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私事について  作者:
34/36

23、猫とジノについて

車についての説明は、すべて私の乗っていたものがそうだったというだけで、同じ車種でも違うかもしれません。そこはご注意ください。お願いします。

23、猫とジノについて


2024

 大人気のウェブ漫画を読んでいると、柱に気になる解説文を見つけた。

 それは「好奇心は猫を殺す」ということわざには続きがあるというものだった。私が調べたところ(間違っている可能性もあります)後世に文章が付け加えられたパターンがいくつかあるようだった。私がいいな、と思ったものがこれです。


「好奇心は猫を殺した、けれど真実は猫をよみがえらせた」


 最初の文だと軽率な行動を戒めるものになりますが、付け加えられた後は挑戦や冒険を肯定する印象を受けます。後付けなのかもしれないですが、私はこちらの方が好きです。ただそれだけなんです。

 


 実家では猫を飼っていた。

 私は猫が好きだったけれど、家族に会うのは気まずいので、たまに有休をとって平日に猫に会いに帰っていた。全ての猫がそうとは言えないとは思いますが、本当に優しい子は優しいですよね。

 私がなんだかんだまだ生きているのは、猫との思い出があるからだと思います。


――――――――――――――――――――


 一人でいるときは車のことを短くジノと呼んでいた。

 以前のエッセイでも今回のものでも、沢山ネタを提供してくれたので最後に車について書いておこうと思います。結局車種は何だったの? と思われている方もいるかもしれないですし。最後なので写真多めで行こうと思います。


 ネットで中古車を探していた時、綺麗なデザインだと思い、店舗に実車を見に行くとトノカバーの上にボックススピーカーが載っていた。私はそれが気に入って、車を買うことにした。諸々含めて50万円だった。以前乗っていた車は(隣の県に映画を観に行った帰りに)雪道で単独事故を起こして廃車にしてしまっていた。


挿絵(By みてみん)


 想像以上に音楽は綺麗に聴こえたので、この車に乗っているときはほぼ音楽を聴いていた。知人を乗せる機会は、昔は、それなりにあったのだけれど、あまり音質の良さに触れてくれる人はいなくて、そこは少しだけ不満だった。他の人はもっといいスピーカーの車に乗っていた可能性もあるのですが。


挿絵(By みてみん)

 今はもう別の車に乗り換えてしまった。

 そして気づいたのが、内装はかなり精神に影響を与えるということだ。なんというかセダンぽいというか、こういう感じの内装だと自分はテンションが上がるようだった。自分では、車は動けばなんでもいい、くらいに考えているつもりだったのだけれど、どうもそうではなかったようだ。

 シフトレバーの位置もちょうどよくて、ここに左手を乗せておくと(本当はよくないですが)なんだか落ち着いた。このレバーの形状がロボットの操縦桿のようで好きだった。止まるときはいつもギアを下げていた。そうしないと急ブレーキみたいな感じになってしまう。


 キーホルダーは珍しく映画館で買ったもので、Memento Moriと書いてあるので戒めにずっと車の鍵につけています。


挿絵(By みてみん)

 メーターの針はバッテリーをつなぎなおした後、初めてエンジンをかけるときだけ、こんな動きをしました。普段はしないのですが、せっかくなので。(あまり良いことではないのかもしれませんが)


 エアコンの操作はこの形式が一番、使いやすいと思います。多少暑いのも寒いのも我慢できるのですが、今乗っている車はフロントガラスの曇りを取るときに必要な手数が多すぎて、咄嗟にできないというか。もちろん止まって操作しろという意図なのはわかるのですが、まず止まれる場所に行くまでにフロントガラスに曇ってしまうと危険だし、という。


―――――――――――――――――――――――――――――

・お詫び

 以前書いていたエッセイでこの内装を大理石調と書いた記憶があるのですが、これは黒木目調と呼ばれるものでした。間違えていました。すみませんでした。

 それと、フロントガラスにスプレーを吹くだけで撥水になるものをお勧めしたのですが、あのタイプのものを使用した後、ワイパーを動かすといつもガタガタってなってしまうんですよね。それでウォッシャー液を出しながらワイパーを何度か動かすうちにガタガタしなくなるのですが。これってコーティングをウォッシャー液で流しているってことなんですかね。(私だけの可能性もあるのですが)ちょっと使用方法に自信が持てないので、お勧めはなかったことにさせてください。

 雨の日は慎重に運転するしかないですよね。特に左折時の巻きこみが怖いです。

―――――――――――――――――――――――――――――



 綺麗なデザインで、渋い色というのも気に入っていた。それに音質もいい。

 しかし、欠点がいくつかあった。それは絶対的にエンジンの力が弱いということだった。高速道路を走っていて、上り坂に入るとみるみるスピードが落ちて行ってしまう。ベタ踏みしても、ギアを2速に入れてもそうなので、もうどうしようもなかった。悩んだけれど、よほどの事情がない限り、高速道路に乗るのは控えることにした。ずっと平坦な道だったり、片道2車線ある区間ならいいのですが。

