・アルバイトについて
※ 事実を基にした創作ということでお願いします。
なにかを推奨するとか、そういう意図は一切ありません。
・アルバイトについて
2025.10月末
ハローワークに最後の失業認定に行った。
これ以降、就職が決まったとしてもハローワークに報告する必要はない、といったことを言われたように思う。しばらくして最後の失業保険が振り込まれた。
結局これ以降も生きていこうとするなら、働くしかないという状況になった。(もちろん少しは蓄えはあるので、すぐに、ということではないのですが)長い目で見れば働くしかなくなった。
ただ、それは生きていこうとするならの話であって、ちょっと色々考えていた。
自分は何歳まで生きるのか、それが分かれば、そのあたりでちょうど使い切れるだけ、金を稼げば、その時点で、もう働かなくてもよい(働いてもよい)ということになる。ただそれがいつなのかは、わかるはずもない。自分で何歳になったら死ぬ(不謹慎な話ですが)、と決めればそれでいけるかもしれない。けれどその時が来る前に、事故で死んでしまう可能性だってあるわけで。そうすると、働き損ということになるだろうか。
けれど、結局私は自殺する勇気がないという結論が出てしまったので(少なくとも今は)これについて考えても仕方がない。
働かずに資産運用だけで暮らすという生き方を選ぶ方も増えているそうだけれど、当然私にはそんな資産があるわけもない。それに、無職を今まで何度もやってきて気づいたことがある。それは自分には時間が無限にあったとしても、そこまでやりたいことはないのではないかということだ。
自殺はしない、というのはいいとして、それは自分から積極的に死なない理由であって、生きるための理由があるのだろうか、ということを考えていた。
結婚はしない(できない)。家族の面倒を見ることも期待されていない(と思っている)。他人のために生きる理由がないので、自分のために生きるしかない。
これだって贅沢な話ですよね。家族のために大変な思いをしている人たちもいるなかで、私はとても気楽だと思う。ただ、気楽で何も責任がないということが、幸せであるとは必ずしも言えないかもしれません。
自分のために頑張る、というのはなんというか、踏ん張りがきかないというか。自分だけのためなら、なんでもすぐにやめてしまえるというか、逃げてしまえるというか。それがいいとか悪いとかではなくて、自分以外のところに生きる理由があれば、それは自分一人で生きるよりも折れにくい人間になるのかもしれません。
と、こういうことを考えても仕方がないわけで、死ぬのが怖いということ、それだけで十分としようと思った。思ったのだけれど、もしかしたら自殺するのは怖いけれど、もしかしたら、私が生きていくよりも、遺書を残して死んだ方が、社会的にはより意味があることになるのではないかとも考えた。
確かに意味がないことはないのかもしれないけれど、大したことにはならないだろう。やはり私にはそういったことのために死ぬのは嫌だった。
*
カウンセラーの方もおっしゃっていた。
休日に好きなことをするのを楽しみにして、生きている人も多いと。結局映画はずっと観に行っている。でも、観ているだけだし、いずれ映画にも飽きるというか慣れてしまう日が来るのではないかという気がしているのですが、なんだかんだまだ楽しめている。もちろんすべての映画が好きというわけではなくて、好きな映画もあるという話です。
『未練があるなら、それが生きる理由である』
といった格言をどこかで聞いたとき、続き物の映画を最後まで観たい。というのと好きな漫画の完結まで読みたい、と思ったというのがあって、そのために生きるのでいいと思いました。その映画と漫画が完結するころにはまた、他の未練が生じているかもしれませんし。とにかく生きる理由があったということで、頑張ろうと思いました。(これは少し自分に言い聞かせているところもあります)
この格言が誰の言葉なのかを調べていて時間がかかってしまったのですが、結局思い出せませんでした。
*
①ハローワークへ行き、求人を探す。(もっといい転職サービスがあるのかもしれません)
生きる目的は映画と漫画の完結を見届けることなので、最低限生活ができれば、それほど賃金は高くなくてもいい。正社員のものも調べてみたけれど、やはり今の自分の精神状態でやっていける自信が持てなかったので、アルバイトを探すことにした。
アルバイトなら、それほど熱いやる気を求められないだろうし、辞めたいと思えばすぐに(正社員よりは早く)辞められるのではないかと思ったからだ。
もう肩書にこだわる理由もないし、そういったことを気にするのはいい加減にやめようと思った。
