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Dear  作者: 遠藤 敦子
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 1月は2人で初詣に行き、2月のバレンタインデーで私は真治に手作りのいちごタルトと生チョコとお揃いの小物(もこもこした靴下とハンドタオル)をプレゼントした。3月のホワイトデーでは真治がデパートでチョコレートを買ってくれ、お返しにいちご柄のパジャマをプレゼントしてくれる。4月は私がお弁当を手作りし、2人でお花見した。

 淡路島までドライブしてカフェにパンケーキを食べに行ったこともあり、お互いの誕生日のお祝いもする。夏はプールに行ったり、浴衣を借りて(もちろん借りた場所は私のバイト先)花火大会に行ったりした。1年記念日ではホテルに泊まってお祝いし、私は真治にブランド物の財布をプレゼントする。真治は私に好きなブランドのカーディガンーー白と黒のツイードっぽいデザインで、ゴールドのボタンがポイントになっているーーをプレゼントしてくれた。



 あっという間に私たちは大学4回生になり、私は来年から貿易事務として働くことが決まる。真治は卒業まであと2年あるけれど、私たちは相変わらず仲良しだ。私の卒業式で、真治がスーツ姿で現れピンクを基調とした花束をプレゼントしてくれた。

「ピンクといえば月のイメージだから」

真治はそう言って笑っていたのだ。「月ちゃんいいな〜」「相変わらず仲良くて羨ましい。彼氏もイケメンだし」と女友達から羨ましがられる。私はこれからも真治と一緒にいたいし、結婚もしたいと考えるようになった。

 大学を卒業して社会人になり、私は多忙になっていく。まだ仕事や環境に慣れていないこともあり、土日は寝ていることが多かった。仕事に慣れるにつれ、どんどん忙しくなり終電で帰ることも増えていったのだ。

 真治はまだ学生だけれど、平日は学校とアルバイトで忙しくしており、土日しか会えなかった。それでも土曜日か日曜日のどちらかで会う時間を確保しようと努めていた。しかし私は仕事が楽しいと思うようになり、恋愛をしている場合ではないということに気づいてしまったのだ。いつ真治に自分の気持ちを話すか悩んでいたものの、言い出せなくて時間だけがズルズルと過ぎていく。

 気づくと真治との4年記念日になった。記念日を祝うため、私たちはお高めのレストランで食事をしてプレゼントを交換し合う。

「よかったら初めて会った時に行った公園で話さない?」

真治が提案し、私たちは付き合いだした時に行った公園のベンチで話をする。

「記念日なのにこんな話したくないけど……。仕事でいっぱいいっぱいで恋愛どころじゃなくなってる。真治にはもっと良い女性と幸せになってほしい」

私が自分の気持ちを話すと、真治は納得してくれた。

「月が就職して忙しそうなのわかってたのに、俺も自分のことしか考えてなかった。月の気持ちはよくわかった。これからは別々の道を歩もうな」

涙ながらに話す真治を見て、私もつられて泣いてしまった。泣きながら別れ話をし、私たちはこれから別々の道を歩むことになる。

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