 なので、もしこの車種の購入を考えている方は、やはりターボ車の方がいいと思います。あくまで個人的な意見ですが。

 

挿絵(By みてみん)


 雪道にも弱かったけれど、これは単に二輪駆動だったからで軽自動車ならこんなものだと思う。スタックしたときのために、冬場は後部座席にスコップ(アルミもしくは鉄)をのせておいた。

 大雪の日、不安になって掘り返してみたけれど、雪を下しただけでそれ以上どうにもできなかった。扉も開けられないし、どかした雪を置く場所もなかったので、ただ自然に溶けるのを待つしかなかった。



 見た目と音楽はよかったけれど、エンジンの力はないし煽られることも多くて、何度も乗り換えようと思ったのだけれど、金がなかったし、目的地には辿り着くのだから多少遅いからと言ってなんだというのだと我慢した。


 仕事で疲れたときとかに、駐車場の車の顔を見ると、綺麗だと思った。(どの車でもそう思うのだけれど、自分の所有物のはずなのに、なんだかそういう気にならなかったりする)

 そして乗り込んでエンジンをかけると、すぐに好きな音楽が鳴り出す。音楽を聴きながらスペクトラムアナライザがチカチカ動くのを見ていると、なんだか楽しくなってそれだけで全て許せてしまう。



 クラシックなデザインで(いろいろ言われているのは知っているけれど)、私は好きだった。もう今は空気抵抗とか衝突時の安全性とかを考えるとこういうデザインは出せないんですかね。バンパーの部分が丸っこくなっていて、猫はその部分によく体をすりつけていた。

 フォグランプはなくても別によかったのだけれど、近くで見つかったものはフォグランプ付きのものしかなかったのでそれにした。フォグランプのありとなし、どちらがいいのか難しいところだけれど、私はありでよかったと思う。これは私がありのものに乗っていたから、というだけの理由です。



2024

 9年以上乗っていて、あちこち部品を交換したりしたけれど、少し乗ることに疲れてしまったのかもしれない。腰は痛いし、夏はまた汗だくになって運転するのかと思うと、(そんな状態で運転すると危険なのは自分だけではないですし)乗り換える時期なのかもしれないと思った。私はその時じきに35になるという所だったけれど、仕事も安定しないし、いつまでたっても人生が何も変わらないから、せめて車だけでも変えてみようという気持ちもあったのかもしれない。



 乗り換えると決めてから、車に対して罪悪感を抱くようになった。

 まだ走れるし、デザインも音楽もいいのに。

 ただもう18万キロ弱走っていた。大体年に(ほぼ通勤だけで)1万キロ走っていた計算になる。またどこか経年劣化で壊れるかもしれないし、壊れた時に人を巻き込まないとも限らない。(定期的に整備していれば、これは考えすぎな気もします。ただいろいろあって不安になっていました)体が合っていないのに無理に乗っているところもあって、腰はかなり怪しくなっていた。


 でもいつかどこかの段階で手放さなければならない。

 言い方は悪いけれど、ババ抜きのようなもので。ただ、おそらく自分の後は誰も乗らないのではないか、という予感はした。(実際どうなったのかは分かりません)軽自動車で走行距離18万キロだと、さすがに厳しいだろう。そうだとしたら、私が手放すということは、つまりそういうことになる。



 最後に海に行くことにした。

 テセウスの船というわけにはいかなかった、と思う。金もないし、そこまで由緒あるものというわけでもないし。

 私の言うことを聞いてくれたのは猫とあなただけだったな、と考えると泣きそうになる。


挿絵(By みてみん)


 当たり前だけれど車はなにも言わない。



 海から戻って、洗車することにした。

 私はこの車の収納できないアンテナが、洗車機に通るのかがいまいち分からなくて、洗う時はいつも手洗い洗車機(高圧の水が出るコイン式の洗車場です)を使っていた。私の県にはそのタイプの洗車場の数が少ないのでいつもそれなりに混んでいた。なので夜に行くことにしていた。洗車が終わっていつも通り、あなたは綺麗だね、と思った。



 最後の朝、出かける前になんとなくボンネットにだけワックスをかけた。(拭くだけのやつです)

 最後も一番よく聞いたライブ音源のCDを聴いていくことにした。

 あなたには世話になったね、と言ってみる。

 もちろん何も答えない。


 お互い怪我のない状態で、ありがとうと言って別れられてよかったのだと思うことにした。


挿絵(By みてみん)

 猫とジノに感謝します。


(完)




ほぼ自分語りでしたが、読んでくださってありがとうございました。

次で最後になる予定です。

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