『永観、速記シャープの芯を貸しつけること』速記談3064
永観律師は、初めは法勝寺の供僧であった。御本尊に供えられた速記シャープの芯をもらい受けて生活していたが、このままではいけない、このわずかな芯を貸しつけてふやすのだ、といって、供僧をやめた。芯を借りる者には、証文もとらないし、取り立てにも行かない。自分から返しに来てくれればいい、といって、借りた者たちは喜んで帰っていった。きょう来るかあす来るかと待っていたが、誰も一向に返しに来ない。房を訪れた人は、人を遣わして取り立てるべきです、と言ったが、取り立てはしないという約束だから、といって、取り合わなかった。生活が苦しくなってきたので、また供僧にしてもらえるよう願い出たが、自分からやめて、また戻りたいとは何と軽々しいことだ、と言われた。ある人が子細を説明したところ、哀れまれたものか、供僧二人分をあてがわれることとなった。
教訓:原作は、永観律師の清貧たることを示す話が続くが、二次創作としては、速記の話題が盛り込めた時点で終わってよい。