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プロローグ 〔異世界転生〕               

──ゴォォォォォ‼‼‼


バーナーの音が鳴り響く。


ここは私が開業した自転車製作所、

お客様一人一人に合わせてオーダーメイド自転車を製作している。


最初はかなり苦労はしたが、少しずつ知名度が上がり収入は安定してきた。


好きなことで生きていくのは最高だ、数年前まで開業資金のためにやりたくもない仕事をしていた。

貯金が溜まっても、心埋まらない仕事はもう懲り懲りだ。


朝、自転車フレーム製作開始


本日はシンプルなイタリアンフレームの製作だ、いつもどうり種火を着ける。


パイプとラグの間に慣れた手つきでロウを流し込んでいく、自転車フレームを作るのはとても時間がかかる。


しかし、お客様の喜ぶ顔と、モノ造りの楽しさは僕の空いた心を埋めてくれる。

 

 ──自転車は僕の人生だ、、、



(この自転車を見たお客様はどんな顔するかな~…)

お客様と練りに練った自転車を形にする、楽しくないわけがない。


あと一意気と深呼吸「すぅぅぅーー・・・はぁぁぁーー」


鉄の臭い、油の臭い、ガスの臭い…

  

 「がすのにおい!?もとせん!!」


元栓を閉めようと振り返る、瞬間

《 ドガシャーン‼‼‼‼── 》


感じた事がない熱とともに痛みを感じることもなく意識が消える……





はっと意識が覚醒する。


どのくらい時間が過ぎたのかは分からないが!

「元栓‼‼」と叫びながら起き上がり、辺りを見渡す。


元栓もガス管も見当たらない。


何もない緑1色の部屋、もちろん来たことはない覚えもない。




「1番最初の言葉がそれでいいのかい?」


声のする方を見るとそれはそれは一般的なモブ顔の眼鏡男。


(さっき見渡したときは居なかったよな…)



「普通は『知らない天井だ』とか『ここはどこだ』とかじゃないのかい?」



(どこかで聞いた事があるような言葉を使うんだな…)



「あ、あなたは?」

(一応聞いておこう…)


「僕はこの世界の天使だよ♡」

天使と言うにはモブ顔な男は当たり前のように答えた。


(天使はもっと美男美女であってほしいな…)

全世界の人間が天使は美しくあってほしいと思うのは当然だ。


「そ、そうですか…」



5秒ほど気まずい空気が流れる──



「えっと…どこですかここは?」

無言に耐えられなくなり話かける。


「ここはね、生前やりたいことをしている時に、ガス爆発した若者を異世界転生させる場所だよ♡」


(モブ顔のイケメン口調は少し気持ち悪いが気にしない…)


「なかなか厳しい条件なんですね。」

そんな死に方滅多に起こらないだろう…


「じゃないと、転生者だらけになっちゃうからね♡」

なぜか納得してしまう自分がいた…


「なるほど…えっと異世界には自転車はありますか?」

私は理解は早い方だ異世界転生にはもう順応した。


「は?」

ボケっとした顔になったモブ天使。


また5秒ほど気まずい空気が流れる・・・



「ないよ」


「え?」


「ないに決まってるじゃん♡」



さらに5秒気まずい空気が流れる・・・



「自転車が無いなら転生しなくていいです…」

自転車が無い世界となると死んでるのと同じだ。


「なにを言っているんだい?」

「異世界に転生できるんだよ?」

「君も男なら異世界を冒険したいと考えるものだろう?」


確かに異世界は冒険してみたい、

しかし自転車が無い世界に転生したところで楽しみを見つけられる気がしない。


「やっぱりお断りします、早く死後の世界に送ってください。」

(あるのか分からないけど…)


モブ天使はやけに焦り始めた

「頼むお願いだ!異世界転生してくれ!」


まさかの天使からの異世界転生への土下座お願い…


「え?」

どうしてそこまで転生して欲しいんだ。


天使は顔をあげて言った

「ここに来るための条件が厳しすぎてノロマが達成できないんだ!」


天使はバカだった。


「ノロマを達成できないと今年の収入がガクッと下がるんです!」

まさか天使に情で異世界転生を頼まれるとは考えたこともないことが起きた。


「今ならどんな条件でも受け入れますから‼‼‼‼」


(天使の土下座は見たくない…)

しかし、どんな条件でもってのは良い条件だ。


「じゃ、じゃあ…」


「なんでも言いたまえ!」


では、遠慮なく…

「異世界で自転車を造れるような能力を下さい。」


「良いでしょう」

「例えば何が必要だい?」

「なんでも出すよ」


「まずは、なんでも収納できる4次元バックと無限のアセチレンガス、あと・・・」


「ちょっと待ってくれ!」

「覚えられないからこのノートに書いてくれないかい…」


自転車製作の専門的な知識が無いと呪文に聞こえるだろう、天使と言えど流石に難しいか…


「わかりました、30分下さい──」




──1時間後──


「──よし、これだけあれば大丈夫!」


自転車がないということは、

パイプもパーツも造る場所も無いだろうと考え、何があっても造れるように書き上げた。


「終わったかい♡」


1時間待たせても怒らないイライラもしない天使は物凄く優しい。


「大変お待たせ致しました。」


「かしこまらなくて良いよ♡」

天使も見た目ではないみたいだ。


「うんうん、わかったよ。転生するときに一緒に送るよ」


まさか即答で許可されるとは思わなかった。


「では、お別れだ。」

出会って1時間と少しだがなぜか少し寂しい


「ありがとう、天使さんのおかげで異世界でも楽しめそうです。」



「じゃあ転送するよ」

天使は手を伸ばし力を送る


「あ、最後に!」


「どうしたんだい?」



「天使さんの名前は?」

最後かなと思い急いで聞いた。


「僕の名前は・・・」


「・・・・・・・・・・・」

瞬間私は異世界に転生された

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