私は人とコミュニケーションを取るのが苦手だし、そもそも人間が苦手なところがあるから、あまり人と関わらずに済む仕事を探すことにした。そういう条件で見つかったのは倉庫作業のアルバイトだった。
求人票を印刷して、これに応募するんだよな、と考えると気が重くなった。上手くいく保証もないし、自分に務まらないかもしれないし。やはり……でもできないよなあ、と考えたりもして、結局その日は相談せず帰った。
②1晩悩んだけれど、なにもいい案は思い浮かばなかった。アルバイトだからそこまで責任も重くないはずだし、すぐ辞めることもできなくはないはずだと、だからそんなに深く悩む必要もないと言い聞かせ、またハローワークに向かう。
駐車場が混んでいた。しばらく待っていれば駐車できるかもしれないけれど、どうも考えがまとまらず嫌になった。帰ろうかとも思ったけれど、なにをしに来たんだという感じだし、近所のわかものハローワークという所に行くことにした。私はもう若者ではないけれど、そこを利用することは許されている。
そしてアルバイトの求人票を持って、相談をする。
これはアルバイトですけどいいですか? と聞かれた。はい、と答えたものの、説明を受けているうちにだんだん不安になり、やっぱりちょっともう一回検討してきますと言って、帰った。
③一晩悩んだけれど、なにもいい案は思い浮かばなかった。以下同じ。
その日は担当の方が昨日とは別の人だった。何度か相談をしたことがある方だったのだろう。その方は優しい人だったので、あなたはいっぱい資格を持っているのに、もったいない、と言ってくださった。正直とても嬉しかったけれど、あなたが代わりに面接を受けてくれるわけではないからな、とも思った。
応募先企業の担当者の方に電話がつながらなかったようだった。
もしかしたら、募集を締め切っている可能性もあるから、確認が取れるまで応募はできないと言われた。個人情報を無駄に広めないためということらしい。
そうは言っても、今現在、この求人票を出せたわけだから、と思ったけれど、それ以上は相手からの連絡待ちということで進められなかった。これは正しい行動だ。たぶん大丈夫だろうでやってしまって、あとから大事になるくらいなら、きちんとルールに則った方がいい。(当たり前のことを言っていますが、私は結構こういうので失敗したりとか……)
帰り道、履歴書を買ったり、証明写真を撮ったりしようかとも思ったけれど、なんだか疲れてしまったのでそのまま帰った。そして、アパートに戻ると不在着信が入っていた。電話をかけなおして確認すると、応募しようとしていた求人はちょうど締め切ったところだったそうだ。
……なら仕方ないですね。こういうこともあるんだな、と思った。
④また別の倉庫のアルバイトに応募してみることにした。これには応募ができた。
証明写真を撮り、履歴書を書いて、アルバイト先、ではなくてその企業の本社に送るように言われた。寄らば大樹の陰、ということで大きめの会社 (のアルバイト)に応募したのだ。
*
【証明写真】
証明写真を撮るときだけ、スーツを着るのはいつも面倒だなと思う。
あの機械で撮ると、どうして写真は外に排出されるのだろうか。証明写真の料金は高いなと、昔からずっと思っている。撮る必要があるときは金に困っている場合が多いから余計にそう思うのかもしれない。昔ほんとうにギリギリだったことがあって金を稼ぐために証明写真を撮らなければならないのに、撮る金がないみたいな状態だった時がある。……これは言い過ぎで、給料日までの生活費がギリギリになっただけです。すいません。その時は給料の支払いを週払いにしてもらえたので助かりました。
写真は思ったよりもいい感じだった。
もちろん顔面の美醜のことを言っているのではなくて、表情から切迫感や余裕のなさ、怒り(誰に対する?)のようなものが滲み出ているように感じられたのだ。まさに写真だ。
ただ、そのにじみ出たものをを採用担当者の方がどう評価するかは分からないけれど。
【履歴書】
履歴書を買わないといけないと思っていたけれど、普通に余っていた。
私は履歴書を書くことが多い人間なので、書く際に迷わないように、履歴書の経歴欄は写真に残していたり、文書作成ソフトに入力しておいたりする。転職回数が多いのでぼちぼち経歴欄に収まりきらなくなりそうだった。
志望動機を書くのは苦手だ。
書くことが思いつかないので、すぐに終わってしまう。別にそれが悪いということもないだろうけれど。(そうか?)資格を活かせる仕事に応募するなら、それは少し増えるのだけれど、今回はそうではない。嘘を書いても仕方ないので、1文で済ませた。というか書くことがなかった。それで落とされたのなら、仕方がない。(本当にそうか?)
