったか?

 戻ってもコイツの性格じゃ来るか?



 黒い魔石が壊れたと同時に結界が壊れた。



「おいお前、正気に戻ったか?」


「あぁ、今は……戻った。」


「そうか、なら続きをやるか?」


「いや、世話になったな。お前の勝ちだ。俺は二度も負けた。覚えてる……何だか、今は清々しい気持ちだ。すまねぇ。」


 えっ!?

 頭下げたぞ!!コイツがっ!!


 性格が矯正されたのか?

 まぁいいや。その方が助かる。


「いや、顔を上げろよ。無事なら何よりだ。」


「あぁ。じゃあな。」



 ふぅー。

 取り敢えずこっちは片付いたな。

 後は赤龍の方だな…



「雄治様ー!!」

「雄治殿っ!」


「国王様、レイシアさん。」


「ハァハァ年老いたジジイが年甲斐もなく、走るもんじゃ無いわ(笑)……雄治殿っご無事で何よりじゃ。」


「国王様のお気持ちわかります。興奮してつい足が出てしまったのでしょう。」


「そうじゃ。そうじゃ(笑)こんなにめでたい事はないからのう。」


「あの~。それで、赤い龍は大丈夫でしょうか?」


「それなら、雄治様が心配する必要は無いですよ。先程、半数近くの龍が森に帰って行きました。」


「うむ。おそらくじゃが、凶悪な洗脳魔法が解けたんじゃろ。惨い事をする連中じゃからな。アンドレアももうじき帰還する頃じゃろ。」


「そうですか……」


 でも、一応一件落着かな?

 このまま、龍との戦闘は体力的にまずい。



 パチパチ

「いやいや、素晴らしいですね。」


「お前は……」


 パルクの事で頭がいっぱいでこの魔人の事を忘れていた。


「すいませんが、私はこれで失礼しますよ。今はダーディム様も貴方達に付けられた傷を癒している最中。今日の所は結界的に痛み分けですかね。」


「お前、何言ってんだ!?こっちが逃がすと思ってんのか!!」


「雄治様っ!!」


「ウラリャァァァァ!!!」


「デスガード!」

 カンッ!


「フンッ!死にたいのならば力をお貸ししますよ?デスレーザー!!」

 ビューン


「チッ!この野郎っ!!」



「やはり貴方は危険ですね。なら10本の指から放ってあげましょう。デスレーザー!!」



 ビューン!ビューン!ビューン!ビューン!ビューン!

 ビューン!ビューン!ビューン!ビューン!ビューン!



「ホーリークロス!!」


「ドラゴンブレス!」


 帰還したアンドレア、デスタックの攻撃が横から魔人レグザを襲う。

 バンッ!!

 ドンッ!



「ふぅー。流石に数が厳しいですね。私は帰ります。」


「逃がすか!ホーリークロス!!」


交換(チェンジ)!!」


 バンッ!!


「やったか!?」


 その場には青色の魔石を額に埋め込まれた緑色の人形の魔人が倒れていた。


「チッ!」

「これは?」

「逃がしました?」


 どういう事だ?

 なんか、この緑の魔人ってゴブリンって感じだな。


「これはゴブリンだな。」

「あぁ。」


 やっぱりゴブリンなんだ。

 如何にもゴブリンって感じだったし。


「アンドレアよ。どういう事じゃ?」


「おそらく、手下のゴブリンと自分の居場所を交換したのでじょう。それで自分は逃げて代わりに手下のゴブリンが私の攻撃でこの状態になったかと。」


「なるほどよの~。」


「皆様、取り敢えず無事に事なきを終えた訳ですから喜びませんか?」


「うむ。そうじゃの。」


「そうだな。ネビル国王、今日は宴と行きませんか?」


「ほ~う。良いのかのう。」


「えぇ勿論です。皆様もぜひ。」







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