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私事について  作者:
41/49

②仕事に慣れるまで

仕事の部分は事実を基にした創作です。

・アルバイトについて②仕事に慣れるまで


【服など】

・ズボン

 アルバイトするにあたって、作業着が必要になったので買いに行った。

 上のシャツは今まで仕事のときに着ていたものが残っていたのだけれど、下のズボンは結構ボロボロになっていた。と言っても作業をしていて破れたとかではなくて(尻が裂けたことはあった)、以前働いていた会社では腰痛予防のベルトの着用が義務付けられていて、そのマジックテープでズボンのベルト辺りが毛羽立ってしまっていて、目立つだろうかとは思っていた。着れないことはないのだけれど、やはり自分でもそれを見てテンションが下がるくらいには気になってしまっていたので、新しく作業用スラックスを買いに行くことにした。

 作業用スラックスは1000円くらいのを2つ買うことにした。カーゴパンツ型の横にもポケットが付いたものを1つと、それがない普通のスラックスのものを1つ。私は機能的には前者の方が好きなのだけれど、なんというか……職場の人たちの服装を見て合わせようと思った。

 あとで気づいたけれど、最初は一つだけ買って様子を見て、あとで買い足すのでも何も問題はなかった。結局ほとんど前者しか使ってない。横にポケットがあると便利で、そこに軍手とかを入れている。

 カーゴパンツは片側のポケットにはファスナーがついているタイプのものがあるけれど、以前はそれを持っていた。便利なのは間違いないのだけれど、私は結構迂闊な人間なので、その金具を製品や車にぶつけたりしないか心配になっていた。そういうわけで今回はファスナーのないものを選んだ。


・靴下

 持っている靴下のほとんどが傷んできているので、何足か新しいものを買っておくことにした。

 

・マスク

 気が付いたらマスクは底をついていた。無職ならそれでもよかったけれど、働くのなら着用していた方が間違いはないだろう。まず第一に病気の予防のために、次に表情を読まれにくくするために、50枚入りのセットを買っておいた。


・メモ帳

 途中までしか使ってないものがあるだろうと思っていたのだけれど、ちょうどよいものが見つからなかったので、1冊買っておいた。


【出勤】

 私はなんとか頑張って出勤する方法を考えた。

 好きなミュージシャンのライブDVDを出発前に30分ずつくらい観てから行くことにした。30分はなんとなくで、5日間くらい頑張れるようにみたいな感じで決めた。だいたい30分くらい観たところでプレイヤーを停止し、メモ帳と弁当を持って出かけることにする。DVDを観たのは無理やり気分を高めて、頑張ろうという気持ちにするためだ。意識を無理やりに切り替える。音楽には力がある。ということだ。

 ただ、時間が経つにつれて、本来の自分のデフォルトのテンションに戻っていってしまうのは避けられない。デフォルトに加えて初出勤の不安と緊張がすごい状態だと……なんというか、それだと働くのに適していないのでまだこれで終わりではない。車に乗って会社に着くまでの間、元気の出る音楽を聴き続ける。そして出勤したら、あとはそのときの自分に何とかしてもらうという寸法だ。


【こんなに音楽に助けてもらっているのに、どうして音楽を聴けなくなることを未練には思わなかったのだろうか、と書いていて不思議に思い、その理由について考えていました。映画や漫画は完結するまでに長い歳月を要しますが(もちろん作品によります)音楽、というか曲は世に出て、私が最後まで聴いた時点で完成、完結しているから、未練に思わないのだと思います。どちらがいいとか悪いとかではないです。映画も続き物でなければ、始まって観終わった時点で満足します。「再生」という言葉を何気なく聞いてきましたが、改めて見てみると、すごい字面というか言葉ですね。


 話は変わりますが昔リサイクルショップで1.6mくらいのサイズのスピーカーを見かけたことがありました。実際にそれで音楽が再生されていたのですが、スピーカーの中に歌手の方が入っているのではないかというくらい、息遣いも聞こえるような、綺麗な音でした。こういうスピーカーを所有して毎日音楽を聴けたら、それは生きがいになるだろうなと思いました。価格は70万円で、高いですが毎日この音楽が聴けるのならば、と思ったのですがそもそも置く場所というか、音楽を流せる場所がないということで、分かってはいましたが無理でした。スピーカーの性能だけの問題ではなくて、音源とかいろいろなものが高品質のものだったのかもしれません。