履歴書を書くときは、いつも好きなJロックの曲を思い出す。
【添え状】
これってやはり添え状も書かないといけないのだろうか。でもアルバイトだし……と悩んだけれど、あって困ることはないのだから、と一応つけて送付した。
*
・面接
応募書類を送付したあとはまた、暇になっていた。
本当は落ちた場合のことを考えて、他にも応募した方がいいのだろうけれど、私はそういうのが何だか苦手でやりたくない。
そういうわけで、体力作りもかねて古本屋で長時間立ち読みをしていた。この時間までに連絡がなければ今日はもう連絡がないだろうと高を括って立ち読みに来ていたのだけれど、店から出て携帯電話を確認した時、不在着信が入っていることに気づいた。私は基本的に電話がかかってこない人間なので、どうもマナーモードではないのだけれど着信音が鳴らない設定になっていたことに気づいていなかった。
電話番号に自体には心当たりはなかった。十中八九、アルバイト先からの連絡だろうけれど、もしかしたら迷惑電話かもしれない。私はハローワークの書類に記載してあった電話番号を登録するのを忘れていた。携帯電話でバイト先の電話番号を検索してみたが、それとは一致しなかった。体力づくりのため歩いてきてしまったので、アパートに戻るのは1時間後になるだろう。私は悩んだけれど、その場で折り返し電話をすることにした。幸いアルバイト先からの連絡で合っていた。面接の時間についての連絡だった。その日は風が強く、外では聞き取りづらかった。普通にアパートに戻ってからかけ直せばよかったと反省した。迷惑電話の可能性もあったわけだし。
それから面接のときに、また履歴書を持ってくるように言われた。私はまた書かないといけないのか、正直面倒くさいと思った。そちらで使いまわしてくれればいいのに。
こういうときも履歴書に添え状とかは、必要なのだろうか、とかクリアファイルに入れて渡すのか、渡す向きはどうなのか、みたいなことをネットで調べていて……なんだか疲れた。いろんな意見があって正解がよく分からない。悩んだけど、履歴書だけをクリアファイルに入れ、それを封筒に封をせずに持っていくことにした。見せてくれと言われたら、履歴書だけを渡すことにする。
【服装】
服装はスーツで行くことにした。
アルバイトの面接でスーツか、と思ったけれどスーツなら文句のつけようもないわけで、ハローワークの方にも聞いておいたのだけれど、その方が間違いがないと言われた。そうですよね。
まず、髭を剃ります。出血しないように注意する。
スーツは高校を出るときに作ったものを着ていく。(礼服は別に持っています)
吊るし売りのものだったからか、サイズはあまりあってないけれど、スーツには違いないのでこれでいい。ネクタイもなんか違うような気がする(色が自分には明るすぎる)と思いながら、ずっと使っているものを締める。そしてスーツ用の靴下が見つからないことに気づいた。自分の中のスーツ用の靴下というのはシュッとしているやつだ。……ないならまあしょうがない。そこまで見られるとも思えないし……見られるかもしれないけれど、いまから慌てて買いに行く気にもならなかった。
どこかのホテルのアメニティグッズの櫛で前髪を横に流して額を出して社会人への擬態は完了だ。と言いたいところだけれど……鏡を見ると、我ながらこの人大丈夫かな、と心配になってしまった。でももう、行くしかないので行く。
腕時計をつけて(基本的に袖から出さない)、数年前にリサイクルショップでかった通勤鞄に履歴書入れて出発だ。
いろいろなことが気持ち悪くなってくる。
車に乗っていき、早めにその会社の駐車場に止めて、ほどほどの時間になるまで車の中で待機する。リサイクルショップで買った通勤鞄には、前の人が売却する際に残したままにしていったのだろう(残していく理由もないので忘れていったのだろう)、ボールペンが一本とあとハンコが残っていた。ボールペンはありがたいけれど、人の苗字のハンコは使い道がないよなあと思いつつ、捨てるのも忍びないのでずっと鞄に入れたままになっている。それがあることで自分は一人ではない、と思い込むこともできなくはない。