 私は映画や漫画などこれから先の人生にポツンと存在するイベントを生きる理由としていましたが、十分に幸せな環境にいる人々は、特別なイベントがなくても、その日常が続いていく、続けていくこと自体が生きる理由になるのかもしれません。自分がそういうふうに思えないのは、環境がそれほどでもないか、もしかしたら強欲なのかもしれません】


1、初日

 初めに契約内容の確認があった。それによると週に5日勤務、2日休み、1日8時間労働となっていた。ハローワークの求人票だと、週30~40時間となっていて、結構開きのある書き方だった。アルバイトで週5は多い気がしたので、まあ週4くらいなんじゃないかと勝手に思っていて、(週5で1日8時間?)と少し驚いた。これは最大でそういう場合もあるということなのだろうと都合よく解釈しようとしたのだけれど、シフト表を受け取り、そうでないことがすぐにわかった。しっかり週40時間勤務でシフトが組まれていた。


 (……アルバイトって週5で8時間働くものだったかな?) 

 相手を悪く言うつもりは一切なくて、実際何も悪くはないです。私は面接のときに今は何もしていなくて暇だと伝えていましたし、求人票でも最大40時間程度と書いてありました。ただ単に私が勝手に、アルバイトってそんなにいっぱい働かないだろ、と決めつけていただけなのです。

 それに企業の側も、労働時間の長さ=給料の多さ、であるから気を遣って多めに入れてくれたのかもしれません。逆に少なすぎても生活はできないし、それはそれで困るわけであって。ただ、(これは普通に働くのと変わらないのではないか?)と思ってしまいました。少なくとも、労働時間は普通に正社員で働くのと変わらないようでした。

 しかし、私は時間があってもやることは特にないわけで、映画を観られてと漫画が読めればいいわけであって、それなら週2日休めれば十分で……お金に余裕があるのは悪いことではないしというか、いいことですし。


 さらにシフトを見て、年末年始の休みが2日しかないことに気づいた。少し驚いたけれど、倉庫の仕事だと、年末年始は繁忙期になるのだと思う。だから、これは仕方がない。そもそも期間の定められたバイトだから、繁忙期だけ雇い、しっかり働いてもらい、しっかり給料を払う、そういうことなのだと思う。お互いにとってもそれはいいことのはずだ。

 ただ、こんなに長い時間働くことが今の自分にできるのか不安に思った。



 初日は大変だった。どこへ行ってもそうだと思う。

 全員がほぼ初対面の人たちだし、初めて行う仕事だし、ただアルバイト相手だから、なんというか……そこまで期待されていないというのもあるのだろう、きもち柔らかい対応だった。辛いことももちろんあるけれど、言われたことを大人しくやろうと思った。若干遅くても、下手にミスをして製品を駄目にするくらいなら、という考えで慎重に作業をすることにした。アワアワしてやらかすのに比べれば、遅いと注意されても、慌てず、すいませんと謝り、ミスをしない方がいいと思っている。

 説明を受けてメモを取っても、いまいち分からない作業があった。やっていけば慣れるだろうけれど、実践する数が少なすぎて、よく分からないままで終わってしまっていた。

 それに加えてやること自体は単純だけれど、外で風雪と雨にさらされながらしなければならない作業はかなり体にダメージが入った。


 なんだかんだで慣れるのに1か月くらいかかり、2か月過ぎたころには大体自分のやる範囲のことは判って、今は仕事が辛いとかは思ってない。……というのはもちろん嘘で、辛いと思うことはなくならないけれど、(多分一生なくならないだろう)仕事自体が(人間関係とかは除く)上手くできなくて辛いということはなくなった。(そもそもそんなに難しい作業を任されていないということもあります)これは今だからこんなことが言えるけれど、1日目は(やっぱり働くって大変だなあ。楽な仕事ってないわな)と考えていたし、もう辞めたいという気持ちもあった。けれどまあ3月までだから、と前向きに考えることにした。(前向きか?)けれど初日に想像する数か月先というのは遥か先に思えますよね。


 仕事帰り、さきの不安は一旦置いておいて、スーパーに寄り豪遊することにした。

 無職の時はお惣菜を買うことに抵抗があったけれど、働いているのならもうそういう罪悪感はない。金銭的にも値引きされた食品を買うことはそこまで問題はない。むしろ栄養をとらずに体調を崩した方が、会社に迷惑がかかって問題だ。無職の間に酒はあまり飲まなくなった。それでなくても、酒を飲んだ次の日は体調を崩したり、腹を下したりすることがあるから、寒い中での仕事ということもあって、祝杯を挙げるのはやめておいた。


【昔、疲れているのにあと一押しが足りなくて眠れないという時、ウイスキーをコップの底が隠れるくらいの少量飲んでいました。そうすると眠れる場合もありました】


 メモ帳を見返す。

 もう既に思い出せない部分や、この場合はどうなるんだろうとか、これはこうだけどあれはどうするんだっけ、といった部分が出てきて不安になる。1度教えたのに、と呆れられるかもしれないけれど、まあ判らないならもう一回聞くしかないですよね。怒られるのが怖いから聞かないとか、そちらの方がよほどマズい。怒る方もよくないけれど、いい加減にやってしまう方が不誠実だと思う。と、言い聞かせる。考えすぎないようにする。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


【メモについて】

 私はメモをよく取るけれど、見返してみるとよく分からないみたいなことが多い。下手をすると何が書いてあるのか判別できないときもある。読みにくい、というのはともかく、メモ帳というのは携帯には適しているけれど、その分、記入できる範囲が狭くて、一目で見て全体の流れを把握しづらかったり、みっちり書くと余白がなくて見づらかったりする。できればメモ帳ではなくてノートを使いたいけれど、流石にちょっとポケットに入れるというわけにもいかない。


 派遣で機械の組み立ての現場に入っていたとき、私はメモ帳だけだと辛いと感じて、現場でメモしたこと家に帰って文書作成ソフトに順序だててまとめ直すことにした。それを印刷して、4つ折りにしてポケットに入れておく。作業をするときはメモ帳ではなく、その紙を見ながら行った。(特に駄目とかは言われなかった)違っていた点や追記すべきところは、付け加えていった。これは結構いい方法だと個人的には思います。

 自分のメモよりも文書作成ソフトの文字の方が見やすいし、かすれて読めなくなるといったこともないし。順番の入れ替えなんかも簡単だ。


 「いや、うちの工場にはちゃんと手順書があるから、そんなことしなくてもいいけど」と思われるかもしれない。大きい工場ではそういうふうになっているでしょうね。というかまあ、私は勝手に手順書を作るようなことをしていたけれど、それは間違っている可能性もあるわけで、正解が決まっているなら誰でも閲覧可能な状態にしておいてもらえれば、私も苦労しなかった。


 

 私はメモだよりの人間なので、メモが取れないともともと高くない能力が、著しく下がる。

 派遣で製薬会社の仕事に行ったことがある。製薬の仕事では、防護服を着て作業しなければならないのだけれど(異物を混入しないためとか作業者が薬の影響を受けないようにするため、だったと思う)防護服はなんというかロボットアニメとか怪獣映画で生物的な敵の残骸を調べている人達が着ている宇宙服みたいな感じのものだ。それで何が問題かというと、メモが取れない。メモ帳を持ち込むこと自体許されていない。

 そうすると作業が終わった後に急いでメモを取ることになるのだけれど、残念ながら私の記憶力で正確に覚えているわけもなく(言い訳ですが)ローテーションで毎日作業が変わるということもあって、いつになったら仕事できるようになるのか全然想像がつかなかった。とにかく全然駄目で、申し訳ないけれど辞めさせてもらうことにした。自分が役に立たないというのはとても辛いし、できない自分も悪いのかもしれないですが、結構嫌なことを言ってくる人がいて、まあなんか……そういう感じでした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