そして面接に向かう。どこの部屋に行けばいいのか判らなかったので人に聞いて、どうにかなった。部屋に入って座って待っているように言われた。机を挟んで椅子が二つ、これはどっちに座ればいいのだろうか、と何故か悩んでしまった。普通に考えたら壁側(上座?)に面接官の方が座るのだろうけれど、先に部屋に入った私が奥から詰めた方がスムーズな流れなのではないか、とそんなことを思ってしまったのだ。けれど、たぶんそれは違うかと思い直し、入り口側に座って待った。
挨拶をして、短い志望動機(書いてあることをそのまま)を言って、あとは基本的に質問に答えるだけだった。今までの仕事の退職理由を聞かれたけれど、これは数が多くて……辛いと言えば辛いけれど、決めてあることを言うだけだ。会社の面接チェックリストのようなものがあるらしく、いろいろチェックされていた。おそらく身だしなみの項目もあるのだろう。スーツを着ているならそこは大丈夫だろうと思った。マスクは相手がしていなかったので、私も外した。そう言えばひげは剃ったけれど、鼻毛を見ていなかったことに気が付く。もうどうしようもない。
圧迫面接のようなことをされたら、私はやんわり辞退しようと考えていたけれど、淡々と質問に答えるだけで平和だった。(いいことです)それも終わり、後日本社の方から連絡が来るとのことだった。少しまどろっこしく感じた。手応えのようなものはなかったけれど、とにかく問題が起きずに終わることができてよかった。
今日は全然よかった方で、ひどい時はだったら最初から呼ぶなよ、というような時も過去にはそれなりにあった。
――数日後――
本社の方から採用の電話がかかってきた。
今度は電話番号を登録していたのですぐに出ることができた。それはよかったのだけれど、私はまた古本屋で立ち読みをしていた。もうこの時間なら今日はかかってこないだろうと高を括っていたのだけれど、甘かったようだ。(2回目)
店の中で出てしまったので、電話口からは古本屋の店内放送が、おそらく聞こえていたのではないかと思う。体力づくりのために徒歩で来ていたので(普通に運動すれば?)、車の中で電話に出るということもできなかった。せめて店内ではなく、トイレとか廊下など、比較的静かな場所で出るべきだった。無理して電話に出ずに、状態を整えてからかけ直した方がよかった。
さらに数日後、本社から提出書類が届いた。記入して期限までに送付しなければならない。大きい企業のアルバイトというのは、こういうものなのだろうか。昔していたアルバイトはこんなに書類を書いたりせず、面接一回で終わりで、それでいつから入れる?と聞かれたりしたけれど。
なぜかまた履歴書を書かなければならなかった。時間はあるから、書類を用意するのは何とかなるとは思ったけれど、1つ、人の手を煩わせなければならないものがあった。保証人が必要だったのだ。知り合いがいない人間なので、頼める人と言えば家族しかいない。けれど家族は特別私のことが好きではないから、断られる可能性もあった。
保証人なしでもなんとかならないかと、一応確認してみたが、ないとダメです、と思った通りの回答が返ってきた。ただ、なにか制度を利用しても問題はないとのことだった。そうはいわれたものの、私はこういった保証人の制度を利用したことがなく、不安になり、結局家族に頼むことにした。断られたら、仕方がないので諦める。結果はと言えば、家族は普通に書いてくれた。
私は孤独だの、誰も頼れる人がいないだのと散々言ってきたけれど、まだまだ甘かったのだと思い知った。私には保証人になってくれる人がいたのだ。それはとてもありがたいことだ。でも保証人が必要なら最初から言っておいてくれればいいのに、と思った。
私は印刷機もコピー機も持っていないので、コンビニのコピー機とネット経由のプリントサービスをよく利用している。必要な書類や枚数をまとめてからコンビニへ行けば、1回で済んだのだけれど、私は何となく一つ一つ片付けていこうとした結果、無駄に何度もコンビニに足を運ぶことになった。
そして提出書類を送付した。この時も一応添え状を書いたけれど、書類の種類が多くて、何度か書き損じた。書類を送ってしまうと、また暇になった。初出勤日が、おそらくは月の締め日の関係とかで、かなり後になった。
働き出すと無職のころのようには時間が取れなくなるから、と私は思い残すことがないように日帰り旅行に出かけたりした。
(完)
読んでくださってありがとうございました。アルバイトの話はもう少し続く予定です。