 文書作成ソフトに、メモを見ながらその日やったことをまとめて、その日は終わり。翌日の朝、コンビニに行き印刷してくる。


2、2日目

 ライブのDVDを30分見て、弁当とメモ帳と印刷した紙を持ち車に乗り込む。元気の出る音楽と歌詞を聴き、気持ちの方向を前向きにし、自分を会社まで送り届ける。

 メモを修正しながら、言われたことを慎重にやっていく。雨が酷くて外作業でずぶ濡れになる。

 帰り、スーパーに寄り、またお惣菜を買う。文書作成ソフトにさらに追記をする。追記する際は、何月何日追記、と書いておくとなんとなく分かり易い。

 明日は休みになっていたので、着替えて映画を観に行くことにした。時々、仕事の不安が浮かんできたけれど、楽しむことができた。


2.5、休み

 いろいろ済ませておくことにする。

 足の親指の爪が黒く変色していたのが気になって、皮膚科に行ってみると、内出血だと診断された。特に問題はない、とのことだった。またコンビニでメモの最新版を印刷しておく。


3、3日目

 朝、少し起きるのが遅れた。今からライブDVDを観るのは遅刻する恐れがあると判断し、今日は観ないことに決める。冬場の朝は少しの油断が命取りになる。(遅刻する)

 休み明けで、これから4連勤なので気持ちのコントロールが上手くできない。憂鬱や不安を押さえつけることができない。ただ、普通に仕事をしていれば、誰も私の気持ちが判るはずもないので、特に問題はなかった。

 大体仕事の流れが分かってくる。基本的に毎日同じことをするようだった。追記することも少なくなってくる。文書作成ソフトには追記するけれど、印刷はせず、今あるものに書き込むことにする。


4、4日目

 寒さと疲れでギリギリまで寝てしまった。当然DVDを見る時間的余裕はなかった。

 車内ではもちろん音楽を聴き、頑張ろうと思う。俺の仕事は会社まで自分を送り届けることだ、とあまり先のことは考えないようにする。とにかく行くことが大事だ。あとは出社した自分がどうにかするだろうと、無責任に考える。

 やはり1日の流れは決まっているようだ。毎日同じ作業であれば慣れるのは比較的早いのではないかと思う。文書作成ソフトのメモに追記するけれど、新たに印刷はしない。(メモ帳には書いています)


5、5日目

 だらしないことにDVDを観るよりも可能な限り眠りたいという欲求が勝るようになってしまう。作業には慣れてきたが、(これは対策しない私が悪いけれど)寒さが辛い。

 なんだか疲れていることに気が付く。肉体的にはもちろんだけれど、それ以上に精神が消耗している気がした。生きる理由の映画も漫画も次作(次巻)は、当分先だった。


 であれば、と楽しみを新たに作ることにした。昼休みに1話ずつドラマやアニメ、もしくは映画を少し、観ることに決めた。私は昼食の休憩の時は、車にこもっているので、そういうことも可能だ。難点は、車内はとても寒いということだ。ずっとアイドリングしておくのもあれだし。(そこを気にする余裕があるのか)スマートフォンの動画サブスクリプションのアプリでオフラインでも観られるようにダウンロードしておく。(もちろん違法のものではないです)


6、6日目

 音楽で気持ちを上げて出勤する。今日を乗り切れば明日は休みだし、それに今日の休憩時間には楽しみがある。それを支えにして乗り切る。

 そして休憩時間、昼食をとった後、ダウンロードした動画を再生する。それは2025年に話題になっていたアニメ作品で私も観てみたいと思っていた。詳細は伏せるが、圧巻だった。人を楽しませるために作られたものの力はすごい。と……思ったのだけれど、途中で観ることができなくなった。作品に非は全くない。ただ、私にはその作品が眩しすぎて直視できなくなってしまったのだ。たとえるなら、真夏の太陽を見続けることはできないように。

 私は考えなおした。今の私に必要なのは、真夏の太陽ではなく、春の温かい日差しのようなそんな作品ではないか、と。


―――――

 不思議なもので観たいみたいと思っていたのに、無職の期間には観ることをしませんでした。時間がありすぎると、かえって時間を大切にしないというのがあるのかもしれません。

――――――


 仕事では、作業自体になれてきたからか、人間関係について悩むようになる。(この問題は、これを書いている今はもう終わってしまった話なので、大したことではないです。)ただ、もちろん当時の自分はとてもしんどかったのですが。長くなってきたのでこれは次回に書こうと思います。

 文書作成ソフトのメモの追記の日付はこの日で最後になっている。全体的な作業はわかったようだった。


(完)


読んでくださりありがとうございました。

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